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チーフテンズハッチ - Firefly: Part 2

 

前回の記事を見ていなかったら、ぜひ先に読んでおいてほしい。

評価試験を終えた17ポンド砲は、その冬までにフォート・ノックスの射撃場に移された(素晴らしい射撃場だ)。
17ポンド砲をM4シャーマンに搭載するかどうか、最終判断が行われたのだ。試験は二種類だが、陸軍地上軍の第二委員会が能力判定に使用した評価基準にしたがって実施された。

試験 3: 砲尾火焔

試験項目は「砲尾火焔の発生頻度とその強さの決定」である。

試験の方法は簡単だ。射撃するたびに、装填手が慎重に砲尾を観察して、発生した火焔を記録するだけだ。APCBC弾、HE弾(低発射薬)使用時のデータは不明であるが、SVDS弾使用時は約90パーセントの確率で「砲尾から激しく強烈な火焔が吹き出した」と報告されている。

76mm戦車砲を使用した場合の砲尾火焔は報告されておらず、90mm戦車砲では約60%の割合で「かなり強烈な火焔」が発生している。興味深いのは、マズルブレーキ付きの砲でHVAP弾を射撃した場合に、90mm戦車砲では十分な駐退効果が得られなかったという報告だ。装填手が砲尾栓を開くと、炎が吹き出すこともあった。

試験 4: 砲閃光

砲射撃時に発生する閃光は、戦車兵の視覚を一時的に奪うことがある。これも重要な評価基準である。

この評価試験は、地面が湿っている条件で、二日間行われる。砲身は地面から7フィートの高さに据えられる(車体は前傾した斜面に置かれた状態)。
試験では、1000ヤードの距離に置かれたの、中央に24フィートの大きさの黒い十字が描かれたパネルを使用する。
砲手は3倍率の照準器を通じ、7x50の双眼鏡を持った試験官がストップウォッチを携えている。砲を射撃した瞬間にストップウォッチを押す。
そして黒い十字の歪みななくなって見えるようになるまでの時間を図るのだ。

HE弾(低発射薬)とAPCBC弾をそれぞれ射撃したあとの判定で、次のような平均結果が導き出された: 

試験官:APCBC弾は3.4秒、HE弾(低発射薬)は2.1秒

砲手:APCBC弾は3.5秒、HE弾(低発射薬)は3.7秒

ただし、これで評価試験がすべて終わったわけではない。

APCBC弾:砲口煙と閃光が激しすぎて車長と砲手は1000ヤード前後の目標に対する連続射撃ができなくなった。

HE弾:無視できるほどではないが、この砲弾の射撃時に発生する閃光の実害はそれほど深刻ではない。閃光は少なく、発射薬も抑えられているので、APCBC弾よりは砲口煙も少ない。

SVDS弾:APCBC弾を上回る砲口煙と閃光が発生した。

90mm戦車砲との比較は次のとおりである:

試験官:APCBC弾は2.2秒、HE弾(低発射薬)は1.2秒

砲手:APCBC弾は3.0秒、HE弾(低発射薬)は2.6秒

しかしHE弾に関する報告には誤りがある。HE弾は発射薬の量を減らしていることを忘れてはならない。速度も遅く(秒速1800mと2700m)、イギリス製の曳光弾は発射薬が半分ほどなので、閃光も大幅に小さいのだ。

76mm戦車砲でAPC弾を使用した結果は、TCにとって「無視できる」程度であり、砲手も0.8秒で回復している。同じ条件でのHE弾には記録も残っていない。

試験 5: 爆炎と爆風

試験の狙いは「17ポンド砲発射時の爆炎と爆風の度合い」を調べることにある。
この試験では、発射薬を削減したHE弾による効果はそれほど考慮されていない。

評価試験はこのような測定機器を設置して行われる。

詳細に入る前にまず最優先すべきは、砲から絶対に6m以上はなれなかればならないことだ。車長用ハッチもこれに含まれる。「耳綿ないし耳栓をしない場合、17ポンド砲の射撃による失聴や感覚麻痺はかなりひどい」

戦車駆逐委員会で実施された牽引式対戦車砲の評価は興味深い比較となる。同委員会の調査では90mm戦車砲の爆炎と爆風が、17ポンド砲のそれを上回ったのだが、この時は90mm戦車砲が地面に近いという差があった。76mm戦車砲に関する公式な記録はないが、現場の兵士の証言からは、先の二種類に比べれば大したことはなかったと判断できる。

試験 6: 曳光弾

 

曳光弾の評価試験は、先の閃光、爆炎と爆風と同時に実施される。この試験は20倍率の特殊な望遠鏡を装備した試験官が担当する。
別の試験官は双眼鏡を、砲手は3倍率の照準器を使用する。

HE弾(低発射薬)での曳光弾の評価はさほど厳密には行われない。
もともと戦車兵による目視が妨げられるほどの悪影響は、HE弾発射時にはめったに発生しないからだ。

APCBC弾の場合、話は少し難しくなる。

「1500m前後の射撃距離では、各種の障害要素や、そもそもの距離が短すぎることもあって、砲手、車長とも曳光弾をとらえられない。側面から見ている試験官は、射撃距離1000mの場合に63%の弾道を捉えている。距離2000mになると車長は50パーセント、砲手は90%の割合でとらえられる。側面150mから観測している試験官は90%で、発射後200〜300mで茶化し、3500〜4000mの距離まで光の尾を引いて飛んでいるのを確認している」

SVDS弾は別問題がある。

「弾芯に塗布した曳光薬は200〜600m程度で剥離しやすい」のだ。装弾筒では避けてとおれない不具合であった。

試験 7: 射撃の修正

再び報告書を引用してみよう。

「射撃の修正(一目標につき5発)評価は、700〜2000mの距離にランダムで設けられた的にAPCBC弾、HE弾を使って実施される。
この方法は17ポンド砲においては2500m以上の距離で実施すべきでないということが、同砲のマニュアルに示されている」この手の射撃はHE砲では考慮されていない。

結果: 

APCBC弾:閃光の影響は甚だしく、初速も大きいために、2000m以内の目標に対しては車長、砲手共に命中を確認するのは困難である。
25m離れた場所に観測員がいる場合に、近距離目標に対する命中精度が確保されるが、当然、時間が犠牲となる。

HE弾:7枚の的に5発命中を確認。

他の砲の結果を見ておこう:

APC弾:76mm戦車砲を使ったAPC弾の射撃では、閃光の影響が少ない文、17ポンド砲や90mm戦車砲の射撃より良好であった。17ポンド砲は90mm戦車砲よりも強烈な閃光を生じている。

HVAP弾:76mm戦車砲、90mm戦車砲ともに特筆する問題は発生していない。

HE弾:17ポンド砲のHE弾(低発射薬)はもっとも優れた射撃修正を示している。全量発射薬では試験は実施できなかった。
それでも17ポンド砲+APCBC弾の結果よりは良好であることが予想されていた。
90mm戦車砲とHE弾の組み合わせは、爆発力の大きさにより命中精度が補われている。

試験 8: 移動目標への射撃

この評価試験は、時速12〜20km程度で移動する、距離600〜750ヤードの的に対する射撃で行われる。
的が暴露する時間は50秒ほどで、その間に砲手は3〜4発を射撃するのである。
17発中、命中弾が8発(2発は跳弾が命中)という射撃結果については、「砲手と車長が命中を確信できておらず、車外の観測員による補助が必要だったことが確認された。
発射速度の遅さは、閃光と未熟な装填手の2つの要素が相まって生じたものである」と報告されている。

76mm戦車砲と90mm戦車砲はそれぞれ75パーセント程度の命中率を記録している。
76mm戦車砲は射撃速度に優れ、閃光の影響が小さいという利点があったが、90mm戦車砲の場合は高初速性能が命中率を向上させている。

残りの試験はかなり短いものばかりだ。それは第3弾に引き継ごう。

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