週刊ヴィクトリヤ日記 Vol.31『砲弾と貫通のメカニズム 前編』

砲弾と貫通メカニズムについて学んでいきましょう!

連載第31回となる今回は、ゲームシステムの中から砲弾と貫通のメカニズムについてご紹介していきたいと思います。砲弾と貫通のメカニズムを理解することで、適切な砲弾を選択して、より効果的に相手にダメージを与えることが可能になります。

少し複雑な内容もあるので、今回と次回の2回に渡って前後編でお届けしていきたいと思います。しっかり学んでいきましょう!


それぞれの砲弾の種類と特性を知っておきましょう!

連載第06回の『戦車の矛と盾。砲弾と装甲について』でも簡単にご紹介しましたが、『World of Tanks』には大きく分類すると4種類の砲弾が登場します。
大抵の車輌は2-3種類の砲弾を搭載することができ、戦闘中のシチュエーションに応じて砲弾を切り替え、それぞれの砲弾が持つ特性を活かして戦うことが最も効果的です。まずはそれぞれの砲弾が持つ特性を一種類ずつ詳しく見ていきましょう!

砲弾のスペックの見方について

「修理・補給」ウィンドウにて各戦車が搭載可能な砲弾の能力が確認出来ます。

  • 口径
    砲弾の直径を指し、基本的に大きければ大きいほど威力が増します。榴弾の場合は口径の大きさがそのままダメージ量に比例します。ただし大口径になるほどリロード時間も増加します。
  • ダメージ
    砲弾が貫通した場合のダメージの下限値と上限値です。実際の威力はガレージ上ので表示される平均単発ダメージの数値の±25%の間で変動します。
  • 平均貫通力
    敵戦車までの距離が50m、200m、500mの場合での平均貫通力が確認できます。徹甲弾(AP)や硬芯徹甲弾(APCR)の場合は距離が離れるほど貫通力が減衰していきます。またダメージと同じく平均貫通力の数値から±25%の間で変動します。
  • 爆発範囲(榴弾のみ)
    砲弾の爆発範囲を指し、着弾した中心からどの程度の範囲まで被害を及ぼすのかが確認できます。

◯ 徹甲弾(AP / Armor Piercing)

多くの戦車で使用可能であり標準的な砲弾である徹甲弾(てっこうだん/AP)は、「運動エネルギー弾」と呼ばれ、高速で射出された砲弾がその運動エネルギーで相手の装甲を貫通する事でダメージを与えます。徹甲弾の構造はざっくり簡単に説明すると「鉄の塊」で、これを主砲から高速で撃ち出すことで敵戦車の装甲を貫通し車輌内部にダメージを与えます。そのため『World of Tanks』のゲームシステム上では、仮に命中したとしても相手の装甲で砲弾が防がれたり弾かれたりして貫通できなかった場合にはダメージは0となります。
砲弾の特性上、敵戦車が壁や自動車といったマップ内の破壊可能なオブジェクトの後ろにいたとしても、それを貫通してダメージを与えることが可能です。

徹甲弾(AP)や後述の硬芯徹甲弾(APCR)は、運動エネルギーを使って相手の装甲を貫く砲弾なので、距離が離れれば離れるほど貫通力が減衰します。『World of Tanks』のゲームシステムでは100mまでは貫通力は一切減衰しませんが、100mを超えると距離に応じて少しずつ貫通力が減衰していきます。ガレージ画面で確認できる各戦車の貫通力は相手との距離が100mの場合の数値なので、敵がそれより遠距離にいる場合は貫通力が減衰して貫通できない場合もあるので要注意です。また破壊可能オブジェクトを貫通した際も運動エネルギーが失われるため、貫通力が若干低下します。

こんな時は徹甲弾(AP)がおすすめ!

ゲーム内に登場するほとんどの戦車はこの徹甲弾をメインに使用していくことになります。徹甲弾と榴弾の使用で悩んだ際は、榴弾でも貫通できそうな軽装甲の標的であれば榴弾、そうでなければ徹甲弾を選択するのが無難です。徹甲弾や硬芯徹甲弾はマップ内に点在する破壊可能オブジェクトを貫通することが可能なので、フェンスや壁といった破壊可能オブジェクトの後ろに隠れた敵戦車を壁越しに攻撃することが可能です。

◯ 硬芯徹甲弾(APCR / Armor Piercing Composite Rigid)

硬芯徹甲弾(こうしんてっこうだん/APCR)は簡単に言うと弾速を上げて貫通力を高めた徹甲弾です。砲弾の構造としてはタングステンといった比重が重く硬い材質が弾芯として中心に入っており、通常の徹甲弾よりも軽量となるため非常に速い弾速で飛翔します。

装甲貫通力は着弾時の運動エネルギー量に比例し、原理的には砲弾の速度が速ければ速いほど貫通力が高くなります。硬芯徹甲弾の特性そのものは基本的には徹甲弾と同様となり、貫通できず弾かれてしまった場合にはダメージを与えることは出来ません。また砲弾自体が軽量な分、弾速は速いものの空気抵抗の影響を受けやすくなるため徹甲弾に比べて遠距離での貫通力減衰度合いが大きくなります。

貫通力が高く強力な砲弾となるため、ほとんどの車輌では高価なプレミアム弾薬扱いになりますが、高Tier車輌になると標準の砲弾が徹甲弾ではなくAPCR弾の場合もあります。

こんな時は硬芯徹甲弾(APCR)がおすすめ!

徹甲弾で貫通できなかった場合には高い貫通力を持つAPCRを使用してみることも有効です。高い貫通力の他にも、弾速が非常に速いため着弾までのタイムラグが少なく、高速で動きまわる敵の軽戦車に対して偏差射撃を当てやすいといった長所もあります。

◯ 対戦車榴弾(HEAT / High Explosive Anti-Tank)

対戦車榴弾もしくは成形炸薬弾(HEAT/ヒート)と呼ばれるこの砲弾は少し特殊です。砲弾内には漏斗状に成形された炸薬が充填されており、これが起爆するとモンロー/ノイマン効果と呼ばれる現象を発生します。それにより発生したメタルジェットが装甲を貫通するので「化学エネルギー弾」と分類され、徹甲弾と異なり飛距離や弾速で威力が減衰することはほとんどありません。

対戦車榴弾は大口径の榴弾砲搭載の車輌で使用できることが多いため、長砲身砲を搭載した高Tier戦車のなどの一部を除いて基本的に他の砲弾と比べて弾速は遅めとなり、発射から着弾まで若干のタイムラグが発生します。

徹甲弾と同じく貫通できなかった場合にはダメージは0となるほか、着弾と同時に起爆してしまう砲弾なので、後述の榴弾と同じく破壊可能オブジェクトを貫通してダメージを与えることはできません。
また空間装甲(本装甲の外側に隙間を開けて薄い装甲板を配置した装甲。スペースドアーマーとも呼ばれます。)を備えた車輌の場合、外側の装甲に着弾した段階で起爆してしまうため、威力が大きく減衰してしまいます。高Tierの車輌は空間装甲を備えた車輌が増えてくるため、敵戦車の特徴を把握していないと何度直撃させても効果的なダメージを与えられない場合があるので要注意です!

こんな時は対戦車榴弾(HEAT)がおすすめ!

徹甲弾より貫通力が高く、距離が離れても減衰しないという特徴を活かしていきましょう。ただし弾速は基本的には遅めの場合が多いので、分厚い装甲を持ち、動きが鈍重な重戦車などを狙う場合に有効です。傾斜した装甲に弾かれやすいので、なるべく垂直になっている箇所を狙うようにしましょう。また前述の空間装甲の他、履帯に当たった場合も同様の効果で貫通力が大幅に減衰してしまう場合があるので要注意です!

◯ 榴弾(HE / High Explosive)

徹甲弾(AP)と同じく、ゲーム上のもう一つの標準的な砲弾が榴弾(りゅうだん/HE)です。榴弾は徹甲弾と異なり、砲弾内に詰まった炸薬が爆発することでダメージを与える砲弾です。
運動エネルギーを利用する徹甲弾と異なり、着弾した時点で炸薬が爆発しダメージを与える榴弾は距離に応じて貫通力が低下することはありません。徹甲弾と比較すると貫通力は大幅に低くなりますが、もし装甲を貫通した場合は戦車の内部で砲弾が炸裂するため、徹甲弾以上に大ダメージを与えることが出来ます。また貫通できなかった場合でも、爆発ダメージで搭乗員やモジュール等に損傷を与えることができます。

もう一つの大きな特徴として榴弾には爆発範囲が設定されており、その範囲内の車輌には直撃しなかったとしても爆風ダメージを与えることが出来ます。爆発範囲は主砲の口径に依存しており、口径が大きくなればなるほど爆発範囲も広くなります。
砲弾の特性上、着弾した瞬間に爆発してしまうため破壊可能なオブジェクトを貫通することは出来ません。壁の後ろにいる戦車を狙いたい場合は徹甲弾を使用しましょう。

高Tierのイギリス車輌の一部には粘着榴弾(HESH/ヘッシュ)と呼ばれる特殊な榴弾を搭載可能な車輌が存在しますが、ゲームシステム上は貫通力が高い榴弾といったイメージで覚えておいていただければ問題ありません。

こんな時は榴弾(HE)がおすすめ!

自走砲や一部の駆逐戦車、軽戦車と言った明らかに装甲が薄い戦車を攻撃する際は、榴弾を使用すると大ダメージを与えることができる可能性があります。また榴弾は範囲ダメージがあるため履帯などのモジュールを破損させやすく、履帯を切って敵戦車の足止めしたい場合などにも効果的です。陣地占領をリセットしたい場合にも、徹甲弾では貫通しなければリセットできませんが、榴弾は範囲ダメージやモジュール破損によってリセットを行いやすいので占領の妨害にも有効です。


砲弾の貫通メカニズムって?

折角砲弾が命中しても跳弾したり貫通できなかったりということが発生します。どういった場合であれば砲弾が貫通するのかしないのかを見ていきましょう。

砲弾の貫通メカニズムそのものは非常にシンプルです。装甲の厚さよりも、砲弾側の装甲貫通力が上回っていれば貫通してダメージを与えることが可能です。ただしこれは装甲板に対して垂直な入射角度で砲弾を撃った場合の話で、戦闘中には敵戦車までの距離、角度など様々な要素が関わってくるため、こんなにシンプルにはいきません。

皆さんもご存知のように戦車の形状は直線・曲線で複雑に構成され、同じ厚さの装甲でもその箇所の形状や砲弾の入射角度などによって見かけ上の装甲厚が変化し、貫通できたりできなかったりといったことが発生します。

照準に入った車輌をやみくもに攻撃しても、適切な場所・角度などを考慮していなければダメージを与えることはできません。時には数秒待ってみて敵戦車の角度を変えた時や装甲が薄い箇所を見せたタイミングに攻撃を仕掛ける方が確実です。
『World of Tanks』に登場する戦車の主砲は一発撃つと必ず数秒間のリロード時間が発生します。たかが数秒ですがこの僅かな時間が勝敗を分けることもしばしば。攻撃できるチャンスの際は、やみくもに撃つのではなく焦らずにしっかり狙って確実にダメージを与えていきましょう!


今回は『World of Tanks』のゲームシステムから砲弾と貫通のメカニズムの解説前編として、まずは砲弾の種類とその特性のおさらい、そして砲弾の貫通メカニズムの基本的な部分を簡単にご紹介させていただきましたがいかがでしたでしょうか?
次回は後編として砲弾の跳弾と標準化など、もう少し複雑な内容を解説していきたいと思います。

それでは次回もお楽しみに!良い週末をお過ごしください♪

(コラム記事: ヴィクトリヤ 挿絵イラスト: しばふ)


4コマヴィクトリヤ日記 第31話

「ヴィクトリヤ日記」は毎週金曜日に公開予定です。 次回もお楽しみに!(漫画: kirusu)

 


登場キャラクター

ヴィクトリヤ

Wargaming.net Communityチーム所属の新人社員。ベラルーシ出身。しばしば先輩たちに振り回されている。

ラビ様

ヴィクトリヤが入社したWargaming.net のとあるオフィスの社長(代理)。 見た目は完全にお子ちゃまだが偉い人。

ミズキ

ヴィクトリヤの先輩社員。Community チーム所属。ヴィクトリヤのことは勝手につけた愛称の「ヴィッキー」と呼んで可愛がっている。

クルイロ

Wargaming.net の社員。Quality Assurance チーム所属。 ロシア出身。オフィスの奥にある部屋で黙々とテストプレイをしている。

ツノダ

Wargaming.net の社員。Community チーム所属。 オフィス内のでっかい代表。色々でっかい。重戦車が大好き。


 

4コマヴィクトリヤ日記 作者プロフィール

kirusu

簡単に爆死するへっぽこ駆逐戦車愛好漫画描き。
Web:  http://kirusu.com 
Twitter:  https://twitter.com/kirusu

  • ヴィクトリヤ キャラクターデザイン & 挿絵 : しばふ

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