「ジェットブースター」を備えた新たな中国重戦車たちをご覧あれ!
アップデート1.19.1では中国技術ツリーに新たなルートが実装される。新ルートを構成するのは近距離から中距離での撃ち合いを得意とする攻撃的な重戦車たちだ。どの車輌も車高が低く、車体と砲塔の両方に頑丈な装甲を備え、そして俯角の広い大口径砲を搭載している。
しかし最大の特徴はなんといっても「ジェットブースター」だ。アッという間の加速を実現する新メカニズムで、その使いどころがモノを言う。本記事では新車輌それぞれの特徴を紹介したい。まずは全車輌に歴史的背景や新メカニズムの基本的な仕組みからはじめよう。
今回実装される中国重戦車の開発計画は1950年代後半に遡る。当時、中国は広大な国境を効率的に防衛する必要に晒されていた。フルシチョフによるスターリン批判以降、ソ連との関係が悪化の一途を辿っていたためだ。こうした任務を担う装甲車輌には、道なき道を行くための悪路走破性はもちろん、不安定な土壌に足を取られても自力で脱出できるだけの性能や、敵の拠点や要塞を素早く破壊する能力が求められた。
そこで注目を集めたのが「ジェットブースター」の技術だった。「ジェットブースター」を搭載した装甲車輌であれば、急な斜面の登坂も沼地からの脱出も難なくこなせるからだ。こうしたアイデアに基づき、複数の車輌開発計画が推進された。歴史的にはどの計画も試作に至ることはなく、最終的には1970年代に打ち切られる運命を辿っている。
しかし、『World of Tanks』の開発チームは、公文書館に残された設計資料を精査し、ゲーム内で再現するに至った。カギとなったはやはり「ジェットブースター」だ。「ジェットブースター」があれば、小規模なマップや起伏に富んだ地形での選択肢の幅が大きく広がり、これまでにない立ち回りが可能になる。戦術やプレイスタイルによってその活かし方は様々だろう。基本的な考え方については本記事後半の「アドバイス」の項目をご覧いただきたい。
新たに登場する中国重戦車には例外なく「ジェットブースター」が搭載されている。仕組みを確認しておこう。
まず、「ジェットブースター」を起動するには、戦闘が始まってから5秒が経過するのを待つ必要がある。起動準備の進捗は専用のインジケーターで確認できるようになっている。起動するには準備完了を待って「X」キーを押すだけでいい。
「ジェットブースター」の効果が持続するのは10秒間だ。1戦中に使用できる回数に制限がある点に注意してほしい。回数は3回から6回とTierによって異なるため、確認を怠ってはならない。上限に到達するとインジケーターが消え、その戦闘では「ジェットブースター」を起動できなくなる。
なお、「ジェットブースター」の起動中は旋回や後退が難しくなる。一度起動してしまうと強制的にキャンセルはできず、効果の終了を待つしかないため、使いどころには注意が必要だ。「ジェットブースター」の効果が終了すると燃料の装填が始まり、4秒が経過すると再び「ジェットブースター」を起動できるようになる。
それでは新ルートの顔ぶれを紹介していこう。新ルートはTier VIIから分岐する。はじまりを告げるのは「BZ-58」だ。ほかの多くのルートと同じく、最初の1輌は《過渡期》ともいえる性能となっている。とはいえ、「BZ-58」は低い車高、傾斜の効いた頑丈な前面装甲、安定した砲塔、−10°の広い俯角など、後続車輌の長所をすべて揃えているため、練習にはうってつけと言える。装甲と俯角が優れている代わりに、射撃精度と装填時間に難を抱えている点には注意が必要だ。
主砲には85 mm砲と100 mm砲の2種類が用意されている。どちらにも長所と短所があるため、プレイスタイルにあわせてどちらを選ぶか決めるのがいいだろう。なお、「ジェットブースター」の使用上限は1戦あたり3回となっている。
続くTier VIII車輌は「BZ-166」だ。先行車輌の長所が順当に強化され、近距離から中距離での撃ち合いでさらに力を発揮できるようになっている。主砲には122 mm砲を搭載し、通常AP弾の単発火力は420HPに至る。ただし、装填時間が15.5秒とかなり長いため、1発1発を確実に当てていく慎重さが欠かせない。また、100 mでの散布界が0.44 mとかなり広いため、遠距離狙撃を試みるのは得策とは言えない。
前面、側面ともに素晴らしい装甲を備えており、様々な姿勢を取ることができるため、跳弾を誘いながら中距離以近で撃ち合うのがいいだろう。なお、「ジェットブースター」の起動上限は先行車輌よりも1回多い4回となっている。
続くTier IX車輌の名は「BZ-68」という。設計や性能の点ではTier Xにかなり近い。主砲には130 mm砲を搭載し、通常AP弾で530HP、HE弾で660HPの大火力を誇る。ただし、射撃精度に難を抱えているのは先行車輌と変わらない。
砲塔前面の装甲厚は280 mm、俯角も−8°と十分なため、地形を問わず強気の撃ち合いが可能となっている。しっかりハルダウンをして稜線越しに攻撃すれば、ダメージを受けずに一方的に敵を撃破するのも不可能ではない。傾斜の効いた車体装甲も同格車輌が相手であれば十分に跳弾が期待できる。
「ジェットブースター」の使用上限が5回に増えているため、初動で要所を抑える際のみならず、中盤や終盤の陣地変換で積極的に起動すれば、大きな活躍が見込めるはずだ。
新ルートの頂点に君臨するのは、Tier X重戦車「BZ-75」だ。「ジェットブースター」を含む先行車輌の特徴をすべて引き継ぎつつも、最前線でダメージ交換しながら徐々に敵を削っていくことを得意とするという意味では、典型的な重戦車と言っても差し支えない。何より防御性能が素晴らしい。低い車高に搭載した砲塔の装甲厚はなんと330 mmにも至る。俯角は−8°、こちらも稜線でハルダウンをして撃ち合うのに十分な数値となっている。
気になる主砲は152 mm砲だ。単発火力は通常AP弾で650HP、HE弾ならば840HPもの数値を叩き出す。大口径砲にしては優れた分間火力を備えている点も見逃せない。装甲が分厚いだけに最大速度は30 km/hと機動性はやや物足りない。「ジェットブースター」を1戦中に6回も起動できるため、これをどう活かすかが活躍のカギになる。なお、装填時間が18秒と非常に長い点には注意が必要だ。特に手数型の敵と撃ち合う際には味方からの紐づけを意識するのが重要になる。
これまでにないメカニズムを備えた中国重戦車たちをぜひとも味わい尽くしてくれたまえ!
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