栄光への道: ラファイエット・G・プール
プール勲章は『World of Tanks』の中でもレア中のレアと言われる勲章です。1戦中に10～13輌の敵車輌を撃破したプレイヤーに授与されます。勝利への強い意志と的確な判断力、そして経験と技量。多勢に無勢の状況下でも、持てるものすべてを駆使しなければ獲得は難しく、真の実力を備えたプレイヤーが獲得できる勲章と言えるでしょう。その名前の由来となったラファイエット・G・プールとは、果たしてどんな人物だったのでしょうか？ 一緒に彼の功績と人となりを見てみましょう。
（写真1 – プール – 出典: Wikipedia）
ラファイエット・グリーン・プールは1919年7月23日にアメリカのテキサス州オデムに誕生しました。少年時代からボクシングの素質を発揮したプールは、10代から20代前半までの間、アマチュアボクシング選手として活躍します。1938年に高校を卒業した彼は、海軍への入隊を希望しますが、アマチュアボクシングの選手時代に負った目の怪我が原因で入隊を拒否されてしまいます。そこで工学を専攻するために、Texas College of Arts and Industriesに進学します。
短い大学生活の後、1941年にアメリカ陸軍に入隊し、新設されたばかりの第3機甲師団に配置されます。入隊後もボクシングへの情熱を持ち続けていたプールは、陸軍兵士としての訓練期間中に、全国陸軍選手権のボクシング大会にも出場しています。
（写真2 – プール – 出典: Wikipedia)
プールにとっての大きな転機となったのは、新車輌「M4 Shermans」の登場でした。当時、彼は軍曹（Staff Sargeant）への昇格が決まり、それと同時に将校候補者学校（Officer Candidate School）への入学も決まっていました。まさに軍人としての輝かしい出世コースへの第一歩を踏み出そうとしていたのです。しかし彼は自らが選んだ搭乗員たちと一緒に戦闘に参加するために、このオファーを断ってしまいます。
“The Pups（子犬たち）”という愛称で知られる彼の搭乗員たちは、プールを“War Daddy”と呼び慕っていました。搭乗員はそれぞれを個性的なニックネームで呼び合っており、家族のような信頼関係を築いていたことがうかがえます。17歳の操縦手バート・“Schoolboy（学生）”・クローズ、装填手のデル・“Jailbird（常習犯）"・ボッグス、主砲手ウィルス・”Groundhog（ウッドチャック）”・オラー、そして副操縦手ウィルバート・“Baby（ベイビー）”・リチャード。1943年9月、訓練の継続のために全員がイギリスに渡航します。
（写真3 – プール – 出典: Wikipedia）
1944年6月27日、ほぼ1年にわたる訓練の後、プールは先鋒部隊の指揮官として戦闘に参加することになります。プールの最初のM4A1シャーマン「イン・ザ・ムード1号」は、ノルマンディー包囲戦で1944年6月29日にパンツァーファウストによる攻撃を受けて撃破されるまでの6日間戦い続けました。プールの2輌目のM4A1シャーマン「イン・ザ・ムード2号」はフロマンタルという集落でドイツ軍の残敵掃討任務にあたり、1カ月半の間にわたった活躍します。しかし、1944年8月17日に友軍のP-38戦闘機に誤射され破壊されてしまいます。
3輌目そして最後のシャーマン「イン・ザ・ムード3号」はドイツ軍のパンター戦車の待ち伏せ攻撃を受け、2度目の被弾の後に横転してしまいます。この際にプールは車長ハッチから吹き飛ばされた上、砲弾片で脚に大きな怪我を負ってしまいます。この時プールは、持っていたポケットナイフで自身の傷ついた脚をその場で切断しようと試みたそうです。その時は切断には至らず、退却後、外科医によって負傷した脚が切断されたそうです。
（写真4 – プール – 出典: Wikipedia）
81日間という比較的短い期間だったにもかかわらず、プールと彼の搭乗員は大きな戦果をあげました。確認されているだけで、撃破した敵戦車12輌、その他の装甲車両および自走砲258輌、1,000人以上の兵員、250人の捕虜。この戦功によって撃破王（Ace of Aces）の1人としてその名が知れ渡ったプールは、殊勲十字章、レジオン・オブ・メリット、銀星章、名誉戦傷章、レジオンドヌール勲章など、数多くの勲章等を受章しています。
終戦後、22ヶ月間のリハビリを経て義足を受け取ったプールは、1948年に再び陸軍に入隊します。そして晩年は彼の古巣である第3機甲師団に配属され、自動車整備教官を務め、後進の育成に力を注ぎました。
- ミッション：プール勲章