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史実をもとに作られた第二次世界大戦映画七選

一般ニュース
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スターリングラード

『スターリングラード 』 (2001) はノンフィクション作品 『Enemy at the Gates: The Battle for Stalingrad』 ウィリアム・クレイグ(著) を元に製作された映画です。その名の通り、映画はスターリングラードでの戦闘とそれに巻き込まれた人たちのドラマを描きます。ソ連の著名な狙撃手、ヴァシリ・ザイツェフはジュード・ロウが演じました。物語にはヴァシリの功績を広めることでソビエト国民を勇気づけようとする、実在する人物をモデルにしていないダニロフ (ジョセフ・ファインズ) も登場します。クライマックスではザイツェフを倒しソ連兵の士気を下げる為に送られてきた刺客、エルヴィン・ケーニッヒ少佐 (エド・ハリス) との接戦が描かれます。

ヴァシリ・ザイツェフを演じジュード・ロウ

スターリングラード攻防戦時、ヴァシリ・ザイツェフは第2狙撃大隊、第1047狙撃連隊に所属する上級軍曹でした。スターリングラードでの戦闘中、ザイツェフはソ連のジャーナリストで作家のヴァシリー・グロスマンのインタビューを受けています。グロスマン著 『人生と運命』 と照らしあわせてみると、映画で描かれている戦闘はおおよそザイシェフが戦った場所で行われています。しかし、ケーニッヒ少佐が実在したと証明する戦闘記録は見つかっていません。


プライベート・ライアン

『プライベート・ライアン 』 (1998) はノルマンディ上陸作戦を描いた映画で、その戦闘シーンの激しさで有名です。特にオマハ・ビーチ上陸の場面は非常に生々しく表現されており、「戦争をもっともリアルに描いた映画の戦闘シーン」 と評されることが多いです。

映画はトム・ハンクス演じるアメリカ陸軍レンジャー中隊隊長、ジョン・H・ミラー大尉と隊員のパラシュート歩兵 「ライアン」 を探す任務の様子を追います。ライアンの救出の背景にはアメリカの既に近親者を戦争で失っている家族を戦闘任務から免除し、守る規定 「ソウル・サバイバー・ポリシー (‘唯一の生存者規定)」 に則って行われます。 (規定が正式に認められるのは 1948 年のことですが、それ以前にも家族を保護する取り組みは行われていました。)

ジョン・H・ミラー大尉を演じるトム・ハンクス (画面右)

映画は特定の出来事を元にしていませんが、実在したナイランド兄弟の物語にインスピレーションを得ています。ナイランド兄弟はニューヨーク出身の三兄弟で、大戦中に 「唯一の生存者」 となったと思われていたフレデリック “フリッツ” ナイランド三等軍曹は帰国することになります。しかし、その後戦死したと思われていた長男のエドワードが日本軍捕虜収容所に収監されており、生還を果たします。


大脱走

『大脱走』 (1963) はドイツの収容所にいる英連邦兵の話です。物語は、自らの体験からポーランドのスタラグ・ルフト III からの脱走劇を語ったポール・ブリックヒル著の同題名の小説をモデルにしています。登場人物も実在の人物か、実在した複数の人格を複合したものです。

しかし、映画化に至り事実をねじまげている部分もあり、例えばアメリカ人の役割は映画の主役であるスティーブ・マックイーンに活躍の場を与えるために加えられており、 ほとんど作り上げられたものです。捕虜の処刑は一箇所にまとめては行われておらず、また飛行機やバイクによる逃亡も実際にはありませんでした。(バイクの追跡シーンはマックイーンの要望により加えられました。)


ワルキューレ

『ワルキューレ』 (2008) はドイツ将校を取り上げた物語で、トム・クルーズ演じるクラウス・フォン・シュタウフェンベルクを中心に国家の非常事態に始動される 「ワルキューレ作戦」 を描きます。この計画の中にはヒトラー暗殺計画を含まれていました。映画化に至って変更された部分もありますが、7月20日の出来事はゲシュタポによって念入りに調査されており、正確に映像化するための資料がそろっていました。

フリードリヒ・オルブリヒトを演じるビル・ナイ (左) とクラウス・フォン・シュタウフェンベルクを演じる トム・クルーズ (右)

物語をわかりやすくするために大きく改変された歴史的事実の一つは中止された7月11日の第一のヒトラー暗殺計画の場所です。鞄に隠された爆弾はバイエルン州ベルヒテスガーデンで利用されましたが、映画ではヒトラーの防空壕、ヴォルフスシャンツェで行われたことになっています。


暁の出撃

『暁の出撃』 (1955) は実際に行われたチャスタイズ作戦、英国空軍第617飛行中隊による反跳爆弾を利用したメーネ、エーデルそしてゾッルペダムの攻撃を描きます。物語はポール ブリックヒル著 『暁の出撃』 および実際に作戦に参加したガイ・ギブソン著 『Enemy Coast Ahead』 の2つが原作となっています。爆弾が水面で反跳することなどの事実は原作の初版発行時はまだ極秘情報で削除されていましたが、後の増版では情報が解禁され追記されています。

この映画のクライマックスは 『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』 のインスピレーションになっており、新たなる希望のデス・スター破壊シーンはダム破壊シーンのオマージュとなっています。狭い谷間を抜けてデス・スターの弱点を狙うシーンは 『暁の出撃』 では 633 爆撃隊のデ・ハビランド モスキートがノルウェーのフィヨルドの外れにある岩に爆弾を落とし重要なドイツの工場を破壊するシーンが元になっています。


硫黄島からの手紙

『硫黄島からの手紙』 (2006) は日本側の視点から硫黄島の戦いを描く映画です。この作品は主人公の栗林忠道がアメリカ留学時に描いた絵手紙をまとめた 『「玉砕総指揮官」の絵手紙』 にインスピレーションを得ており、物語は梯久美子著 『散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道』 を元にしています。

栗林忠道陸軍大将を演じる渡辺謙

現在硫黄島は自衛隊の管理下にあり、一般人が立ち入ることはできませんが、硫黄島が所在する東京都の理解を得るため、監督のクリント・イーストウッドは石原都知事を訪問しています。また、映画で利用された USS テキサスは実際に硫黄島の戦いで艦砲射撃を行った艦艇の一つです。


ミケランジェロ・プロジェクト

『ミケランジェロ・プロジェクト』 (2014) はノンフィクション作品ロバート・M・エドゼル、ブレット・ウィッター著 『ナチ略奪美術品を救え─特殊部隊「モニュメンツ・メン」の戦争』 をベースにした映画です。ジョージ・クルーニー主演のこの作品はナチスが奪い、隠した美術品を探す連合軍の美術品保護部隊、「モニュメンツ・メン」 の話を追います。

実話を元にしていますが、登場人物の名前は変更されており、少しドラマチックに描かれています。例えば、オーストリア、アルトアウスゼーの岩塩鉱山に保護されていた美術品が無事だったのはヒトラーの 「ネロ指令」 に背いて連合軍進行前に岩塩坑を破壊しなかった親衛隊幹部のエルンスト・カルテンブルンナーの手柄が大きいです。また、その美術品の回収はイギリス特殊作戦執行部の 「ボンゾ」 作戦により行われました。

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