『World of Tanks』では、「ボット」の使用が禁止されています。

こちらの記事では、「ボット」の定義、主な種類、一部のプレイヤーが「ボット」を使用する動機、『ゲームルール』で使用が明示的に禁止されている理由、そして運営チームが実施している対策などをご説明します。

ボット行為の定義

『World of Tanks』では、制裁の対象となる「ボット行為」を以下のように定義しています。「ボット」とは、人間のプレイを模倣するプログラムを指します。一連の計算、操作、条件分岐などで構成されるアルゴリズムに基づいて動作し、使用するとプレイヤーが自ら操作せずとも自動的にゲームをプレイできるようになります。「ボット行為」とは、こうした「ボット」を使用することを指します。『World of Tanks』では、「ボット行為」は意図的か否かを問わず『ゲームルール』で禁じられています。

「ボット行為」が禁止されている主たる理由は、他のプレイヤーのゲーム体験を大きく損なうためです。「ボット」を使用すると、自ら時間や労力を費やすことなくゲーム内リソースを集め、車輌の研究を進められるようになります。

そのため、「ボット」を使用するプレイヤーは、実際の戦闘経験が少なく、『World of Tanks』で活躍するのに必要な戦術やメカニズムに関する知識が欠けていることが珍しくありません。また、どれほど性能の優れた「ボット」であっても、人間のように他のプレイヤーとコミュニケーションを取ったり、戦局に応じた柔軟な立ち回りができるわけではありません。味方チームにだけ「ボット」がいれば、その分チームが不利になり、他のプレイヤーの楽しさが奪われてしまいます。

ボットの主要タイプ

  • 有能ボット: 人間の操作を模倣し、相当の精度で再現できるボットです。広範囲を移動し、自動照準などを用いて発見した敵に攻撃を仕掛け、場合によっては別の敵に照準を切り替えたり、敵の攻撃を回避したりすることができます。
  • 無能ボット: 典型的なケースでは、陣地付近に留まり、視認範囲内に敵が現れた場合にのみ人間のプレイを模倣して敵に砲撃を行います。中には出撃地点から移動するものも存在しますが、アルゴリズムに書き込まれた特定のルートしか取ることができません。
  • クリッカー: マウスやキーボードを自動で操作するためのマクロ・ツールです。上述の2種類のボットと異なり、クライアントの起動から戦闘への出撃までを自動化するのみで、戦闘中に車輌を操縦することはありません。

以上のようなプログラムの使用に加えて、「手動で出撃してから操作を停止」したり、「出撃後ただちに戦闘を離脱」するといった行為も、時間や労力をかけずにゲーム内リソースを稼ぐという自らの利益のために他のプレイヤーのゲーム体験を損なっていると考えられるため、「ボット行為」とみなされます。
こうした「放置行為」は、「Away from keyboard」を略して「AFK」とも呼ばれます。ただし、特定のプレイヤーが全く動かないからといって、それがただちに「AFK」や「ボット行為」に該当するとは限りません。回線トラブルや突然の停電など様々な原因が考えられるためです。

ボット行為はなぜ禁止されているの?

非常に残念なことに、オンライン・ゲームの世界では「ボット」を使用するプレイヤーが絶えません。自ら時間や労力をかけることなく自動的にゲーム内リソースを集められるようになるためです。しかし、チーム内に「ボット」を使用しているプレイヤーが存在すると、他のプレイヤーには様々な弊害が生じ、誰もがゲームを楽しむことが困難になってしまいます。

加えて、「ボット」を使用しているプレイヤー自身にもリスクが生じます。『ゲームルール』で禁止されているプログラムを起動することで、個人データやアカウント情報が抜き取られ、復旧できなくなる可能性が存在するためです。遅かれ早かれ「ボット行為」が発覚し、アカウントを永久的に停止されてしまうのは言うまでもありません。

ボット行為への対策

『World of Tanks』では、「ボット行為」を検知して取り締まるために以下の対策を実施しています。

  1. すでに触れた通り、『World of Tanks』には「ボット対策のための自動報告システム」が実装されています。各プレイヤーのゲームログが自動的にスキャンされ、ボット、クリッカー、マクロ、キーボードまたはマウス・レコーダー等を使用している可能性が高いと判断される場合には、プレイヤーの移動ルート、移動時間、移動距離、発見した敵車輌数、戦闘中のショートカットキーやチャットの使用頻度、拡張パーツの使用状況などが精査されます。その上で戦闘毎にボット等を使用している蓋然性が算出され、当該プレイヤーの総戦闘数との比較が行われます。ボット等を使用していると推測される戦闘の比率が高い場合には、「ボット行為」を行っているものと判断されます。戦闘が始まっても車輌が動かないなど「AFK」の可能性がある戦闘も判断の対象となります。
  2. 「AFK」や「ボット行為」を自動的に検知するためのシステムは他にも存在します。そのうちのひとつがアップデート9.3で実装されたシステムで、以下の2種類の禁止行為を検知することができます。

    • 戦闘終了や自車輌の大破前に戦闘から離脱すること
    • 戦闘が始まっても行動を取らないこと


    回線トラブルや突然の停電など、本人の意思に反して操作ができなくなっている可能性も考慮し、戦闘中の不行動等が確認されても、初回は警告のみが送信されます。不行動等が繰り返し確認されてはじめてペナルティーが科され、該当する戦闘での収入がアカウントから差し引かれます。なお、この場合でも引き続き戦闘に出撃したり、条件を満たしさえすれば報酬を入手することができます。ただし、プレイヤー本人には見えない形で「疑いの余地がある」ことを示すタグがアカウント情報に追加され、「ボット行為」を検知するためのソフトウェアにより優先的に精査が行われます。特定の期間に渡って「AFK」や「ボット行為」を疑う余地がないことが確認されると、アカウント情報からタグが削除されます。以上の措置の目的は、プレイヤーに制裁を科すことではなく、あくまでフェアなプレイ環境を実現することにあるため、まずは警告を行い、違反行為の可能性が消えない場合にのみ制裁が科されます。

  3. 『World of Tanks』には、さらに正確な分析を行うための機能を備えた、いわば改良型の「自動報告システム」も実装されています。こちらのシステムでは、人間の操作を相当の精度で再現する「有能ボット」を検知することができます。いかに高性能の「ボット」と言えども、人間の操作を完璧に模倣できるわけではありません。戦闘中に人間が行う操作やアクションを包括的にカバーした大規模なデータを処理することで、不自然な行動を検知できるようになっています。

  4. 『World of Tanks』の戦闘画面には通報システムが実装されています。「AFK」や「ボット行為」の疑いのあるプレイヤーを見つけた場合は、こちらの機能を利用して通報することができます。リプレイ動画等を添付してプレイヤーサポートに直接お送りいただくことも可能となっています。ただし、すでに繰り返し触れている通り、「AFK」や「ボット行為」と思われる挙動は、回線トラブル等が原因になっている場合もあるため、通報がただちに制裁に繋がるとは限りません。

違反に対する制裁

「ボット行為」には、『ゲームルール』で禁止された行為の中でも特に厳しい制裁が科されます。そのため、疑いがある場合にはまず厳格な調査が行われます。調査によって「ボット行為」が発覚した場合、アカウントが停止されます。停止期間は、該当する違反行為の重大さによって異なります。

違反行為の前科がない場合でも、重大さによっては初回からアカウントの無期限停止処分が科される可能性も存在します。その場合、アカウントは二度と使用できなくなります。長期間に渡って『World of Tanks』をプレイし、ゲームやコミュニティーの発展に大きく貢献してきたプレイヤーの場合には、運営チームの裁量により例外的に無期限停止処分が取り消されることも考えられます。しかし、その場合でも違反行為によって不当に手に入れたゲーム内リソースや成果等はすべてアカウントから削除されます。

「ボット」を使用すると、どれだけの成果を上げても遅かれ早かれすべてが無駄になってしまいます。こちらの記事をはじめ、様々な手段で「ボット行為」の危険性やリスクをお伝えしてはいるものの、残念ながら今なおその根絶には至っていません。ご友人とプレイする際にはぜひその危険性やリスクをご説明ください。また、「ボット行為」を犯している可能性のあるプレイヤーを見つけた場合は、通報システム等を通じてただちに運営チームまでご報告ください。

 

ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

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