戦車長の諸君!
突然だが、「マップ」とはなんだろうか?優秀な戦車兵にとって、マップは単なる戦いの舞台ではなく、戦果を上げ、あるいは勝利を掴み取るための道具と言える。木を倒して茂みを重ね、一方的に敵を撃つ。あえて起伏に乗り上げることで強引に俯角を広げる。勾配の急な岩場をクライマーの如く駆け上がり敵部隊の背面を突く。こうした具合に、取りうる戦術や立ち回りの種類は、マップとプレイヤーが互いに影響しあうことで、多彩に広がっていく。『World of Tanks』のマップ開発において、《インタラクティビティー》、いわゆる《双方向性》の実現に力が注がれるのは、そのためだ。過去を振り返れば、少なくとも数年おきにマップに関する極めて重要なアップデートが行われていることが分かるだろう。例えば、アップデート9.13が実装されるまでは、建造物の内部で自走砲の射線を切りながら戦うという選択肢が存在しなかった。アップデート1.0では本作初となる破壊可能なオブジェクトが実装されている。ベテラン戦車兵ならば懐かしさを覚えるかもしれない。
さて、それでは本題に移ろう。イベント「先行偵察ミッション2023」では、従来の《マップのインタラクティビティー》を根底から変える新たなメカニズムが登場する。アップデート1.20.1の公開テストを通してみたり、実際に体験したプレイヤーも多いことだろう。「ランダムイベント」と「ダイナミックカバー」だ。「先行偵察ミッション」モードは5月15日19:00から5月29日00:59までプレイできるようになり、既定の条件を満たせば新メカニズムに関するアンケートもアンロックされる。ぜひとも積極的に参加して意見や感想をお寄せいただきたい。
先行偵察ミッション2023(HKサーバー専用)
休戦期間: 日本時間01:00~18:59
「ランダムイベント」と「ダイナミックカバー」は、どちらも戦車戦のリアルを突き詰めつつ、取りうる戦術の幅を広げることを目的としている。臨機応変に活用できれば、膠着状態を打開したり、不利な状況を覆すのも不可能ではないはずだ。優れた戦術眼と柔軟な発想力を兼ね備えた戦車兵ならば、特に気に入ってくれるに違いない。なお、イベント「先行偵察ミッション2023」を実施する目的は、開発中の新メカニズム候補をテストすることにある。本格的なテストはまだ始まったばかり。最終的な形を決定するのは、諸君たちだ。
ランダムイベント
新メカニズムについて改めて簡単に説明しておこう。「ランダムイベント」は、その名の通り、マップ上の特定の箇所でランダムに発生する出来事のことを指す。航空機の墜落や市街地への爆撃が一例で、マップの地形、植物相、建造物の構造などを大きく変化させる。「ランダムイベント」の主たる開発目的のひとつは、いわば外的な要因によって《強制的》に戦局を動かすことにあり、そのため「ランダムイベント」が発生するのは、戦況が膠着しやすい、あるいは膠着の原因になりやすいエリアとなっている。
その一方で、個々の「ランダムイベント」は、それぞれのマップの景観的特徴と切っても切り離せない関係にあり、その意味でユニークな仕上がりになっていると言える。例えば「山間の港湾」では、戦渦に巻き込まれてパニック状態に陥った貨物船が埠頭に乱入して周辺施設を破壊する「ランダムイベント」が発生する。これは海に面したマップだからこそ起こりうるもので、市街地マップや平原マップではまず考えられない。「先行偵察ミッション2023」では、お馴染みのマップのうち、「ヒメルズドルフ」、「ルインベルク」、「プロホロフカ」、そして「山間の港湾」の4種類で「ランダムイベント」を体験することができる。
北西の駅舎を発った列車が攻撃を受けて大破し、停車します。 大破した列車によって射線が通りにくくなるため、被弾を抑えながら敵陣地に向けて走り抜けられるようになります。
対空砲火を受けた飛行船が墜落します。 中央の市街地から東の城塞にかけての地形や構造が変化し、 攻撃でも防衛でも力を発揮するポジションを確保できるようになります。 また、東の城塞が崩落することで、市街地に向けてひと息に下れるようになります。
西の小路に2機の航空機が墜落します。 航空機の残骸は遮蔽物として活用できるため、 射線を切りながら敵車輌の偵察を行えるようになります。 また、茂みや樹木などにも変化が生じるため、それまでは不可能だった立ち回りが可能になります。
東の丘に航空機が墜落します。 航空機の残骸は遮蔽物として活用できるため、被弾の可能性を抑えながら進軍できるようになります。 中央からの射線を 切るうえでも役立ちます。
中央の線路を走る列車が空爆を受けて大破します。 大破した列車は遮蔽物として活用できるため、中央を東西に走る稜線を越える際のリスクが低下します。 東の丘からの射線を 切るうえでも役立ちます。
西側の市街地の一画が空爆に晒されます。 市街地の構造が変化し、それまでにはなかったルートで進軍できるようになります。
東の集落が爆撃を受けます。 建造物が倒壊して新たな遮蔽物が生じるため、射線を切りながら戦線を押し上げられるようになります。
マップ北部の埠頭に艦艇が乱入します。 艦艇が射線を切ってしまうため、埠頭を挟んだ撃ち合いができなくなる代わりに、 掩蔽豪や倉庫の中を移動しやすくなり、被弾のリスクを抑えながら戦線を押し上げられるようになります。
埠頭と中央部を結ぶ掩蔽豪の北側の入り口が爆撃を受けます。 瓦礫を遮蔽物にして撃ち合いを続けることはできるものの、 入り口そのものが閉ざされてしまうため、埠頭と中央の直線的な行き来ができなくなり、進軍するには他のルートを採用しなければならなくなります。
マップ南部のトラス橋が空爆に晒されます。峡谷へ落下した残骸が道を塞ぎ、南北の移動が難しくなるため、 奇襲を警戒すべきルートが減るほか、 中央方向からの射線を 切りやすくなります。
現時点では、仮に「ランダムイベント」の正規実装が決定したとしても、すべてのマップに「ランダムイベント」を追加する予定はない。ただし、段階的に「ランダムイベント」のメカニズムを備えたマップの種類が増えていくことは十分に考えられる。また、「ランダムイベント」は『World of Tanks』の中核を担うモードともいえる「ランダム戦」への実装を意図して開発されてはいるものの、将来的に他のモードにも実装しないとは限らない。
今回の仕様
今回の「先行偵察ミッション」モードでは、モードの目的に鑑み、どの戦闘でも必ず「ランダムイベント」が発生し、発生まで数十秒を切ると、音声によるアラートが再生されると同時に影響を受けるエリアがハイライトされ、カウントダウンが始まるようになっている。今回の仕様ではカウントダウンがゼロになるまでにエリアから脱出しないと車輌が大破してしまうものの、テストやアンケートの結果によってはペナルティーの内容や程度が変更される可能性もなくはない。
ここで改めて、今回の仕様があくまで今後の開発方針を定めるためのテストを目的にしていることを強調しておきたい。なかにはテストのために特別に設計されているだけで、正規実装時にはまず採用されないであろうものも少なくない。例えば、今回のテストではどの戦闘でもそのマップに用意された全「ランダムイベント」が限られた時間内に必ず発生するように設定されているものの、正規実装時には「ランダムイベント」が発生しうる時間の幅を広げ、そもそも全く発生しない可能性を設けたり、特定の条件が満たされた際にのみ発生させる仕組みを追加するなど、より細やかな調整が加えられる可能性が高い。
また、「ランダムイベント」は戦局そのものを強制的に動かすことをひとつの目的としていることから、チーム間のバランスに与える影響も慎重に分析しなければならない。テストを通じて寄せられた統計データやフィードバックを踏まえて何らかの調整や変更が施されるのは間違いないと言っていいだろう。
以上からも分かる通り、「ランダムイベント」と言っても、少なくとも今回の仕様でランダムなのは、発生する具体的なタイミングのみと言える。そしてそのタイミングさえ決まってしまえば、あとは発生する出来事の内容、影響を受ける範囲、結果など常に一定となる。その意味では、「ランダムイベント」が仮に実装されたとしても、直ちに戦闘の予測不可能性が増すとは限らないと言えるかもしれない。
今回の「戦闘偵察ミッション」モードで体験できる「ランダムイベント」は、その視覚的エフェクトも、テストを行ううえで最低限必要な条件を満たした暫定的なものに過ぎないことを頭の片隅に置いておいてもらいたい。正規実装時には、爆発はより激しく、炎はより明るくなるなど、全体的なインパクトがグッと増すはずだ。
なお、スペックの低いPCの場合、「ランダムイベント」の実装によってプレイに何らかの支障が出る可能性が存在する。この問題についても、正規実装時までに解決策を練り、少なくともゲームプレイの面では高スペックのPCと同じようにプレイできるようにすることを予定している。システム・リソースの最適化や低スペックPC用の設定オプションの追加などが一例だ。
ダイナミックカバー
今回の「先行偵察ミッション」モードに登場するマップには、「ランダムイベント」だけでなく、「ダイナミックカバー」が用意されている。「ダイナミックカバー」とは、端的にいえば、押したり転がしたりして動かせるオブジェクトを指し、ゲームプレイの観点に立てば、破壊できるものとできないものに大別することができる。
- 破壊はできず動かせるだけのオブジェクトには、現時点では大破した戦闘車輌(砲塔つきとそうでないものあり)と貨車が含まれる。敵の砲弾が命中しても大破してしまうことがないため、弱点を隠しながら移動する際などに力を発揮する。
- 動かせるだけでなく破壊もできるオブジェクトには、サイズの異なるコンクリート・ブロックとコンテナが含まれる。こちらのタイプのオブジェクトにはHPの概念が存在し、砲弾が命中して数値がゼロになると大破してしまう。何発の砲弾に耐えられるかは、個々の砲弾の単発火力とオブジェクトの基本HPに左右される。
今回登場する「ダイナミックカバー」は以上の6種類に限られる。種類が少ないのは、テストを行うにあたって、どれが動かせるオブジェクトなのかを識別してもらいやすくせねばならないためだ。メカニズム自体の評判がよければ将来的に種類が増えていく可能性も高いため、ぜひアンケートで感想をお聞かせ願いたい。
進捗システム
「先行偵察ミッション」モードでは、モード独自の報酬を受け取りながら、開発中のマップやメカニズム候補に対するフィードバックを開発チームに直接送信できるようになっている。そのために達成すべき条件は非常に簡単で、取得EXPでチーム内TOP12を達成していくだけで構わない。条件を満たす度にモード専用の進捗バーが満たされていき、合計50回繰り返せば進捗制覇となる。入手できる報酬には、WoTプレミアムアカウント、パーソナルリザーブ、ディレクティブ、勲章、限定2Dスタイルなど受け取って損のないものが数多く含まれているぞ。
進捗バーは「先行偵察ミッション」モードの実装から1週間後にあたる日本時間5月22日10:00に一度リセットされるため、イベント開催期間中に全報酬を2度にわたって入手できるようになっている。
アンケート
今回のイベントで回答できるアンケートには、大きく2種類が存在する。ひとつ目は新メカニズム候補そのものに対するもので、「先行偵察ミッション」モードで戦闘を行い、取得EXPでチーム内TOP12を合計20回達成するとアンロックされる。ふたつ目は個々のマップに関するアンケートだ。こちらは対応するマップで戦闘を行い、取得EXPでチーム内TOP12を8回達成すると回答できるようになる。
新マップ候補のテストに主眼が置かれた前回の「先行偵察ミッション」モードとは異なり、今回の目的はメカニズムに対するフィードバックを集めることにある。そのため、アンケートの質問内容もこれまでとは大きく変わっており、「ランダムイベント」や「ダイナミックカバー」全体に対する感想だけでなく、特定の「ランダムイベント」が発生する確率やタイミング、あるいは制限時間内に影響を受けるエリアから脱出できなかった際のペナルティーの程度など、かなり細かい項目まで意見を伝えられるようになっている。「先行偵察ミッション2023」に関する説明は以上だ。
新メカニズム候補に対する感想やフィードバックをお待ちしている!