【先行偵察ミッション】シーズン2021の結果報告

戦車長の諸君!

先行偵察ミッション」モードを覚えているだろうか。昨年初めて期間限定で実装されたモードで、まだ開発段階にあるマップで戦闘を行い開発チームへフィードバックを寄せることができるのが特徴だった。マッチング・システムの調整など一時的なトラブルはあったものの、合計200万人以上のプレイヤーが参加し、100万件以上のフィードバックが寄せてもらうことができた。こちらの記事では、諸君らの積極的な参加に感謝の意を示すとともに、データの分析過程と今後の展望を報告したい。

先行偵察ミッションとは?

「先行偵察ミッション」モードは3つのステージに渡って開催された。どのステージにもまだ開発中のマップが3つ登場し、規定数の戦闘を行うと気に入ったマップ、あるいは気に入らなかったマップに投票したり、フィードバックを送信できるようになっていた。こうした投票結果やフィードバックと並行して、開発チームはマップを統計的に分析するためのデータも集計していた。その集計および分析結果を以下で紹介しよう。

 

目次

前哨地 極東管区 飛行船工場
霊験の地 山麓 ヴォルガ
キャニオン オイスター・ベイ 凍える大地

評価の基準

「先行偵察ミッション」の最終的な目的は「ゲームに優先的に実装するマップの決定」と「その調整および改良に必要となるデータ収集」にある。そこで重視すべき基準は以下の2つだ。

  1. 客観的なバランスと多様性
  2. プレイヤーの好みや意見

まず、客観的なバランスの観点から「霊験の地」を近い将来のさらなる調整候補から外すこととなった。チーム間での勝率に12.8%もの差が生じていたためだ。一方、勝率のバランスが最も取れていたのは飛行船工場で、両チームの差はわずか1.7%に留まっている。また、平均戦闘時間はマップを問わず7~8分で、少なくともサイズ、会敵までの時間、交戦のペースについてはどのマップも適切に設定されていたことが伺える。

以上の結果を踏まえて、「霊験の地」に関しては今回の候補から除外し、根本的なバランス改善を行うこととした。残りのマップについては諸君らから寄せられたアンケートへの回答やフィードバックの分析を行った。

アンケートの内容は以下の通りだ。

  • マップを気に入ったか
  • マップが実装されて欲しいと思うか
  • 軽戦車、中戦車、重戦車、駆逐戦車、そして自走砲でのプレイに適していると思うか
  • 自走砲からの攻撃に対する遮蔽物が充分に存在すると思うか
  • 様々な立ち回りが可能か

以上のような定型の質問に加えて回答者が自由に意見を述べることができる項目も用意してあった。

アンケートの分析方法

アンケートの目的はプレイヤーの体験を分析することにある。体験は主観的なものだが、正確に評価するにはやはり回答内容を客観的に分析するための数値に変換する必要がある。そこで各回答の選択肢にポイントを割り当て、各マップ候補が取得したポイントの合計値を基にマップ候補の人気ランキングを作成した。最後に、以上の方法で収集した客観的なデータを諸君らから寄せられた意見やフィードバックと比較した。客観的な事実と主観的な経験の間に齟齬が無いかを確かめるためだ。

いくつか具体例を挙げよう。アンケート上で立ち回りの多様性の観点から最も高評価を得たのは前哨地オイスター・ベイで、反対に評価が最も低かったのは「ヴォルガ」だ。この結果は全車輌の行動を視覚化したいわゆる「ヒートマップ」とも一致している。

 軽戦車  中戦車  重戦車  駆逐戦車  自走砲
前哨地 ヴォルガ

「ヴォルガ」のヒートマップを見ると重戦車と中戦車がほぼ決まったルートをひとつしか採用していないのが分かる。他方、「前哨地」では取り得るルートが少なくとも2つ以上存在している。

この事実と密接に関連していると考えられるのが自走砲の位置づけだ。アンケートを見ると、オイスター・ベイがただ立ち回りの幅が広いだけでなく自走砲の攻撃に対する遮蔽物が最も多いマップとしても評価されていることが明らかになる。一方、「ヴォルガ」は「遮蔽物が少ない」と評価されている。総括すれば、「オイスター・ベイ」は自走砲の射線を切る手段や取り得るルートが多く、こうした立ち回りの自由さがアンケートやヒートマップにも反映されている。そしてその逆の傾向を示しているのが「ヴォルガ」だと言える。

「オイスター・ベイ」での自走砲の命中弾 「ヴォルガ」での自走砲の命中弾

客観的なデータと主観的な体験が一致していない例も紹介しておこう。統計データによれば、軽戦車の平均取得EXPが最も高かった、つまり軽戦車が最も活躍できるマップは飛行船工場となっている。しかし、アンケート回答者が軽戦車で最もプレイしやすいマップとして選んだのは「極東管区」だった。すでに上でも述べた通り、「飛行船工場」は勝率の観点からすると最もバランスのいいマップと言える。しかし、できるだけ多くのプレイヤーが主観的に楽しめるマップを実装するという観点から見れば、軽戦車に代表されるような統計データとは異なる体験も無視できない。

今後の展望

結論としては、統計的なバランスと主観的な体験の双方を考慮した上で、今後は以下4種類のマップの開発を優先的に進めることとしたことをここに報告したい。

  • 前哨地
  • オイスター・ベイ
  • 極東管区
  • 飛行船工場

インタラクティブ画像 — ミニマップ上に表示された数字にマウスをかざすと詳細が表示されます。
前哨地
オイスター・ベイ
極東管区
飛行船工場

廃墟と化したかつての市街地。重戦車が真っ先に向かうべきエリアのひとつと言える。部分的に地盤の高さが異なるため、地形や俊敏性を活かしたダイナミックな立ち回りが活躍のカギとなる。

マップ中央の丘にそびえるのが、名前の由来ともなっている前哨基地だ。制圧にはリスクがつきまとうものの、確保に成功すればマップ全体を掌握することができる。

遮蔽物が少ない平野。機動性に優れた車輌や狙撃車輌が優先的に向かうべきエリアのひとつとなる。俯角や仰角が広いとより有利に戦いを進めることができる。

開けた土地に沿ってはしる塹壕。敵の射線を避けながら市街地と前哨基地の間を移動するのに最適だ。

開けた土地に沿ってはしる塹壕。敵の射線を避けながら市街地と前哨基地の間を移動するのに最適だ。

遮る物の少ない浜辺エリア。サイズが小さく機動性に秀でた車輌にうってつけだ。

マップ中央を走る川には小島が浮かんでいる。敵陣地への最短経路のようにも見えるが、様々な方向から射線が通るため、不用意に留まるのは危険だ。

川沿いには巨大な岩壁が聳えている。自走砲や狙撃車輌の射線を切りやすいため、機動性に難のある重装甲車輌で徐々に戦線を押し上げるのに最適なエリアと言える。

そこかしこに岩石が見え隠れする砂州エリア。開けているように見えて射線を切る手段が多いため、重戦車同士の撃ち合いが予想される。

味方への火力支援を行うのに適した狙撃ポジション。

味方への火力支援を行うのに適した狙撃ポジション。

川に沿って建設された軍事施設群。重戦車でこのエリアを突破できれば、敵陣地まで遮るものは何一つない。ただし、小回りの利く敵車輌に側背面を突かれる可能性もあるため、細心の注意が必要だ。

掘削作業が進められている川床エリア。マップ全方位から射線が通りやすいためリスクがつきまとうものの、大胆な強行偵察を得意とする軽戦車でうまく立ち回れば大きな戦果が期待できる。

マップ中央部を斜めにはしる滑走路を横切るためのトンネルです。中央部と北東部を素早く移動する際に役立ちます。

マップ中央部を斜めにはしる滑走路を横切るためのトンネルです。中央部と北東部を素早く移動する際に役立ちます。

戦火により廃墟と化した格納庫群。自走砲や駆逐戦車の射線を切ったり、側背面からの攻撃に備えるための遮蔽物が多いため、重戦車に適している。

墜落したツェッペリン飛行船の残骸。瓦礫やわずかな起伏を活用すれば、戦闘全体を通して偵察を行うことができる。

マップを縦にはしる線路の東側のエリアは、機動性に優れた車輌や仰俯角の広い主砲を頑丈な砲塔に搭載した車輌に最適です。自走砲の射線が通りやすいため、1か所に留まらないのが重要になります。

陣地付近の狙撃ポジション。占領を試みる敵車輌を迎撃するのに適している。中央を制圧した敵の偵察車輌が強引な突破を図ってきた際には逃してはならない。

陣地付近の狙撃ポジション。占領を試みる敵車輌を迎撃するのに適している。中央を制圧した敵の偵察車輌が強引な突破を図ってきた際には逃してはならない。

格納庫に続く搬入ルート。格納庫エリアを制圧されそうになった際にはこのルートを通って迎撃ポジションまで撤退するのがひとつの好手になる。敵陣地の占領を試みる際には、建造物をうまく活用することで敵狙撃車輌の射線を切ることができる。

格納庫に続く搬入ルート。格納庫エリアを制圧されそうになった際にはこのルートを通って迎撃ポジションまで撤退するのがひとつの好手になる。敵陣地の占領を試みる際には、建造物をうまく活用することで敵狙撃車輌の射線を切ることができる。

以上が今後さらなる調整の対象となる4つのマップだ。調整の対象にはバランスやゲームプレイだけでなくグラフィックも含まれる。現在のところ以上のマップのうち少なくともいくつかを年内に実装したいと考えているが、場合によっては改めて「先行偵察ミッション」モードを実装してデータの収集を行う。詳細は追って報告する。

最後に、新たな試みとして実装した「先行偵察ミッション」モードを実りあるものにしてくれた諸君らに改めて感謝したい。今後も『World of Tanks』を引き続きご愛顧いただきたい。

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