週刊ヴィクトリヤ日記 Vol.33『ツリーごとの特色を見てみよう(ドイツ編)』

ドイツツリーの戦車ってどんな車輌?

連載第33回となる今回は、現在ゲーム内に実装されている9つの国籍ツリーの中から、ドイツツリーの車輌の全体的な傾向や特徴などをご紹介していきたいと思います。

史実の戦車と同じく、ゲーム内に登場する多数の戦車も国ごとに異なった設計思想を反映しているため、同じTier、同じ車種の車輌でも、性能・特徴は千差万別です。
どのツリーの開発を進めたら良いか迷った際は、自分のプレイスタイルや好みにあった車輌がその国籍ツリーにいるのかを調べてみましょう。


ドイツツリーの車輌の全体的な傾向って?

ドイツツリーはTier1の「Leichttraktor」から5つの各ルートに派生し、最終的には重戦車が3ライン、中戦車が2ライン、駆逐戦車が2ライン、自走砲が1ライン、新たにTier10が追加された軽戦車1ラインの合計9両のTier10車輌に集約します。

ソ連ツリーと同じくドイツツリーも車輌数が非常に多く、開発ルートの分岐が複雑に交差します。戦車大国であるドイツは史実的にも有名な「Ⅳ号戦車」や「ティーガー1」「パンター」といった車輌が数多く登場するので、最終的にどの車輌を作りたいのか目標を決めて、その車輌に繫がっているルートの開発を進めていくのが良いでしょう。

全体的な傾向として、工業国のドイツらしく砲の精度は高めとなり、貫通力も比較的高めです。無線の通信範囲や視認範囲も平均よりも高めな他、高Tier車輌(特に重戦車や一部の駆逐戦車)は耐久値(HP)が高めになっていきます。
反面、エンジン出力は全体的に低めとなるため、加速力や旋回性能は他国と比較してやや劣ります。また史実上、戦車開発で先行していた分、ゲーム上登場する同格の他車輌と比較して設計が古めな傾向にあり、先進的な傾斜装甲ではなく垂直装甲を採用している車輌も多いです。特に他国ツリーが高Tierに上がるにつれて第二次大戦後に登場した車輌が増えていく中、ドイツツリーは大戦中に設計されたペーパープランの車輌が多くを占めるため、他ツリーの車輌と比較すると設計が洗練されていない傾向にあります。

総じて高い砲精度という長所を活かしての中~遠距離での戦いが得意な傾向にあり、傾斜装甲に比べて貫通されやすい垂直装甲という弱点は「昼飯の角度(重戦車の説明回をご参照ください)」といったテクニックを活かしてカバーして戦っていきましょう。


◯ 軽戦車

ドイツツリーの軽戦車ラインは、順当に新たに追加されたTier10軽戦車の「Rheinmetall Panzerwagen」まで進む「Pz.Kpfw. I」ルートと、Tier4以降は中戦車や重戦車に派生する「Pz.Kpfw. II」のルート、Tier5 中戦車の「Pz.Kpfw. IV Ausf. H(Ⅳ号戦車H型)」に派生するチェコ戦車ベースの「Pz.Kpfw. 35 (t)」のルートの3つにわかります。

Tier4 軽戦車の「Pz.Kpfw. II Luchs (ルクス)」
非常に軽快な機動力と貫通力が高い機関砲を持つ軽戦車。ルクスとは山猫という意味。

全体的な傾向としては良好な視界と機動力が特徴で、Tier10軽戦車まで繋がる「Pz.Kpfw. I」ルートでは、Tier3-5の中Tier帯車輌はパワフルな機関砲を搭載し侮れない瞬間火力を発揮します。Tier6以降は機関砲から戦車砲に変更されますが、同Tier帯の他の戦車と正面から撃ち合うには火力が乏しいので、履帯の切断など敵戦車の妨害など味方のサポートに徹しましょう。
特にTier8-10の高Tierになると非常に優れた機動力を持ち、素早い陣地転換や後方撹乱を行う際にその力を存分に発揮します。

Tier10 軽戦車の「Rheinmetall Panzerwagen」
9.18から新たに追加された軽戦車。主砲の仰俯角に合わせて砲塔の天板の一部も上下するのが特徴的。

◯ 中戦車

ドイツツリーの中戦車ラインには史実でも有名で人気がある「Ⅳ号戦車」や「パンター」といった車輌の数々が登場します。

ただし開発ルートは少し複雑で、Tier5の代表的な中戦車「Pz.Kpfw. IV Ausf. H(Ⅳ号戦車H型)」から重戦車ラインへ派生していくルート、Tier7の「Panther(パンター)」を経て「Panther」の直系戦車として進化していくルート、そして第2次大戦後のドイツ主力中戦車「Leopard 1(レオパルトⅠ)」に進化していくルートの3つに大きく分かれます。最終的にどの車輌を入手することが目的なのかを決めてから開発を進めていくことがおすすめです。

Tier7 中戦車の「Panther (パンター)」
T-34の登場に衝撃を受けて開発された中戦車で、傾斜装甲の採用など随所にその影響が見られる。

Tier7以降はソ連戦車の影響を受けて傾斜装甲を採用した車輌が増え、比較的高い耐久値も含めて防御力は高めです。「Panther」のルートは重戦車に近い性質を持ち、そこそこな防御力を持つ代わりに隠蔽率が低めな傾向となります。一方の「Leopard 1」のルートは高Tierになるにつれて機動力重視で装甲は全体的に薄めな傾向となり、同じ中戦車でもルートによって異なる性質を持ちます。

どのルートでも共通のドイツ戦車の特徴として砲塔の旋回速度が遅めなため、近距離での接近戦よりは中~遠距離での戦闘が得意です。

Tier10 中戦車の「Leopard 1(レオパルト 1)」
第二次大戦後にドイツが開発した主力戦車。優れた機動力で防御力を補う設計思想のため装甲は薄め。

◯ 重戦車

重戦車ラインには史実で非常に有名な「ティーガーI」や「ティーガーII」、そして「マウス」といったゲーム内外で人気がある車輌が登場します。

Tier4の「D.W.2」から重戦車が登場しますが、大きく分けてTier7の「Pz.Kpfw. VI Tiger(ティーガーI)」を経て最終的に「E 100」に進むルートと、同じくTier7でポルシェ・ティーガーと呼ばれる「Pz.Kpfw. VI Tiger (P)」を経て最終的に超重戦車と呼ばれる「Maus(マウス)」に進むルート、同じくポルシェ・ティーガーから新たに追加された七号戦車と呼ばれる「Pz.Kpfw. VII」に進むルートの3つに分かれます。

Tier7 重戦車の「Tiger I(ティーガー1)」
数々の伝説的エピソードを持つ人気車両でおそらく日本で最も有名なドイツ戦車。
ゲーム内でマッチングする同Tier帯の戦車は、打倒ティーガーの目的で作られたものばかりなのでやや苦戦気味…。

ドイツ戦車共通の特徴として垂直装甲の車輌が多いため、「昼飯の角度」といったテクニックを駆使して防御力を稼いでいくことが重要です。また大きな長所として他国ツリーをの車輌と比較して優れた視認範囲を持つため、持ち前の高精度の砲と併せて遠距離での戦闘に向いています。
特にTier10車輌は超重戦車と呼ぶに相応しい圧倒的なHPや高火力の砲を持ちますが、共通の泣き所として砲塔や車体の旋回速度が遅いため、機動力に優れる中戦車などに接近戦に持ち込まれないよう注意しましょう。

Tie 10 重戦車の「E 100」
ポルシェ社のマウス計画とは別ラインで進められていた試作超重戦車。圧倒的な装甲と単発火力を持つ。

◯ 駆逐戦車

駆逐戦車ラインは大きく分けて2つのルートに分かれます。一つはTier4の「Hetzer」、「StuG III Ausf. B」からTier10の「JagdPz E 100」へ進むルートです。こちらはまさに敵戦車を駆逐する役割を持った正統派駆逐戦車ルートといった感じで、前面に厚い装甲を持ち、優れた精度と貫通力を持った砲、高い隠蔽性を持っています。高Tierに上がるに連れて車輌そのものが大きくなるため隠蔽性や機動性は低下しますが、車輌の特性そのものは大きく変わりません。

Tier4 駆逐戦車の「Hetzer(ヘッツァー)」
小柄な車体ながら高火力の強力な砲を搭載可能な人気車輌の一つ。

一方のTier5「Pz.Sfl. IVc」からTier10「Grille 15」に進むルートは、本来は「対戦車自走砲」と呼ばれるカテゴリーになる車輌が多く、駆逐戦車と言うよりは文字通り“自走できる対戦車砲”といったようなイメージです。その為、同格の車輌を上回る強力な砲を搭載している代わりに正面装甲でもたったの20~30mm程度の装甲厚しか持たない車輌も多く、榴弾でも容易に貫通して大ダメージを受けてしまいます。自走砲と同じく発見されたら最後…!ということも多いので、味方に視界を確保してもらいつつ、相手の最大発見距離(445m)の外側からアウトレンジで攻撃していきましょう。

Tier6 駆逐戦車の「Nashorn(ナースホルン)」
強力な主砲を搭載する待ち伏せ特化の対戦車自走砲。「ナースホルン」とはドイツ語で「サイ」のこと。

◯ 自走砲

自走砲ラインはTier2-3で2つのルートに別れるものの、Tier4以降は1本のルートでTier10の「G.W. E 100」に進んでいきます。ドイツツリー共通の長所として口径が大きめな主砲が多くまとまったダメージを与えやすいものが多く用意されています。砲精度は序盤から中盤のTierでは高い命中精度となっていますが、終盤は口径が大きくなり命中精度は低くなるものの、広い爆風範囲とダメージで補うスタイルとなるので注意が必要です。

Tier7の「G.W. Panther」以降はドイツ語で「自走砲」を意味する「G.W. (Geschützwagen)」の後ろに付く車輌の車体を利用した自走砲となり(例えばG.W. Tiger (P)はTiger(P)ベース、G.W. TigerはTiger IIベースの自走砲)、Tierが上がるに連れてベース車輌も大型なっていくので、比例して隠蔽率も大幅に低下してしまいます。
これらの自走砲の大きな車体を全て隠せる茂みもなかなかないので、敵から発見されないようミニマップ上の戦況に応じて陣地転換することを意識しましょう。

全体的な傾向として、やや射界が狭めなので敵の侵攻ルートをしっかり予測することが大事です。

Tier10 自走砲の「G.W. E 100」
重戦車「E 100」の車台を流用した大型の自走砲。口径が21cmにもなる超大口径砲を搭載する。


 

今回は9つ登場するゲーム内の国籍ツリーから、アメリカ、ソ連と並んで第二次大戦中の代表的な戦車大国であるドイツツリーの車輌について簡単にご紹介させていただきました。

ドイツツリーはその高い砲の精度を活かして中~遠距離から確実に砲弾を当てていくような戦い方が得意と言えます。史実的にも有名な車輌が多いので人気のツリーの一つですが、性能に癖がある車輌も多く、その特性よく理解して弱点箇所を補うような立ち回りを心掛けましょう!

それでは次回もお楽しみに!良い週末をお過ごしください♪

(コラム記事: ヴィクトリヤ 挿絵イラスト: しばふ)


4コマヴィクトリヤ日記 第33話

「ヴィクトリヤ日記」は毎週金曜日に公開予定です。 次回もお楽しみに!(漫画: kirusu)

 


登場キャラクター

ヴィクトリヤ

Wargaming.net Communityチーム所属の新人社員。ベラルーシ出身。しばしば先輩たちに振り回されている。好物はしいたけ。

ラビ様

ヴィクトリヤが入社したWargaming.net のとあるオフィスの社長(代理)。 見た目は完全にお子ちゃまだが偉い人。

ミズキ

ヴィクトリヤの先輩社員。Community チーム所属。ヴィクトリヤのことは勝手につけた愛称の「ヴィッキー」と呼んで可愛がっている。

クルイロ

Wargaming.net の社員。Quality Assurance チーム所属。 ロシア出身。オフィスの奥にある部屋で黙々とテストプレイをしている。

ツノダ

Wargaming.net の社員。Community チーム所属。 オフィス内のでっかい代表。色々でっかい。重戦車が大好き。


 

4コマヴィクトリヤ日記 作者プロフィール

kirusu

簡単に爆死するへっぽこ駆逐戦車愛好漫画描き。
Web:  http://kirusu.com 
Twitter:  https://twitter.com/kirusu

  • ヴィクトリヤ キャラクターデザイン & 挿絵 : しばふ

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