今人気のイラストレーター、漫画家の方に、World of Tanksに登場する車輌の中からお気に入りの一輌を選んで描いていただき、素敵なイラストと車輌解説でご紹介をする連載イラストコラム企画の第二弾 「My Favorite Tanks」 。
第07回は、可愛らしいキャラクターイラストで人気のイラストレーターであるあの KEI 先生に、ソ連ツリーのTier V 重戦車 「KV-1」のイラストを描いていただきました!なぜ今回 KEI 先生に戦車のイラストを描いていただくことになったのか?WoTのプレイヤーでもあるという KEI 先生のコメントも必見です。
KV-1にはやっぱり冬の景色がよく似合う?重厚なKV-1のイラストをお楽しみください!
こんにちは、はじめまして。KEIと申します。
はじめに、何でこの作家陣の中に自分が?と思う方も居るかとは思いますが、一番そう思ってるのは恐らく自分です。ごめんなさい。
さて、このゲームを始めたきっかけは、昨年末だったか年明けぐらいにとある生放送の定期配信でやってたのを見て、無料だし面白そうだから、という軽い気持ちで始めました。
きっかけは軽かったですが、実際プレイしてみるとゲーム自体非常に面白い。
とりあえず始めたばっかりだし中戦車ルートだな!と思って進めていたのですが、Tier3のBT-7に上がったところに現れたのがあの壁。
文字通り壁ことKV-1。
あの強さに一目惚れしたので一気に重戦車ルートへ変更、自らKV-1を乗るようになっていったという感じです。いやー、弾く弾く。素敵。
現在はKV-1はもとより、以降のKV-1S、KV-2、ISと入れ替えで乗ってる感じです。特にKV-2の152mm榴弾砲が当たったときの快感はたまりませんね!IS-3も目前なので楽しみです。
結果から見ると意外だが、初期のソ連の戦車開発は列強の水準から大きく遅れていた。社会主義革命による混乱と、外交的孤立により新兵器の開発どころではなかったからだ。
そんなソ連陸軍の戦車開発は、先進国イギリスの模倣から始まった。16トンのA6中戦車シリーズやインデペンデント重戦車が有力候補となった。本来なら実車を購入してライセンス生産というのが、問題の少ない手続きであるが、当然、イギリスは技術供与を渋った。そこでソ連では独自に多砲塔戦車T-28中戦車とT-35重戦車を開発することにした。
ソ連が独自でこれらの戦車を開発したことは一種の技術的勝利だ。しかしようやく少数量産が始まった1930年代後半に、ソ連にとっては不運なことだが、世界的に戦車は飛躍的進歩を見せていた。特に1936年に始まったスペイン内戦では、ソ連が派遣した軽戦車は軒並み装甲が薄すぎて、ドイツの3.7cm対戦車砲のカモにされている。派遣こそ見送ったが、自慢の多砲塔戦車でさえせいぜい30mmの装甲しかないので、使いものにならないだろう。ソ連陸軍は欠点を抜本的に改めた重戦車開発を各設計局に命じた。1938年のことだ。
この時点で候補に上がっていたのはレニングラードにあるボルシェビーク工場のT-100戦車と、キーロフスキー工場のSMK戦車だ。どちらも砲塔の数を従来の3個から2個に減らし、その分を装甲強化にあてて軍からの要求を満たしていた。しかしキーロフスキー工場はもうひとつ、仕様を無視した単一砲塔の重戦車案を披露した。これがKV-1重戦車の原案である。興味をもった陸軍は1939年中にKV-1重戦車の仕様をまとめてキーロフスキー工場に発注し、11月中には試作車の開発が完了した。面白いのは、当初のKV-1は単一砲塔ではあったが、76.2mmの主砲の他に、45mmの同軸戦車砲を搭載していたことだ。多砲塔は諦めたが、多武装は捨てきれなかったということだろうか。
こうして試作車が完成したKV-1の実戦デビューは意外に早かった。11月30日にソ連はフィンランドとの「冬戦争」に踏み切るが、当初の予想に反して大苦戦となり、戦況の打開に新型重戦車が投入されたのだ。この戦いで重量が56tもあるT-100戦車は使いものにならないとして見切りをつけられ、SMK戦車も扱いにくさを理由に制式化は見送られた。しかしKV-1は敵の無数の銃砲火を浴びながらも、ほぼ無傷で救出任務を達成して帰還した。この結果を受けて、KV-1はソ連軍に制式採用されることになった。ただし45mm副砲は砲塔内スペースを奪うばかりで役に立たないと結論され、同軸機銃に変更された。
キーロフスキー工場には、1940年5月を目処に、月産50輌の量産体制構築が命じられたが、これが7月末には月産230輌に増加した。この急激な増産に対応するため、KV-1の設計は大幅に簡略化された。これが我々がWoTで目にするKV-1である。航空機用に開発されていた600馬力のV-2Kエンジンは、47トンの重戦車を動かすのに十分な力があったが、機械式のトランスミッションは、この重量を操作するのに非力であり、カタログでは見えない駆動系に相当な弱点を抱えた戦車ではあった。しかし瞬間最大風速で戦車のスペックをフルで発揮できるWoTであれば、こうした用兵側の悩みは無用だ。
1941年6月にソ連に侵攻したドイツ軍は、突如登場したKV-1をはじめとするKV重戦車シリーズに大いに狼狽し、苦戦することになる。KV-1を常識的な対戦距離で撃破できる戦車や対戦車砲はドイツ軍になく、唯一、8.8cm対空砲を流用するしかなかったのだ。しかしソ連軍にはKV-1を継続的に戦力とする整備体制が整っておらず、手持ちの燃料や弾薬を使いきったKV-1は次々に沈黙し、できることといえば爆弾で破壊することだけだった。KV-1は未熟な味方に足を引っ張られて、肝心の緒戦では実力を発揮できなかったのだ。
解説文:ウォーゲーミングジャパン ミリタリーアドバイザー 宮永忠将 / Phalanx
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