戦場の華 feat.しばふ #1: T29

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ミリタリー描写に深い造詣を持ち、人気のイラストレーター しばふ先生と 『World of Tanks』 のコラボレーションが実現!しばふ先生にゲーム内に登場する様々な戦車と魅力的なキャラクターを描いていただく連載イラストコラム企画の第三弾 『 戦場の華 feat.しばふ 』 がスタートしました。

記念すべき連載第01回のイラストは、しばふ先生ご自身もお気に入りだというアメリカの重戦車 『T29』 をモチーフに、のどかなワンシーンを描いていただきました。お楽しみください!

皆さんからのご要望にお応えして、今回のイラストコラムからデスクトップ用の壁紙もご用意しました。ダウンロードしてお使いのデスクトップを素敵なイラストで飾りましょう!

 

重戦車 T29

 ——遅すぎた猛獣ハンター  

第二次世界大戦でヨーロッパ反攻を控えたアメリカ陸軍は、ドイツ軍重戦車への懸念を払拭するためM26パーシングを開発した。しかし重量45トンのM26は、ティーガーI重戦車が相手であれば互角だが、70トン級のティーガーII重戦車相手には力不足であった。そこで1944年3月から60トン級のT29重戦車の開発がはじまり、9月に正式に認可された。

T29はトーションバー・サスペンションをはじめ、車体の基本形式や装甲配置こそM26の流用であるが、車体正面上部の装甲傾斜を54度まで増やしている。また105mm戦車砲T5E1と12.7mm同軸連装機銃を搭載可能な大型鋳造砲塔を採用したため、砲塔リング径は2,032mmとなり、車体全長が延長された。

T29と言えば分厚い砲塔装甲だ。被弾率が高い砲塔防盾の厚さはなんと279mm、砲塔自体が正面で178mm、背面でさえ車体装甲と同じ102mmもあり、無類の強靱性を発揮している。車体バランスから、頑丈すぎる冑をまとった貧弱な騎士という印象もあるが、これほど頭でっかちな砲塔を載せても特に不具合が見られないのは、さすがアメリカの製造技術だ。  

T29は開発中にドイツ降伏が確実になったので、1945年初頭に調達予定数が大幅に減らされ、日本本土決戦におけるトーチカ破壊用兵器として少数の生産にとどめられる。そして日本が降伏すると、技術実証車輌に各下げられ、1947年に数輌が完成して中止となった。
このうち、T29E3試作車では砲塔の後部から左右に大きく張り出したT31E1レンジファインダーと、T93E2照準眼鏡を搭載したほか、ペリスコープを一新している。レンジファインダーはステレオ式で、基線長は約2.7mである。操作するのは車長で、目標への距離と方位が割り出せるようになっていた。しかし主砲発射の爆風で容易に誤差が生じてしまうことから実戦向きではないと判断された。

T29と同時並行で、155m戦車砲搭載のT30重戦車や、対空砲をベースとした120mm戦車砲を搭載したT34重戦車も開発されたが、採用には至らなかった。しかしいずれも後の戦車開発の貴重な経験となっている。

解説文:ウォーゲーミングジャパン ミリタリーアドバイザー 宮永忠将 / Phalanx

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