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また、今回はこのスペシャルな車両をさらに知ってもらうために、ウォーゲーミングジャパン ミリタリーアドバイザー 宮永忠将 / Phalanx が解説します。
ぜひ、お楽しみください!
九七式軽装甲車と、その前身である九四式軽装甲車は、文字通り、日本帝国陸軍の軍馬であった。九五式軽戦車や九七式軽戦車が宝石のような存在であったのに比べれば、歩兵とともに行動し、戦車のように働いてくれるこの装甲車の方がよほど馴染みある兵器だっただろう。
今回、この興味深い車輌が World of Tanks に導入されるとのことなので、どんな歴史を持った車輌なのか、簡単に解説してみたい。
始まりは1931年 (昭和6年) にさかのぼる。当時、日本陸軍では試製一号戦車の開発成功を受けて、本格的な戦車部隊編成に着手したばかり。その折に、将来の機械化に備えて「歩兵戦闘用豆戦車」と「特殊牽引車」が歩兵科側から要求されたのだ。軍ではさっそくイギリスからカーデンロイド装甲車を調達して、実地で試すことになった。当時、機関銃搭載型がある種の軽戦車としても流用可能ということで、世界的なベストセラーとなっていた。
歩兵科と騎兵科では、概ね好評化であったが、サスペンションの効きが悪くて、疲労が激しいとの指摘が多かった。そこで軍ではカーデンロイド装甲車をベースとしつつ、前線に歩兵に弾薬や武器を届けるのを主任務とする装甲牽引車と被牽引車 (トレーラー) を開発を決めた。
日本の戦車設計をリードする原乙未生少佐を中心に開発された車輌は、基本、カーデンロイドに倣いながらも、容積を確保するためにエンジンと操縦席を併用して、機関を車体前部に配置したり、機関銃を射界が限定される固定装備ではなく旋回銃塔に変え、サスペンションをシーソー式にするなど、居住性を大きく改善していた。
これが九四式軽装甲車である。当初は「特殊牽引車」と呼ばれていたが、機関銃を標準装備とするのに実態に合わないということで「軽装甲車」に種別変更された。しかし「特殊牽引」を表す TK 車というのが、この車輌の一般的な呼称となった。エンジンはフェノメン社の32馬力ガソリンエンジンのライセンス版を採用している。
九四式軽装甲車は1935年 (昭和10年) から量産が始まり、2年後には 746 輌と、日本としてはかなり速いペースで生産された。
九四式軽装甲車は戦車部隊の補助車輌をメインに、戦局に応じて軽装甲部隊の主力車輌とする構想のもとに部隊配備を進めた。歩兵師団には弾薬運搬車として割り当てられたが、実際には軽戦車として使われるのがもっぱらであった。騎兵部隊では偵察用の快速装甲車として重宝し、中国戦線では非常にポピュラーな「軽戦車」になっていたのだ。
しかし部隊運用が進むと、TK 車には不満も出てきた。戦車の代用にされたのだから当然なのだが、6.5 mm 機銃1丁だけでは威力が弱すぎるというのだ。折しも戦車用ディーゼルエンジンの量産にめどが立ってきたこともあり、陸軍では九四式軽装甲車を暫時、37 mm 砲ないし九七式7.7 mm 車載機銃を搭載できるよう回収作業を進めつつ、新設計の軽装甲車の開発も開始した。
これが今回 World of Tanks で導入された九七式軽装甲車である。試作車として、エンジンを車体前部に配置したものと、後部に配置した2つの案で施策されたが、最終的に後者が制式採用された。
車体は若干重くなったが、主機には 55 馬力の池貝製空冷式ディーゼルエンジンを採用したので、機動性は向上している。
戦場では主に騎兵部隊の捜索車輌や、戦車連隊の連絡用車輌として重宝した。しかしもともと戦車戦を想定しておらず、
機動力を発揮する余地がない島嶼の戦いでは戦力にならなかった。戦後、大半はスクラップにされたが、一部の車輌は
ドーザーブレードを付けて簡易ドーザーとして戦後復興に役立てられたほか、中国に残された車輌は国共内戦でも使用され続けた。
解説文:ウォーゲーミングジャパン ミリタリーアドバイザー 宮永忠将 / Phalanx
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