グラフィックは、大破した戦車の残骸や草木などを表現し、リアルな戦場を作り上げる上でのバックボーンです。そして新グラフィックエンジンのおかげで、水面、地形、雲、木々その他のあらゆるものを組み合わせて迫真のリアリティを持った戦場を実現することが可能になりました。
この大幅なヴィジュアル向上を受けて、アップデート 1.0 が World of Tanks の見栄えをどのように再定義するのかを詳しくご紹介する 3 部構成の記事をご用意しました。今回は、空の雲および影にフォーカスを当てます。
グラフィックをリアルに見せる要素とは?
グラフィックには、建造物、植物、その他の様々な小型オブジェクトが含まれていることは誰でも知っていますが、直接見ることができない要素こそが最も重要かも知れないのです。その例として最たるものが、ライティング (照明効果) であると言えるでしょう。適切なライティングなしでは、あらゆるものが存在感を欠き、細部の描写は失われてしまいます。地形も不可欠であり、地形が存在しなければ、車輌は永遠に落下を続けることでしょう! 空や水面も重要であり、これらが存在しなければ、世界は暗く憂鬱になってしまいます。
そして私たちの目標は、これら全ての要素についての最高の組み合わせを実現し、リアルな戦場を作り上げることにあります。加えて、単にリアルであるだけではなく、パフォーマンスを低下させないように尽力する必要もあるのです。
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1.0 におけるグラフィックの変化について詳細に紹介し、それに気付いて頂くことは簡単なことではあるのですが、その分、量は膨大なものになります。そこでまずは、個々の改良点に関する詳しい解説を始める前に、このゲームの大幅なリマスターとなるアップデート 1.0 を支える重要な柱、ならびにそれ以前からの取り組みに関して、概要をご紹介しておきましょう。
- 予備的な取り組み: アップデート 15 では、DirectX 11 への対応が追加されましたが、これは主として DirectX 11 に対応したシステムにおけるパフォーマンスを向上させるためのものでした (しかし、この段階で既に今後のグラフィック改良について計画中だったことを想像して頂けると思います)。
- 技術的プラットフォーム: ある時期に、従来の BigWorld エンジンは今となっては古すぎ、大幅な進化を実現できる余地がないことに気付きました。そこで、ヴィジュアル面の改良プロセスをキックスタートすべく新たなグラフィックエンジンを開発し、従来のエンジンにはなかった技術的能力を実装しました。
- コンテンツの再デザイン: あらゆるマップの大半のコンテンツを、新エンジンがサポートするあらゆる技術を活用して完全に作り直しました。
- 最適化: 新たなヴィジュアルを全ての皆さまに楽しんで頂けるように、グラフィック負荷を下げるべくグラフィック・サブシステムおよびプロセスの最適化を図りました。その結果としてフレームレートと安定性が確保され、誰もが新しいグラフィックを楽しめるようになっています。
グラフィック向上のための作業は、アップデート 1.0 が終点ではありません。今後も最新の技術を培ったり採り入れたりし続けるつもりであり、アップデート 1.0 はそのための大きな一歩に過ぎないのです。堅牢な基盤を手にした今、2018 年中も今後も、リマスターされたゲームの見栄えを発展させ続けていきます。
概要は以上となります。それでは、詳細をご紹介していきましょう!
常に変化し続ける空
フォトリアルなスカイボックスのおかげで、プロホロフカでは常に素晴しい好天をお楽しみ頂けます。従来の空はやや作り物という雰囲気でしたが、今や雲が風に乗って流れ、ライティングに応じて空の色が変化します。
私たちは SpeedTree 6 を World of Tanks における必要を満たすべく大幅にカスタマイズした上で組み込み、草木とライティングとの相互作用に大幅な変更を加えました。こちらをご覧ください:
さらには、この技術はオブジェクト同士の光の相互作用を計算します。例えば、光が色つきの半透明オブジェクトを通り抜けた場合には、他のオブジェクトの表面に色つきの影が生成されるのです。
アダプティヴ・シャドウマップは、建造物、岩石、木々などの静的オブジェクトの影を計算し、再利用可能な特別シャドウ・テクスチャに保存します。これは、CPU およびグラフィックカードへの負荷を軽減することに繋がっています。そして、動的オブジェクト (車輌、倒木など) に対しては、改良版のダイナミック・シャドウが適用されます。
新グラフィックエンジンの影は、パーティクル・エフェクトと相互作用します。これにより、蒸気やダスト、煙が、半透明の影を伴うようになりました。例えば、山が落とす影の中を走行する際には、履帯が巻き上げるダストが不自然に光ることはなくなります。その代わりに、ダストが山の影の影響を受け、車輌や付近にあるその他のオブジェクトと同様に照明計算されるようになるのです。そしてついに、様々なマテリアル (材質) の深みをより正確に表現する上で役立つマテリアル・シャドウ・エフェクトについても適用することができました。
「百聞は一見にしかず」と言いますよね? ぜひこれら全ての変更点を、自分の目でご確認ください! パート II では、水面および地形の目覚ましい進化に関する詳細をご紹介する予定ですので、どうぞお楽しみに。