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ノルマンディー上陸作戦「D-デイ」記念: ディエップの戦いとホバーツ・ファニーズの誕生

歴史特集
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今年のD-デイ記念記事として、ノルマンディー上陸作戦のために開発された特殊な戦車の話を見て行きましょう。その物語はディエップの戦いの悲劇からはじまります。

ディエップの大惨事

1942 年に行われたディエップの戦いは連合軍司令部にとって容赦ない大惨事でしたが、その教訓は後に生かされました。この作戦今後行われるであろう大規模上陸作戦で戦車や歩兵を海岸から上陸させ、港を占領することができるかのテストケースであったとも言われおり、連合軍はこの作戦で上陸作戦のために開発していた戦車をデビューさせました。

しかし、この作戦に参加した戦車の多くは使い物にならず、戦車兵ともども多くが捕らわれてしまいました。投入された車輌の欠点は誰から見ても明らかになり、上陸作戦用の戦車には根本的な見直しが必要でした。

何を変える必要があったのか

「現状ではチャーチル歩兵戦車は貧弱で時代遅れで、簡単に倒せる」 ― ディエップの戦いに参加したチャーチル歩兵戦車についてのドイツ側の報告

ディエップでの失敗はイギリスのチャーチル戦車の大きな弱点を明らかにしました。歩兵戦車として設計されたチャーチルは歩兵とともに進軍してそれを守るために作られたものでした。重装甲で、砲塔に主砲を、そして車体に榴弾砲を持っており、対歩兵・対戦車能力を持った誰にも止めることのできない圧倒的な戦車であるはずでしたが、動きの鈍さ、その重量そして露出した履帯が災いしてディエップの海岸で釘付けにされただの攻撃の的となってしまいました。砂浜に履帯を取られ、砂利の上では滑り、一発も撃たずに撃破されてしまうチャーチルも多く見られました。

チャーチルの設計上の問題だけではありませんでした。事前に状況がわからず、障害物があふれている海岸に戦車を上陸させることの難しさを連合軍はここで痛感します。海岸には通過不能な岩場が点在し、その間には鉄条網や地雷、対戦車障害物などが敷設されていました。なんにしても、連合軍が再び上陸作戦を決行する前に車輌には大幅な改修が必要なのは明白でした。

ホバートとゆかいな仲間たちの登場

ここに新しい風を吹き込んだのは第 79 機甲師団を指揮していたパーシー・ホバート少佐でした。ディエップの戦いでの教訓から改良をされた車輌はホバート少佐の監督のもとで開発されたことから 「ホバーツ・ファニーズ (ホバートのゆかいな仲間たち)」 と呼ばれました。

「ゆかい」 と形容されるだけのことはあり、元から奇妙な形のチャーチル戦車には巨大な地雷除去機や、障害物の前で展開できる架橋などが取り付けられました。他の戦車や歩兵はこの架橋の上を通ることで、鉄条網などの障害物を安全に乗り越えることが出来ました。

改造をされたのはチャーチルだけではありません。有名な例として シャーマンDD (デュプレックス・ドライブ) があります。この車輌は水中ではプロペラで動力を得ることができ、陸に上がったら通常の戦車のように履帯で動けました。チャーチルと比べてM4シャーマンは軽量だったため、揚陸艇により多く積み込むことができました。海岸から 3km ほどの地点で水に降ろされ、戦車は自力で海岸まで渡ることができました。搭乗員にはとってはとても危険な行為であり、これに乗り込んだ勇敢な兵士には敬意を払わずにはいられません。しかし、戦車を海岸まで到達させる課題に関してはこれである程度めどがたちました。

下の写真にある シャーマン・クラブ はチェーンで砂浜の地雷を叩いて除去する車輌です。地雷は戦車の大敵だったので、これも重宝された車輌の一つです。

結局役に立ったのか

「ファニーズ」 はD-デイの作戦で重要な役割を果たしたのは疑う余地がありません。これら特殊車輌の活躍は、戦場での戦車の役割が対歩兵、対戦車戦闘に限られないことを表しました。もちろん、歩兵や戦車相手の戦闘が戦車の主任務ですが、「ファニーズ」 は幾度と無く歩兵に頼られ、困難な状況に戦闘工兵ならではのエンジニアリング的な解決策を提供しました。

しかし、大きな疑問がひとつ残ります。果たして「ファニーズ」が World of Tanks にやってくることはあるのでしょうか?これらの車輌が World of Tanks に登場したらどのように活躍できるのか (あるいはでないのか) フォーラムで議論してみてください!

Roll out!


参考文献:

Atkin, Ronald - Dieppe 1942: The Jubilee Disaster

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