戦場の華 feat.しばふ #12: TOG II*

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ミリタリー描写に深い造詣を持ち、人気のイラストレーター しばふ先生にゲーム内に登場する様々な戦車と魅力的なキャラクターを描いていただく連載イラストコラム企画の第三弾 『 戦場の華 feat.しばふ 』 。

最終回となる第12回目は、イギリスツリーから、特徴的な長ーい車体と独特のフォルムからプレイヤーの皆さんに親しまれ、特に人気が高い重戦車 『TOG II*』 のイラストで描いていただきました。

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重戦車 TOG II*

 ——古い思想と新技術のキメラ

1930年代後半に戦車開発の遅れを自覚していたイギリスでは、第二次世界大戦が勃発するとすぐに、アルバート・スターンを中心とする特殊車両開発委員会(SVDC)が設けられた。スターンをはじめ、集められたメンバーの多くが第一次大戦の戦車開発に関与していた重鎮であったので、彼らが開発した戦車はTOG(The Old Gang)と呼ばれることとなる。

SVDCは、第一次大戦のような塹壕戦で最大の戦力を発揮できる戦車が必要と想定して、陸上戦艦の開発を目指した。至近距離からの47mm対戦車砲や105mm榴弾砲に耐え、2m以上のコンクリート壁を貫通できる砲を持ち、幅5mの塹壕と、高さ2mの障害物を乗り越えられる機動性を求めた結果、TOG I と呼ばれた試作車は68トンを超える超重戦車となった。

もっともSVDCの本命は、車高を低くして、履帯の上面と側面を装甲で防護したスタイルの試作車TOG II であり、これが量産バージョンのTOG II R になれば62トン前後にまとめられる予定であった。
とはいえ車体長が10m、砲塔上面まで高さ3mもある超重戦車は、初見では奇想天外兵器にしか見えない。

ところが開発中の1941年の時点では、ドイツ戦車に対抗可能な強力な6ポンド砲以上の戦車砲を搭載できる戦車がイギリスにはなかったため、TOG II の採用にはかなりの現実味があった。実際、1941年7月の走行試験では、間に合わせの木製砲塔を積んだ状態ではあったが、比較対象のバレンタイン、マチルダMK.II 歩兵戦車より好成績をあげている。
ただし、車体の大型化を招いたディーゼルエンジンで発電した電気でモーター駆動するという仕組みは、常にオーバーヒート気味で、試験中に爆発事故を起こしたため、技術的に克服しなければならない課題が多かった。

改良が難航しているうちに重量は80トンを超え、開発は行き詰まった。その間にチャーチル歩兵戦車が完成したり、アメリカからM3、M4中戦車が届いたために、TOG II 開発は中止された。
ちなみにWorld of Tanks に登場するTOG II* は試作型の最終バージョンで、正式には「ティー・オー・ジー・トゥー・スター」と読む。

解説文:ウォーゲーミングジャパン ミリタリーアドバイザー 宮永忠将 / Phalanx

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