週刊ヴィクトリヤ日記 Vol.28『ツリーごとの特色を見てみよう(ソ連編)』

ソ連ツリーの戦車ってどんな車輌?

連載第28回となる今回は、現在ゲーム内に実装されている9つの国籍ツリーの中から、ソ連ツリーの車輌の全体的な傾向や特徴などをご紹介していきたいと思います。

史実の戦車と同じく、ゲーム内に登場する多数の戦車も国ごとに異なった設計思想を反映しているため、同じTier、同じ車種の車輌でも、性能・特徴は千差万別です。 どのツリーの開発を進めたら良いか迷った際は、自分のプレイスタイルや好みにあった車輌がその国籍ツリーにあるのかを調べてみましょう。


ソ連ツリーの車輌の全体的な傾向って?

ソ連ツリーはTier1の「MS-1」から5つのルートに派生し、最終的には重戦車が2ライン、中戦車が3ライン、駆逐戦車が2ライン、自走砲が1ラインの合計8両のTier10車輌に集約します。

ソ連ツリーは車輌数が多く、特に中戦車はメインが2ルート、最終的には軽戦車ラインから派生して3両のTier10車輌に集約します。また重戦車と駆逐戦車ラインは中Tier以降完全に分岐したルートになります。

全体的な傾向としては、機動力は総合的に高め、防御力も中Tier以降は車高を低く押さえつつ、傾斜装甲を備える車輌が増えるため高めと言えます。また攻撃面でも単発の威力が高い大口径砲を搭載できる車輌が多くその火力は侮れません。

一見すると「走・攻・守」の全てで優れているように見えますが、その反面視認範囲や無線の通信範囲が狭い、砲の精度は全体的に低め、大口径砲が故に搭載弾数が少ない、車高が低く押さえた結果、俯角が狭いといった短所もあり、必ずしも万能とは言えません。特に視認範囲の狭さはこのゲームのシステム上大きな弱点となるため、視界を確保してくれる味方との連携が不可欠と言えます。

上記の点から、総じて遠距離での撃ち合いよりも近距離での殴り合いで本領を発揮する車輌が多く、市街戦などの平坦な場所での戦いの方が得意と言えるでしょう。


◯ 軽戦車

ソ連ツリーの軽戦車の大きな特徴は、優れた機動性、そして中~高Tierでは中戦車並の火力を備えた車輌が並びます。一方、他ツリーの軽戦車と比較すると視認範囲と通信範囲が狭い車輌が多く、偵察を行う際に多少苦労することも…。 

Tier3 軽戦車の「BT-7」
クリスティ式サスペンションを採用し、軽快な機動力を発揮する快速戦車。

少し特殊なのは低Tier帯はTier1の「MS-1」から3つのルートに派生し、Tier5で一旦中戦車の「T-34」に集約した後、高Tierで1つのルートになります。
途中で有名なTier5重戦車「KV-1」に派生可能な「T-26」ルートの他に、クリスティ式サスペンションにより優れた機動力を備えた「BT-2」ルートと、車体後ろよりの砲塔配置が特徴的な「T-60」ルートと3つの中から好きなルートを選んで開発を進めることが可能です。
このように、ソ連の低Tier帯の軽戦車は異なった特徴を持った多数の軽戦車が揃っています。

このラインは今後のアップデートでTier10までの軽戦車が追加されるため、大きく変更される場合がございます。

Tier8 軽戦車「T-54 lightweight」
名前の通りT-54中戦車の軽量化改良案なので、見た目も性能もかなり中戦車寄りな軽戦車。

◯ 中戦車

中戦車ラインは史実でも傑作戦車と呼ばれ、他国の戦車開発にも非常に大きな影響を与えたTier5 中戦車「T-34」が中心となり、大きく2つのルートに派生します。

順当に「T-34」から発展してソ連中戦車の集大成とも言えるバランスが取れた車輌「T-62A」に向かっていくルートと、軽戦車「T-60」から発展し、中戦車の中では非常に高い隠蔽率と低車高による高い防御力が特徴の「Object 430」に向かうルートの2つがメインとなり、 どちらも途中で3つ目のTier10中戦車「Object 140」に派生可能です。
この「Object 140」は「T-62A」に近いバランスの取れた中戦車ですが、「T-62A」と比較して装甲が薄くなっている分、機動力に優れています。最終的にどのルートに進むかは好みやプレイスタイルに応じて決めても良いでしょう。

Tier5 中戦車の「T-34」
「T-34ショック」を起こし、各国の戦車開発に多大な影響を与えたWW2時期の代表的な戦車の一つ。

全体的な傾向として、機動力が高く、ソ連戦車自慢の避弾経始に優れた傾斜装甲を持つため、カタログスペックの装甲厚以上の防御力を発揮します。ただし傾斜装甲は実際の装甲厚が増えるわけではないので榴弾でのダメージには注意です。高Tierになるほど低い車高を活かして隠蔽率が高くなってきますが、その分砲の俯角に大きな制限を受けます。戦闘中に斜面を使ってハルダウンなど行う際は、斜度に気をつけましょう。

Tier10 中戦車の「T-62A」
お椀型の砲塔に傾斜した前面装甲と避弾経始に優れ、走・攻・守のバランスに優れた傑作中戦車。

同じくTier10 中戦車の「Object 430」
一見すると「T-62A」そっくりな車体形状ですが、特筆すべきはその車高の低さと高い隠蔽率。

◯ 重戦車

重戦車ラインは「KV-1」や「IS-3」といった戦場でしばしば出会うことになる車輌が揃っており、人気があるルートの一つです。ソ連ツリーの重戦車は分厚い装甲に大口径の砲を備えた強力な車輌が特徴です。高Tierになるにつれて車高を低く押さえつつ、随所に避弾経始に優れる傾斜装甲を採用した車輌になり、その防御力は侮れません。またエンジンの出火確率も低く、総じて撃たれ強いと言えるでしょう。

Tier5 重戦車の「KV-1」
Tier5帯の代表的な重戦車の一つで、しばしば初心者にとっての強敵として紹介される車輌。

一方、ソ連戦車の泣き所でもある視認範囲の狭さが弱点とも言え、単独行動をしていると視認範囲外から一方的にやられてしまうことも…。また低い車高は被弾面積を減少させる反面、砲の俯角が犠牲になっている場合もあるので要注意です。
単発の威力が大きい大口径砲は火力に優れる分、搭載弾数が少なかったり、リロード時間が長かったり。砲の精度の低さや照準時間の遅さも相まって、遠距離で撃ち合うよりは近距離での撃ち合いの方が得意と言えます。

Tier8 重戦車の「IS-3」
そこそこの機動力に強力な主砲と避弾経始に優れた傾斜装甲を備え、人気の重戦車の一つ。

Tier4中戦車の「T-28」からソ連重戦車の代名詞に一つと言えるTier5重戦車の「KV-1」に進み、そこから「KV-3」、「KV-4」を経ていく「IS-4」のルートと、「IS」、「IS-3」を経ていく「IS-7」のルートに分かれます。 要注意なのは「IS-7」のルートに進む場合は一旦「KV-1」を作った後に同じくTier5の重戦車「KV-1S」を開発する必要があり、Tier6の「KV-85」に進むまでに2両のTier5車輌を作らなければいけません。「IS-4」のルートの傾向は全体的に機動力を犠牲にしている分重装甲な車輌が揃い、一方の「IS-7」のルートは機動力に優れ、傾斜装甲を活かせば良好な防御力とバランスの取れた性能を持っています。

◯ 駆逐戦車

駆逐戦車ラインは他のラインと比べて癖が少なく、その多くが大口径砲を搭載できるため強烈な火力を発揮しますが、砲精度はソ連戦車全般の短所として低めなので注意です。 装甲はそこまで厚くないですが、隠蔽率は全体的に高めなので待ち伏せして強力な一撃をお見舞する戦法で戦っていきましょう。

Tier6 駆逐戦車の「SU-100」
Tier5の「SU-85」から順当に性能が向上し、攻守のバランスが良く扱いやすい駆逐戦車。

全体的にTierが上がっていくことで極端に車輌特性が変わることはなく、順当に性能が強化されていきます。Tier6の「SU-100」までは共通ルートとなり、その後大口径砲による強力な一撃が特徴で火力偏重気味な「SU-152」のルートか、「SU-152」ルートの車輌に対して機動力が優れる代わりにやや火力で劣る「SU-100M1」のルートに分かれます。

Tier7 駆逐戦車の「SU-152」
猛獣殺しを意味する 「ズヴェルヴォイ」の愛称を持ち、ティーガーを撃破するための切り札とされた重突撃砲。

◯ 自走砲

ソ連ツリーの自走砲ラインの最も大きな特徴は大口径砲による高火力です。高Tierになるにつれて他ツリーの自走砲を上回る破格の大火力を発揮し、直撃させれば同Tierどころか格上Tierの車輌ですら一撃で撃破可能なポテンシャルを持っています。

Tier3 自走砲の「SU-26」
自走砲としては珍しく全周可能なの回転砲塔を持つ車輌。

反面、大口径砲特有の長い照準時間、ソ連ツリー全般の短所として挙げられる砲の精度が低さに加えて、大きな短所として他ツリーの自走砲と比べて射角が狭いという点があり、命中弾を正確に当てるにはやや熟練が必要でしょう。総合的に見ると火力偏重気味で強力な威力を発揮する分、他の部分が犠牲になっているためやや扱いづらい傾向にあります。

Tier10 自走砲の「Object 261」
それまでのソ連自走砲とは真逆の特性を持ち、Tier10自走砲の中では最高の砲精度を持つ車輌。

Tier2の「SU-18」から一本でルートが進みますが、重戦車ツリーの「KV-2」からTier7自走砲の「S-51」に派生が可能です。Tierが上がっていくことで極端に車輌特性が変わることはなく順当に性能が強化されていきますが、Tier10の「Object 261」になると今までの車輌特性が逆転し、他ツリーのTier10自走砲を凌ぐ最高精度の砲を搭載する代わりに、今まで最大の長所だった火力は低下します。


今回は9つ登場するゲーム内の国籍ツリーから、アメリカと肩を並べる戦車大国のソ連ツリーの全体的な特徴をご紹介させていただきました。

ソ連ツリーは史実でも有名かつ強力な車輌が揃っており、全体的に優れた機動力や大口径砲による高火力が魅力です。遠距離からの撃ち合いというよりは、前線を押し上げて敵戦車とガンガン激しく戦いたい方にはオススメと言えるでしょう。

それでは次回もお楽しみに!良い週末をお過ごしください♪

(コラム記事: ヴィクトリヤ 挿絵イラスト: しばふ)


4コマヴィクトリヤ日記 第28話

「ヴィクトリヤ日記」は毎週金曜日に公開予定です。 次回もお楽しみに!(漫画: kirusu)

 


登場キャラクター

ヴィクトリヤ

Wargaming.net Communityチーム所属の新人社員。ベラルーシ出身。しばしば先輩たちに振り回されている。ソ連ツリーの代表的な戦車は故郷のベラルーシでも見かけることがあったので、馴染み深いとのこと。

ラビ様

ヴィクトリヤが入社したWargaming.net のとあるオフィスの社長(代理)。 見た目は完全にお子ちゃまだが偉い人。ソ連軽戦車では軽快な「MT-25」がお気に入り。

ミズキ

ヴィクトリヤの先輩社員。Community チーム所属。ヴィクトリヤのことは勝手につけた愛称の「ヴィッキー」と呼んで可愛がっている。ソ連ツリーの自走砲であえて選ぶなら、大火力の「SU-122A」かなぁ、とのこと。

クルイロ

Wargaming.net の社員。Quality Assurance チーム所属。 ロシア出身。オフィスの奥にある部屋で黙々とテストプレイをしている。ソ連ツリーの駆逐戦車では火力が強力な「SU-152」がお気に入り。

ツノダ

Wargaming.net の社員。Community チーム所属。 オフィス内のでっかい代表。色々でっかい。重戦車が大好き。ソ連重戦車はどれもゴツいので大好き。特に「IS-7」がお気に入り。


 

4コマヴィクトリヤ日記 作者プロフィール

kirusu

簡単に爆死するへっぽこ駆逐戦車愛好漫画描き。
Web:  http://kirusu.com 
Twitter:  https://twitter.com/kirusu

  • ヴィクトリヤ キャラクターデザイン & 挿絵 : しばふ

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