情報部
[区分: 極秘] ミールヌイ調査報告書
機密文書No.██████MN
████年██月██日
- 報告者: 諜報員《M》(通称《科学者》)
- 場所: ミールヌイ
- 責任者: N大佐(情報長官)
超常現象調査団の一員として閉鎖都市「ミールヌイ」への潜入に成功した。
調査の進捗状況は想像していたよりもずっと良い。調査団を率いる主任研究員「Hope」の優れた能力によるところが大きいだろう。「ミールヌイ」での軍事作戦の最高責任者にあたるGromov大佐と調査団の間には、見解の相違がないわけではない。しかし、昨年の超常現象発生からずっと無敵と思われていた謎の生命体「Immortal」を掃滅する方法が明らかになりつつある。
現在、調査団では派遣部隊が「ミールヌイ」から持ち帰ることに成功した「ミリウム」の研究を進めている。その過程で「ミリウム」はそれを回収した車輌の搭乗員に██████████ことが判明した。その詳細については後日改めて報告する。
今回の報告における最重要事項は「Immortal」がその身に纏う█████の無力化および掃滅の可能性である。第36回実地調査では派遣部隊が壊滅した。しかし、その時の様子を撮影した動画データが回収された。
その結果、新たな「フェーズ」の存在、そして「Immortal」をこの「フェーズ」に引き込んだ場合、その防衛機構が大幅に弱体化する事実が明らかになった。間もなく新たな調査部隊が現地に派遣される。仮説を裏付け、新たな事実を明らかにするデータがもたらされることを期待している。
研究員「Hope」および「ミールヌイ」最高指揮官Gromov大佐の略歴を添付する。それぞれの動機や目的をできるだけ客観的にまとめた。
閉鎖都市「ミールヌイ13」での軍事作戦を司る。
部下はもちろん自らにも厳しい優秀な指揮官。実戦経験も豊富で不要なリスクを避けて確実な手段を好む。
規律と効率を重視し必要な時に慎重な計算に基づいた適確な判断を下すことができる。人員や車輌の無駄な損耗を嫌うが不可避となれば全戦力を投入することも躊躇わない。
「ミールヌイ13」で超常現象が確認された際には緊急時の現場指揮においても有能さを発揮し、直ちに斥候として戦車隊を派遣し、事態の把握に務めた。研究者を中心とした調査団とも協力して事態の究明に取り組んでいる。
閉鎖都市「ミールヌイ13」で事態の究明に取り組む主任研究員。彼女の経歴は機密扱いとなっているため、今なお詳細には不明な点が多い。
「ミリウム」の研究に対して全責任を負い、「ミールヌイ13」に派遣する車輌の改修や空間転送装置「マグナス」の改良の指揮も執っている。その人柄と有能さから他の研究員はもちろん将校や機械技師たちからも一目置かれている。
なお、「ミールヌイ」に存在する未知の超常兵器についても新たな情報を取得した。新たなタイプが発見されたとの報告もある。現在確認されている全超常兵器の概略もあわせて添付する
ところどころから棘のような突起が飛び出した自走式の黒い球体。機械水雷を彷彿とさせる。不規則かつ不安定な挙動を特徴とする。単独で出現する場合もあれば集団で攻撃行動を見せる場合も確認されている。兵装は備えていないものの衝突時に爆発を起こしダメージを誘発する。機動性が高く移動速度と旋回速度の双方に優れている。明確な意図に従って挙動しているようにも見えることから外部から操縦されている可能性も指摘されている。
付近に出現した場合には接触される前に優先的に砲撃を仕掛けて破壊することが推奨される。装甲らしきものは纏っておらず撃破は容易い。
一言でいえば大型の「Hedgehog」。基本的な挙動や特徴は「Hedgehog」と変わらない。ただし自爆時の攻撃力が増加している。大破すると複数の「Hedgehog」に分裂する。
衝突された際のリスクが高く、完全に掃討するには複数の砲撃を要するため、発見した場合にはチーム一丸となって集中砲火を仕掛けることが推奨される。
大量の「ミリウム」から影響を受けていると思しき軽量型車輌。こちらを発見すると直ちに逃走し攻撃行動を取ることはない。偵察の役割を担っている可能性が高い。燃料系統に不具合を抱えていると見え、移動時に小さな炎を残す。これまでに繰り返し鹵獲を試みたもののすべて失敗に終わっている。軽装甲ながらそれだけ非常に高機動だと推測される。
中戦車や重戦車に相当するタイプを「Guard」と呼称する。写真は見た目の一例であり、様々なタイプの存在が確認されている。集団で出現し、その数が多いほど攻撃的な行動を取る。用いる戦術は単純かつ原始的なものに過ぎないため行動は予測しやすい。ただし、未確認の指揮車輌から指示を受けている可能性があり、指示を受けていると思しき場合には危険度が上昇する。
被弾に対する耐久性とサイズの点で他の敵車輌とは一線を画する非常に危険な戦闘車輌。装甲性能に優れており弱点も少ない。
3輌の「Hunter」が1組となって行動する事例も確認されている。目標を捕捉すると撃破するまで執拗に追い続ける傾向が見られる。
地面に設置された砲塔型の兵器。視認範囲内に動く目標を発見すると即座に攻撃を仕掛ける。移動することはないが射撃精度と単発火力がともに高いため細心の注意が求められる。慎重に背後から接近して一気に撃破するか、機動性を活かした旋回移動で照準を躱しながら徐々に破壊するのが望ましい。
戦闘装甲車輌らしき見た目をしているがその正体は不明。遭遇して生還できた戦闘員が少なく、報告も要領を得ない部分が多い。一例を挙げれば、4階建てのビルに相当するほどの大きさだという俄かには信じがたい報告が存在する。赤い霧を周囲に放出しているため大きさを正確に把握することが難しいものと推測される。2門の兵装を搭載している可能性も指摘されている。
非常に頑丈な装甲と謎の霧のためこちらの攻撃による被害が確認できた事例はこれまで存在しない。主砲と思しき兵装の攻撃性能は非常に高く、被弾した車輌は例外なく原型を留めないほどに破壊されている。なお、最新の研究で「Immortal」を掃討できる可能性が発見されたようだが、真意の程は定かではない。
今回の報告は以上だ。調査団の動きが活発になりつつある、続報は追って█████頃に連絡する。