視認システムの仕組みについて学んでいきましょう(後編)
連載第19回となる今回は、前回の 『視認システムについて学ぼう! 前編』 に引き続き、後編として『World of Tanks』のゲームシステムにおいてもっとも重要な要素の一つ、視認システムについて解説していきたいと思います。
視認範囲ってどれくらい変わるの?
前回の 『視認システムについて学ぼう! 前編』 では、車輌の敵戦車からの発見判定のための7つの視界チェックポイントと、敵戦車を発見するための2つの視認ポートの説明と、ミニマップ上で表示される視認範囲サークルの意味などを簡単にご説明させていただきました。
後半となる今回は、車体の性能を伸ばすことが出来る拡張パーツや搭乗員スキルで、どの程度視認範囲が変わってくるかなどを解説していきたいと思います。
まずは自分が使っている車輌がどれくらいの視認範囲を持っているのか、ガレージ画面で確認してみましょう。今回は参考例としてドイツツリーのTier8 軽戦車「Ru 251」を使用します。
この車輌の初期状態の視認範囲を確認してみましょう。拡張パーツ等を搭載せず、搭乗員の基本能力が100%の場合は視認範囲が「400m」となっています。初期状態でも充分に広い視界を持ったこの車輌ですが、さらに視認範囲を拡張することができるんです。
車輌の視認範囲をさらに拡張するには?
各車輌の開発直後の初期状態から、視認範囲を拡張することができる要素は全部で4つあります。
◯ 車輌の砲塔の変更
車輌によっては新たな砲塔を開発して搭載することによって視認性能が向上します。
◯ 拡張パーツ
「双眼鏡」や「レンズ皮膜」「改良型換気装置」といったパーツで視認範囲を拡張することができます。「双眼鏡」は静止時に視認範囲を25%向上させ、「レンズ皮膜」は、移動時、静止時問わず、視認範囲を10%向上させます。
「改良型換気装置」は全搭乗員のスキルを5%向上させる効果があり、後述の車長の基本能力アップに影響します。
◯ 消耗品
搭乗員能力向上の消耗品である「チョコレート」や「紅茶とプティング」といった各国ツリー特有の食べ物系アイテムを使用することで、全搭乗員のパーク/スキルを10%向上させる強力な効果を得ることができます。こちらも車長の基本能力に影響しますが、高価な上、一戦ごとに消費されるので気をつけましょう。
◯ 搭乗員スキル
「偵察」「状況判断力」「戦友」といったスキルで視認範囲を拡張することができます。 「偵察」スキルは車長が習得でき、視認範囲を拡張できます。訓練レベルに伴い効果が上昇していきます。 「状況判断力」も同じく視認範囲を拡張できるスキルで、こちらは無選手が習得できます。車長が無選手を兼任する場合は、車長がどちらも習得可能です。
「戦友」は全搭乗員の基本能力と全スキルを向上させますが、全搭乗員でこのスキルを習得完了しなければ効果を発揮しませんので要注意です!
車輌の視認範囲は拡張パーツでの拡張の他、車長の基本能力が1%上がるごとに、0.43%ずつ増えていきます。育成での上限は100%ですが、上記の拡張パーツ(換気装置:+5%)や搭乗員スキル(戦友:+5%)、消耗品(搭乗員能力向上アイテム:+10%)をすべて加えると最大120%まで向上します。
これらの要素が組み合わさると実際のゲーム内でどれくらい性能が変わってくるか見てみましょう!
実際どれくらい視認範囲が変わるのか見てみましょう!
まずは初期状態の車輌に拡張パーツや消耗品といった搭載するだけで効果を発揮するものを追加してみます。 初期状態では「400m」だった視認範囲が、拡張パーツや消耗品の効果で「468m」まで拡張されました。この段階でこの「Ru 251」はゲームシステム上の最大視認範囲である「445m」を超える視認能力を持っていることになります。
拡張パーツや消耗品と搭載するだけでもかなり広い視認範囲に拡張されましたが、ここからさらに搭乗員スキルを追加していきましょう。
「Ru 251」は車長が無選手を兼任しているので、車長に搭乗員スキルの「偵察」と「状況判断力」をつけています。さらに4人の搭乗員全員に全搭乗員の基本能力を向上させる「戦友」をつけてみましょう!すると視認範囲が「468m」から「507m」までさらに拡張されました。
拡張パーツや消耗品、そして強力な効果を発揮する搭乗員スキルをすべて組み合わせると、視認範囲はなんと500mを超えたりする場合もあるんです…!
しかし、先にもご説明したとおり、ゲームシステム上はどんなに拡張パーツやスキルなどで視認範囲を拡張したとしても「445m」が上限となり、それ以上離れた敵車輌は発見することはできません。では、なぜ視認範囲をシステム上の最大範囲である445m以上に拡張する必要があるのでしょうか?
システム上の視認範囲上限である445m以上に拡張した視認範囲が、一体どういったことに影響してくるのか「Ru 251」を2台使っての発見距離の違いを見てみましょう。
この2台の「Ru251」の先には同じ敵車輌が設置されています。片方の車輌はスキルや拡張パーツで最大限まで拡張した「507m」の視認範囲を持っており、もう片方の車輌はゲームシステム上の最大視認範囲と同じく「445m」です。
視認範囲が507mある「Ru 251」は427mの距離まで接近すると敵車輌を発見することが出来ました。一方、視認範囲が445mある「Ru 251」は375mまで接近しなければ敵戦車を発見することができませんでした。
視認範囲が445mあるはずなのに、375mまで接近しなければ敵が発見できなかったのはなぜでしょう?
それぞれの車輌には敵を見つけることができる能力である「視認範囲」とは逆に、敵から隠れることができる能力である「隠蔽性」を持っています。 自分が持つ「視認範囲」と、敵車輌が持つ「隠蔽性」。この相反する2つの性能がぶつかりあって最終的な発見距離が決定します。
スペック上の視認範囲の距離は敵の戦車の「隠蔽率」というパラメータが0%の際に発見できる最大距離を意味しており、実際にゲーム内で敵を発見できる距離は敵車輌が持つ隠蔽率に影響されてスペック上の表示距離よりも短くなります。
車輌によって隠蔽性は様々です。基本的には軽戦車のような小型で車高が低い車輌ほど隠蔽性が高く、重戦車のような大型の車輌ほど隠蔽性は低く発見されやすくなります。
視認範囲上限である445mを超える視認範囲を持っていれば、その分高い隠蔽率を持つ敵戦車を遠距離から発見できる、ということを意味します。
つまり、視認範囲が445mの車輌の場合、高隠蔽の敵車輌を445mぴったりで発見することは出来ませんが、視認範囲が500m以上ある車輌であれば、同じ敵車輌を445m付近で発見できる可能性が高くなる、ということです。
先に敵戦車を発見することが絶対的に有利な 『World of Tanks』 において、わずかな距離に見えるこの数十mの発見距離の違いが勝敗を決することもしばしば。 少し複雑な内容ですが、しっかりおさえておきましょう!
今回は 『World of Tanks』 のゲームシステムにおいて特に重要な要素である視認システムの解説後編として自分の車輌の視認範囲に影響する要素のご紹介と、実際の発見距離の仕組みについて簡単にご説明させていただきました。視認システムのを理解する上では、発見できる能力である視認範囲の他に、隠れることが出来る能力である「車輌の隠蔽性」も非常に重要なファクターとなりますが、それはまた別の機会にご説明したいと思います。
ちょっぴり複雑な視認システムですが、原理を知っているのと知っていないのとでは大きく戦闘中の動き方が変わってくる重要な部分です。このシステムの原理をすぐ完璧にマスターすることは難しいと思いますが、少しでも意識した動き方をしてみることで戦闘での生存率がグッと上がってくると思いますので、ぜひ試してみてください!
次回もお楽しみに!良い週末をお過ごしください♪
(コラム記事: ヴィクトリヤ 挿絵イラスト: しばふ)
4コマヴィクトリヤ日記 第19話
「ヴィクトリヤ日記」は毎週金曜日に公開予定です。 次回もお楽しみに!(漫画: kirusu)
登場キャラクター
ヴィクトリヤ Wargaming.net Communityチーム所属の新人社員。ベラルーシ出身。 しばしば先輩たちに振り回されている。不憫。真面目な性格なのでアドリブは苦手。 |
ラビ様 ヴィクトリヤが入社したWargaming.net のとあるオフィスの社長(代理)。 見た目は完全にお子ちゃまだが偉い人。 |
ミズキ ヴィクトリヤの先輩社員。Community チーム所属 ヴィクトリヤのことは勝手につけた愛称の「ヴィッキー」と呼んで可愛がっている。 |
クルイロ Wargaming.net の社員。Quality Assurance チーム所属。 ロシア出身。オフィスの奥にある部屋で黙々とテストプレイをしている。 |
ツノダ Wargaming.net の社員。Community チーム所属。 オフィス内のでっかい代表。色々でっかい。重戦車が大好き。 |
4コマヴィクトリヤ日記 作者プロフィール
kirusu 簡単に爆死するへっぽこ駆逐戦車愛好漫画描き。 |
- ヴィクトリヤ キャラクターデザイン & 挿絵 : しばふ