マップ開発状況 2 – HD マップにおけるレベルデザイン改良

HD 化作業中の各種マップのレベルデザイン改良に関して引き続きご紹介します。今回ご紹介するのは、キャンプ合戦になりがちだった「エーレンベルク (Erlenberg)」、南北で勝率に差異があった「ステップ (Steppes)」、そしてどの車輌タイプでも楽しめるように改良中の「ハリコフ (Kharkov)」です。

注意: この記事は最新の開発状況をお伝えするものですが、正式リリースまでにはさらなる変更が加えられる可能性がありますので、予めご了承ください。今後も引き続き最新情報をお伝えしていきますのでお楽しみに。

エーレンベルク

バランス問題: 「エーレンベルク」での戦闘は、キャンプ合戦 (動きの乏しい睨み合い) になりがちである、という悲しい傾向がありました。マップの中央部には多くの遮蔽物が用意されているとはいえ、戦闘のほとんどは北西部および南東部で発生していました。このマップにおいては、早期に丘に陣取って防衛網を築き、敵が中央を急襲してくるのを待つ、というのが定番の展開でしたが、しかし敵が中央を急襲してくることは滅多になく、両チームともにただ待ち続けるだけ、という展開になりがちだったのです。

そして、誰もがその理由を知っています。連携しつつ急襲を図ることはただでさえ難しいことであるのに、このマップの場合は両陣営の陣地が対角線上に配置されており、東西は深い川で分断され、その川を渡れる部分は、3 ヶ所の橋だけなのですから。中央の橋を渡る際には、東西いずれかの丘から狙撃され、必ず数発被弾してしまう。他の橋の場合もそれは同様で、渡ろうとすれば多くの注目を集めてしまっていたのです。

加えて、地形もまた味方ではありませんでした。丘は、狙撃車輌にとって (自分が丘上に陣取っている場合を除き) 射線を阻む存在でした。 同時に、良好な砲俯角を有する軽・中戦車であっても、丘の配置の関係上、不規則な地形をうまく活かすことは困難でした。

変更点: 戦闘の多様化を図るべく、中央の町や川沿いのエリアをリデザインしました。川を渡れる部分についても増やしており、河岸には頑丈な家屋群を配しました。そしてこれらの家屋群は、中央部に近付くほどに高密度になっています。このエリアのスペースは重戦車にとっては充分なものではありませんが、良好な装甲を備えた中戦車であれば、頑丈な遮蔽物が数多く存在するこの広いエリアを活用し、大胆にも接近してきた敵を迎え撃つことができます。このエリアを確保することは、戦闘の後半において、または川を渡る際には極めて重要となるはずです。

地形にも多くの改修を加えました。平野部を狭め、峡谷をより明確なものにし、木々の密度を高めて充分な隠蔽効果を持たせるようにしました。その結果として、マップの状況がより読みやすいものになり、敵の今後の動きを予測して自分たちの動きを練ることがやり易くなるはずです。

しかしながら、町エリアへの変更に伴って戦闘のダイナミクスは改良されたものの、この町を人気のスポットにするには不充分でした。すなわち、町にある頑丈な遮蔽物を有効活用することなく、川の対岸を確保することを目指すという、従来通りの展開になりがちだったのです。そこで、この町をより魅力的なものにすべく、さらなる調整を加えました:

  • 町の構造を単純化して防衛地点を活用しやすくするために、いくつかの道をブロックしました。
  • このエリアを支配し易くするために、町に至る突破ルートを減らしました。
  • 高い建物を追加し、中央の町の中にあった射線が通る隙間 (破壊された建造物の裂け目や窓など) を減らしました。これにより、丘の敵からの狙撃を恐れすぎることなく、町中での接近戦に集中できるようになりました。
  • 川の両岸にある新しく追加された防衛地点や強化された防衛地点から、製粉工場および城の背後にある人気地点をはっきりと確認できるようにしました。町から敵を追い出してこれらの新たな防衛地点を確保し、製粉工場や城に陣取る敵に対抗しましょう。
  • 川はもはや通過不能な場所ではなくなり、各所から渡れるようになりました。
ステップ

バランス問題: サンドボックス・テストの結果、マップの東部においては、南側チームの方が低地を通じて攻勢を仕掛けやすく、攻勢を仕掛けられた北側チームには、安全な退避ルートがない、という問題点が明らかになりました。

変更点 マップ東部を両チームにとってより楽しみやすいものにすべく、低地の両側に丘を追加しました。北側チームで支援任務にあたる場合には、この丘に陣取って中・長距離から敵を撃ち、進撃を遅滞させましょう。

低地エリアにも身を守れる地点が各所に追加されていますので、北側チームはこれを利用して安全に退避することができるようになりました。もちろん、退避に使うのみならず、敵による突破を阻止するための防衛線を築くためにも有用です。マップの北西側にある線路の背後のセクションにも防衛に使える地点が若干追加されていますので、これによって北側チームの防御力がさらに高められています。最後に、岩場付近のエリアからは、身を潜めつつ敵に長距離射撃を加えるチャンスが得られるようになりました。

最新状況: テストの結果として、改良を施した後であっても、低地においては南側チームの方が中央まで進撃しやすい、ということが明らかになりました。現在、このバランス問題を修正すべく対策を進めており、加えて、線路の背後の防衛地点についても強化を図っています。

ハリコフ

ハリコフは β テストではご利用いただけません。マップ「ハリコフ」に関する調整はアップデート 1.0 リリース以降に実施される予定です。詳細は追ってご報告します。

バランス問題: 大半の戦闘が、建物が自走砲による砲撃を阻んでくれる中央エリアで行われる傾向がありました。市街地での戦闘は、頑丈な中・重戦車に適しており、駆逐戦車 (外周部に留まる) にも活躍の機会がありましたが、その他の車輌にとっては、とてもプレイし辛いマップとなってしまっていました。 戦闘は短時間で終わってしまう傾向があり、接近戦が主体となっていました。

変更点: 全ての車輌タイプにとって楽しめるマップにするには、若干の調整では不充分である、という点には疑いの余地がなかったため、大幅な刷新を試みる必要がありました。リデザインは、まずマップサイズを 800 x 800 m から 850 x 850 m に拡張することから始め、防衛用の地点や開けたエリアを加えました。

最新状況: テストの結果として、戦闘時間が長めになり、ゲームプレイも戦術面において多様化されたものの、刷新版の「ハリコフ」は、(皆さまからのフィードバックによると) あまりにもオープンで、やや退屈である傾向が見られました。従って、これらの変更点については、ロールバックすることを決定しました。現在、刷新前のマップをベースに、全く新たなレベルデザイン調整を試みるべく作業中です。現在検討中の方向性は、市街地エリアを広げると共に、建物の密度を下げる、というものです。主要な名所 (シアター、スクウェアなど) は維持されますが、街のその他の部分は、交戦距離を伸ばして狙撃車輌 (無砲塔式駆逐戦車など) の活躍機会を増やすべく改修作業中です。

もし未読であれば、「猟師の港 (Fisherman’s Bay)」、「ルインベルク (Ruinberg)」、「ピルゼン (Pilsen)」のレベルデザイン改良に関する記事もご用意してありますので、こちらの リンク にアクセスしてご確認ください。マップ刷新に関する今後のニュースをお楽しみに。

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