ミリタリー描写に深い造詣を持ち、人気のイラストレーター しばふ先生にゲーム内に登場する様々な戦車と魅力的なキャラクターを描いていただく連載イラストコラム企画の第三弾 『 戦場の華 feat.しばふ 』 。
連載第06回となる今回は、 『World of Warships』 との特別コラボレーション第二弾としてお届け!
アイオワ級を超える世界最強の戦艦として計画されるも、実際建造されることはなく幻となってしまったアメリカ戦艦ツリーの頂点であるTier X 戦艦 『モンタナ』 を描いていただきました。
もちろん今回もデスクトップ用の壁紙もご用意。ダウンロードしてお使いのデスクトップを素敵なイラストで飾りましょう!
アイオワ級戦艦は速力33ノットを超える優秀な高速戦艦であったが、装甲は通常タイプの40.6cm徹甲弾を想定したものでしかなく、大和型の46cm(18インチ)砲や、自身の主砲用SHS弾(大重量弾)の命中に堪える設計にはなっていなかった。これはサウスダコタ級戦艦でも同様であった。そのため、アメリカ海軍は日本が建造予定としていた16インチ級戦艦(実際は18インチ主砲の大和型であったが)に対抗する必要から、モンタナ級戦艦の建造に着手した。
モンタナ級戦艦について特筆すべきは二つある。
一つ目は、アメリカ戦艦としてはじめてパナマ運河の運行制限を度外視したこと。これにより船幅は37メートルとなった。ただし将来的には、パナマ運河はモンタナ級が通過できるように拡幅される予定も組まれた。
二つ目は徹底した防御強化だ。垂直防御はアメリカ戦艦では異例の二重構造となり、水平防御も中甲板が最大154mm、上甲板に55mm装甲鈑を張って、長距離からの落下弾に対応している。6万3000トンあまりの基準排水量に対して、実に防御用重量は2万1000トンにも達していた。もともとダメージコントロールに優れたアメリカ海軍の運用と、モンタナの重装甲はおそるべき強靭性を発揮したに違いない。
ただし、速力については33ノットを目指すと主機主缶を最初から開発しなければならないため、サウスダコタ級やノースカロライナ級と艦隊行動が可能な28ノットで妥協しなければならなかった。
よく「世界最強の戦艦の座」をめぐっては、大和とアイオワが比較対象にあげられるが、以上のような基本的な性能や建造時のコンセプトを考えれば、大和の対抗馬にはモンタナ級こそふさわしいと言えそうだ。
モンタナ級の建造命令は1940年9月に出されたが、他の艦艇建造が優先されて、起工できないでいるうちに真珠湾攻撃が起こり、モンタナ級はすべてキャンセルとなってしまった。また、パナマ運河の拡幅工事も中止となっている。
伝統的にアメリカ海軍は州の名前を戦艦の艦名にしてきたが、モンタナ級の建造中止の結果、まだ州に昇格していないハワイとアラスカを除けば、モンタナは戦艦の名前に選ばれていない唯一の州となってしまったのであった。
解説文:ウォーゲーミングジャパン ミリタリーアドバイザー 宮永忠将 / Phalanx
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