「人ごみは嫌いだ」「騒音、赤いテープ、自分のチーム、全てが鬱陶しい」「だが思い上がった新人を撃った時の感覚はいいもんだ」「だからここにいるんだ」— - ジョーブレイカーのチームキャプテン、フランク・ブレジンスキー
タンクコマンダーアリーナファイター有名なスーパースターこの質問を10人に聞けばそれぞれ違った答えが返ってくるだろう。だが、Armoured Persona とは一体何なのか?
金属製の肉体
Armoured Persona とはアーマードコンバットアリーナ(ACA)にてチームで戦車バトルに参加する者達の呼び名だ。
ACA戦闘の際、各Armoured Persona (AP)は自身が選択した専用の機体1機を使用することができる。これらの機体は以下の基準を満たさなければならない。
- 機体は20世紀の装甲車両のレプリカであること。
- 車両タイプはアーマードコンバットアリーナ協会によって使用が許可されているもの。
- 製造とアリーナでの使用のための車両設計の正式な所有者であること。
多くの場合、APは自分の趣向、戦闘スタイルにマッチした特定の車両を選び出し、その車両の操縦を徹底的に極める。
最大規模の大会においてはプロの卓越した操縦技術を目にすることができる。驚異的な正確さ、無駄のない理想的な動きができるパイロットのみがArmoured Persona の名を冠することができる。戦闘中の戦闘員達はまるで自身が操る機体の化身のような存在となる。
アリーナのロックスター
アーマードコンバットはスポーツとしてはまだ比較的新しいジャンルではあるが、世界中で最も人気のスポーツとなりつつある。数十億単位の収益を生み出す大規模なスポーツであり、一夜にして大富豪へと変貌するアーマードペルソナが現れるのも珍しくはない。
だがこういった事は全く驚くべきことではない。何故ならば全てのArmoured Personaは安定した収入を犠牲にしてチームや企業の代表として活動しているからだ。彼等の報酬は成績やチームの財力によって変動し、月収は数千ドルから何十万ドルにも成り得る。
また、卓越したAPのみが獲得できる高い名声はそこには含まれない。名誉あるAP達は夜のトーク番組やスターの集まるイベントに華々しく登場し、ストレスや戦闘の苦しみから逃れ、新たな場で人気を獲得している。
戦闘兵器、解体へ
アリーナで使用される装甲車両は20世紀半ばに登場した車両と比較して外観、動き、音などの面で非常に似通っているが実際には大きな違いがある。今日アーマードペルソナが使用する機体は近代技術を結集し、完全スポーツ向きに設計された機体なのである。
20世紀半ばに登場した実際の戦車には大きな金属パーツ同士の溶接が用いられていた可能性があるが、APによって使用される今日の機体は人工知能を持つナノマシンによって特殊な施設で製造される。製造工程は始めから終わりまでおよそ1時間ほどで完了する。
各車両は組み立て作業が完了した時点で弾薬の装填もなされており、直ちに戦闘に投入できる状態となっている。
アーマードペルソナ用車両を製造できる特殊施設は世界中を見ても現時点では限られた数しか存在していない。車両のパーツ等を収容する巨大なスペースが求められるため、多くの場合、アーマードコンバットトレーニングセンターのガレージやアリーナそのものが施設として利用される。
戦う理由キャリア形成場所としてのアリーナ
華々しく見えるアーマードペルソナ達だが実際、彼等の生活は計り知れないストレスと疲労に満ちている。彼等の頑丈な肉体は並の人間よりも大きなダメージに耐えることができるが、生物にとって大きなストレスの原因となる痛みを同じように感じるのだ。定期的な診察を受けなければ戦闘で蓄積したダメージは後に大きな精神障害となってしまうだろう。
活動中のAP達にとっての懸念は肉体的な苦痛だけではないということだ。実際、ACAAは毎年引退を希望するAP達から200通を超える辞職届けを受け取っている。引退の理由について調査したところ、ほとんどのAPは「成績の不振」を理由とした。きっと彼等は最初に掲げた目標である富と名声を手に入れることに失敗した出来損ないのACAチームから抜け出すことができなかったのだろう。
そんな状況に陥っていてもアリーナの選手であり続けることを選択する者もいる。稀ではあるが、そこから思いがけない栄光を掴む者も少なからず存在する。しかし数字を見てみるとかなりシビアだ。ここ7年間でアーマードペルソナであり続けた人数は全体のおよそ20%のみとなっている。
Armoured Persona 厳しい現実
一般的にアーマードペルソナはエンターテイナーとして活躍していく中で評価や称賛といったものを得るものである。しかしその一方で彼等は大きな恐怖、憤り、そして偏見にもさらされてしまうのだ。
彼等を中傷するのは主に以下のような連中だ。
アーマードペルソナは全員、人類を一掃するために政府が秘密裏に作り出した兵器であると信じてやまない狂った陰謀空想家。
アーマードペルソナの存在が神に対する冒涜だと主張する過激な宗教家。
人間の存在が危機に晒されているという恐ろしい考えに苛まれた人々。
彼等がAPに嫌悪感を抱く理由はシンプルだ。アーマードペルソナは人体改造を受け、金属の肉体を手に入れた人型のサイボーグなのである。この人体改造によりAPは通常の人間では不可能である正確無比な操縦技術、射撃技術を手に入れられるのだ。
この人体改造を受けても顔の表情、体型などは損なわれないのでAP達は以前と変わらず社会に適応できるのだ。この彼等の本当の姿を隠蔽する試みによって世間の風当たりは幾分弱まったが、それでも現在の社会、メディアにはアーマードペルソナに対する差別が根強く残っている。