はじめに: 車輌と弱点部
戦車と聞くと、多くの人は「重装甲」や「移動要塞」などの言葉を思い浮かべるでしょう。この言葉だけを聞くと、戦車とは頑丈に装甲に守られた完全無敵の兵器と思えるかもしれません。しかし、どんなに強力な戦車といえども、必ず弱点は存在します。
重要拠点や防衛線の突破などに用いられる戦車は、通常車体正面を敵に向けて移動することが前提として考えられています。その為、車体正面および砲塔正面部分が最も分厚い装甲で守られるように設計されています。一方、車体側部および背面は正面と比べ防御は若干手薄になっています。そのため、重装甲に守られた戦車にダメージを与えるには、側面や背面から攻撃を加えることが最も有効な手段と言えるでしょう。今回はその弱点部の詳細をご紹介します:
- 側部: 敵車輌の側部から攻撃を加えることには様々なメリットが存在します。まずこの部分は車体正面と比べ非常に装甲が薄くなっているため、たとえ貫通力が低い砲を使用したとしても、装甲を貫通できる確率が非常に高くなっています。また車体の側面は正面から狙う場合より被弾面積が大きくなるため、攻撃が当たりやすくなります。他にも、車体側部から攻撃を当てると車輌内部のモジュールや搭乗員に被害を与える確率が大きくなります。モジュールや搭乗員に損害を与えると、敵車輌の戦闘能力を大幅にダウンさせることができます。
しかし、この「側面は弱点」というセオリーは必ずしも全ての車輌に適用できるとは限りません。例として、 VIII IS-6 などの車輌は、履帯上部が空間装甲 (間に空間が存在する二重構造の装甲)により守られており、たとえ攻撃が命中したとしても、貫通力を大幅にダウンしてしまい、弾き返される可能性が非常に高くなっています。 - 背面: 車輌背面はほぼ全ての車輌において、最も防御が薄い部分になっています。この部分に攻撃を当てると、一部例外を除いてほぼ毎回装甲を貫通させることができるでしょう。また、この場所には燃料タンクやエンジンなどの重要モジュールが搭載されています。この部分に被害が発生すると、モジュールの損傷だけでなく、火災を発生させる可能性があります。これにより、敵に持続的にダメージを与えたり、更なる攻撃チャンスを生むことができるでしょう。
ただし、敵もこれらのようなわかりやすい弱点部を可能な限り隠すように戦ってくることが予想できます。相手の弱点を取るには、機動力や味方との連携などを用いたテクニックが必要になるでしょう。
弱点部
次は最も分厚い装甲に守られている車輌正面を攻略するためのヒントをご紹介します。前述の通り、この部分は車輌の最も装甲が分厚い場所になります。中でも重戦車は極めて分厚い正面装甲を持っており、闇雲に弾を撃ち込んでも弾き返されてしまうでしょう。
しかし、完全無敵の防御などというものは存在しません。たとえ分厚い正面部であったとしても、特定部分には装甲が柔らかい場所が存在します。この特定の部分を狙うことで、より確実に装甲を撃ち抜くことができるでしょう。主に 弱点部 と呼ばれるこれらの部分を知っていると、敵車輌と真正面から撃ち合うことになったとしても、確実にダメージを稼ぐことができ、自分の防御をより堅実なものにできるでしょう。
主な弱点部
こちらでは多くの車輌に存在する主な弱点部を紹介します。また、これらの弱点部に攻撃すると多くの場合、モジュールや搭乗員に被害を与えることができます。もちろん、ここで紹介する弱点部以外にも様々な弱点が存在します。敵車輌の特性を知り、自分の車輌の特性を知ることで、より堅実な戦いができるでしょう。
- キューポラ / ハッチ部: このパーツは砲塔上部の左右に存在しています。このキューポラとは、搭乗員の出入り口になるだけでなく、車外を観測するための覗き窓も取り付けられています。超接近戦では、このキューポラ部を狙うと効果的でしょう。
この部分を攻撃すると、観測装置の破壊 (視認距離の減衰)または搭乗員を負傷させる (車長または装填手)可能性があります。 - 車体部機銃口 / 操縦手用覘視窓: 主に車体正面上部に搭載されているこれらの部分は的が小さく、攻撃が当てづらい部分です。しかし、車体下部などの弱点を狙えない場合、この部分を狙うことが効果的でしょう。
この部分を攻撃すると、搭乗員を負傷させる (砲手または操縦手)可能性があります。 - 転輪 & スプロケット: これらは車体側面最後部、最前部に存在する大きな歯車このことを指します。この部分を攻撃することで履帯を破壊し、敵車輌の動きを封じ込めることができます。最大限の効果を得るには、転輪を撃ち抜いた後に敵車輌に弾が貫通する角度で攻撃を打ち込む必要があります。
この部分を攻撃すると、履帯を破壊させる (敵車輌を移動できない状態にする)可能性があります。 - 車体下部: 中距離から交戦する際に狙える比較的大きめの弱点部です。ドイツ車輌など車体前部にトランスミッションが搭載されている車輌には特に効果的でしょう。
この部分を攻撃すると、エンジンを損傷させる (移動力の大幅低下、または移動できない状態にする)ほか、弾薬庫を損傷させる (一部車輌に限る) 可能性があります。 - ターレットリング: 非常に的が小さく、局面のついた正面装甲と防盾に挟まれているため極めて狙いにくい弱点部です。弱点部ではあるものの、この部分に正確に攻撃を当てれる状況は限られているため、 可能であれば別の弱点部を優先すべきでしょう。
この部分を攻撃すると、砲塔の損傷させる (砲塔旋回速度の低下)ほか、搭乗員を負傷させる可能性があります。
- X T110E3 : 砲塔上部機銃座付きキューポラ
- IX VK 45.02 (P) Ausf. B : 車体下部 (200mm 厚の傾斜装甲搭載)
- 一部のドイツ車輌: 車体機銃口 (円状追加装甲搭載)