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チーフテンズハッチ:パットンのマシンガン

 

ブルース・C・クラーク大将が回想録にてパットン中将に関して「戦車 (のメカ) について、今まで会った他のどの将校よりも無知」と書いていたことについて、以前パネルディスカッションでスティーブ・ザロガ氏が引用していたのを記憶している読者もいるかもしれない。覚えていない方はこちらで見ることができる。(注意:動画はNAサーバーのもので、現状では日本語字幕はありません)

公文書記録管理局を漁っている時に、私はフランスに行って機関銃の火力強化を要求するパットンに不承不承の様子を隠さない武器科将校提出した報告書を発見した。非常に残念なことに時間があまり無く、全部読むことは出来なかったが兵器科としては火力増強の要望に十分応えられると考えていた新型の高サイクル 7.62mm 口径機関銃をこの将校は持参した。

彼は具体的にどの機関銃を持っていったのかは書いないが、AN/M2 か T33スティンガー系統のマシンガンではないかとは思われる。しかし、この訪問が無駄足だったことははっきりと書いてある。彼はこのように説明する。(下記はその内容だ。)

パットン中将の元の要求は同軸機銃用のものだった。改良型を最初に見た時、新しい銃が砲塔や砲座に据えられないことに彼は非常に落胆していた。資料で提出されたような改良型は既にあるパーツから短時間に製作可能で、高サイクルの機関銃は同軸機銃の追加よりも火力増強に繋がる。機銃を追加した新砲塔を製作するには無駄に時間がかかり、完成しても現場で既存の車両には簡単に取り付けできないと将校が説明したところ将軍は「すばらしいアイディアだ」答えた。

パットン中将は「戦車の最大の武器は機銃だ」と語り、中戦車は主砲の片側に1機ずつ、同軸機銃が2機欲しいと説明した。片方は 12.7mm で軽装甲の車両用、もう片方は 7.62mm で対人用に使うとういものだった。軽戦車は 7.62mm の同軸機銃が2機あるべきだとも言った。

パットン中将は「ドイツ戦車はシルエットや武装面でわれわれの戦車より優れている」と語り、詳細をよく調べるよう推奨してきた。将軍はさらに「戦車に砲塔は不要だ、われわれの戦車の砲塔は無駄にカネがかかり複雑だ」と言った。

将軍は「兵器科は直ちに次の戦争へ向けて戦車を設計するべきだ。次の大戦は多くの人が思っているよりも直ぐに来る」とも付け加えた。

一方、第10機甲師団長のグロー少将は高サイクル機関銃には否定的だった。現存の機関銃には威力向上以外の変更は欲しくないと語った。「現存の機関銃に問題はまったく無い。変更が行われるなら使ってみて、気に入らなかったら勝手に処分する」と彼は言った。

注: この兵器化将校はうろ覚えの記憶から書いていたのかもしれないが、グロー氏は第6機甲師団の師団長だった。

グロー少将の指揮する将校の多くはこの考えに同調したが、パットン中将は反対だった。

第3軍参謀長のゲイ准将は「高サイクル機関銃はひとつも欲しくない。速く撃ち過ぎるので弾薬の無駄になる」と述べている。

朝鮮戦争中のゲイ中将

陸軍将官のダガー氏は新しい砲塔を設計するなら装填手と車長がどちらも使えるよう、対空機関銃を複数のハッチ中央手前に置くべきだと主張した。彼によると装填手は基本的にものすごく忙しく、ハッチを閉じた状態で仕事をするため 12.7mm 対空機関銃は現状ではまったく役に立っていないし、車長が機銃を使うには体をかなり乗り出して危険に身を晒さなければならない。

1945年1月19日にニクソン大佐とこの兵器科の士官はパットン大将に第4と第10師団長の提案を報告した。ニクソン大佐は2種類の 7.62mm 機銃を利用する事による混乱や複数のスペアパーツの管理の管理、そして新しい部品をアメリカから運んでくる必要が出てくることを考慮して、パットン中将の改良案を導入しないことを推奨した。また陸軍航空軍への配備が優先されるため、12.7mm 機関銃のバレルが陸軍地上軍の戦車用に数が揃うまでには相当の時間がかかるだろうと付け加えた。

パットン中将はニクソン大佐の提案を受け入れ、この士官にそう指示をした。

車体機銃に関する意見は聞いた士官の数だけ違った。パットン将軍の車体機銃に関する意見は「うざい」だった。多くの士官は左右45度までに撃てる反射又は光学照準器付きの機銃が欲しいと述べた。

要約は以上だ。

もしパットンが日常的に述べていた意見がこのようなものだったのならば、クラーク大将の意見の通りだ。他の士官とまったく違う意見を持っているだけでなく、兵器科に関する理解がなく、その機能や能力をわかっていないのか、兵器科の努力を単に軽視しているようだった。「おう、俺のために新しい砲塔を作れよ」と言ったり、まるで兵器科が敵の兵器を一度も調べたことが無かったかのような発言からうかがえる。「パットン中将軍様、ありがとうございます、兵器科では敵の兵器を調査してみるなんて思ってもみなかったです…」

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