戦車長の皆さん
アップデート 9.9 では World of Tanks のグラフィックスは大きく進化します。新しいアンチエイリアス方式の採用や、影の演出の変更、ライティングの改良、そしてパフォーマンスの向上が行われます。画質の安定に細心の注意が払われ、改良によりポストプロセス (HDR ブルーム、HBAO、RO など) による「チラつき」 が大幅に減少します。
今回の記事ではわかりやすく画質向上による変化を説明していきます。
アップデート 9.9 ではテンポラルスーパーサンプリングアンチエイリアシング (TSSAA) と呼ばれる新しいフルスクリーンアンチエイリアス方式がゲームに追加されます。
アンチエイリアス とはオブジェクトの端っこに発生するエイリアス (ジャギー) を減らす技術です。
TSSAA は画質が良く、画像が非常に安定する高いクオリティの期待できるアンチエイリアス方式です。この方式は細いオブジェクトのノイズやピクセルそして移動時の光沢面のチラつきを抑えます。
World of Tanks ですでに利用されている FXAA 方式と比べ、 TSSAA は効率的な一時的方式を利用し、アンチエイリアスを現在のフレームのみではなく、直前にレンダーされたフレームにも適用し、古いピクセルの位置を速度計算し復元することで、グラフィックカードにあまり負荷をかけずに映画のような映像を実現します。
同様な技術に TXAA がありますが、TXAA と違い TSSAA は特定のメーカーのグラフィックカードに頼ることなく高い質のグラフィックスを可能にします。
このような理由からゲーム業界では TSSAA が最適な方式とされています。アップデート 9.9 の TSSAA はWorld of Tanks で使われている BigWorld エンジン用に特別に一から開発されたものです。
TSSA アルゴリズムは 2 つのレベルから選択できます。
現在復元精度を高める研究が進められており、遠距離の物体の描画もシャープになるように改良を進めています。
アップデート 9.9 では影の効果を変更しました。これによりより質の高い影を低いプロセッサーおよびグラフィックカード負荷で実現できるようになりました。
画像は物体とその影の距離が離れた時の影のぼけを表現しています。右の木の陰はぼけて表現されていますが、戦車の影はより近い位置にあるためくっきりとしています。
表面の粗さなどで変化する光の反射を計算する双方向反射率分布関数 (BRDF) も改良され、新しい GGX ライティングモデルが採用されました。この最新のリアルタイムレンダリング技術はよりリアルで正確な映像を実現します。様々な材質に当たる光のリアルな表現が可能になり、特に HD リモデルされた車輌ではこの効果を体感できるでしょう。
新しい BRDF ライティングモデルのために、本来反射しない場所から光を取り除くRO (反射オクルージョン) アルゴリズムも更新されました。
これによりブルーム効果が安定しました。
シャドウの処理以外にもアップデート 9.9 では多くのグラフィックエンジンエンジンの効率化も行われ、静止オブジェクトや木、特殊効果生成時のパフォーマンスを向上します。
アップデート 9.9 ではグラフィックス設定の変更やプリセットの改良、フォグやブルーム設定の単純化も行われました。