My Favorite Tanks 第02回 IV号戦車H型 / エアラ戦車

今人気のイラストレーター、漫画家の方に、World of Tanksに登場する車輌の中からお気に入りの一輌を選んで描いていただき、素敵なイラストと車輌解説でご紹介をする連載イラストコラム企画の第二弾 「My Favorite Tanks」 。

第02回は、前回の日本戦車イラストコラムに引き続きエアラ戦車先生に、ドイツ戦車部隊の主力として緒戦から終戦時まで使用され続け、ワークホース（使役馬）と呼ばれて有名なドイツの中戦車 IV号戦車から、シュルツェン（対戦車ライフル対策の補助装甲板）を取り付けた姿が特徴的な後期型であるIV号戦車H型を描いていただきました！

お楽しみ下さい！

IV号戦車H型 （Pz.Kpfw. IV Ausf. H）

エアラ戦車先生のコメント

こんにちは、エアラ戦車です。
今回はIV号戦車H型を描かせていただきました。

イラストは1944年のフランスで行軍中のⅣ号戦車をイメージして描きました。
これから上陸後の連合軍に反撃を行う前でしょうか。まぁでもやられちゃうだろうな。

IV号戦車は前にプラモで作りました。T社のⅣ号シリーズはよく作ってました。D型、H型、ヴィルベルヴィント、ラング、ブルムベアそれぞれ思い出があります。特にIV号戦車H型はお気に入りでした。また作ろうかな～

IV号戦車のゴチャゴチャ感いいですね。予備転輪、予備ホイールのなどたくさんの雑具でオシャレしてるのが好きです。
生活感むき出し戦車という感じがします。
パンツァーフォ～

車両の解説

IV号戦車シリーズは、開戦時から終戦まで生産が続いた唯一のドイツ戦車であり、バリエーションが多いこともあってWoTでも人気戦車のひとつだ。かくいう筆者もIV号シリーズの開発完了時には、かなりの達成感を得たことを覚えている。
IV号戦車は大きく短砲身型（A型〜F型）と長砲身型（G型〜J型）に分かれるが、イラストのH型（Pz.Kpfw. IV Ausf. H）は長砲身型IV号の到達点である。

ヒトラーのもとで蘇った新生ドイツ軍は、戦車の機動力に期待をかけていた。その中で突破戦闘から敵戦車との戦車戦まで、速力をいかしたオールマイティーの活躍を求められたのはIII号戦車であり、IV号戦車は7.5cm砲の破壊力で敵の拠点などを破壊し、歩兵の前進を助ける支援戦車とされていた。III号戦車が任務に集中できる環境を作るのがIV号戦車の役割なのだ。

しかし1940年5月に始まった西方電撃戦では、フランス戦車に苦戦し、歯が立たない場面も珍しくなかった。III号戦車の3.7cm戦車砲はすでにパンチ不足になって、重装甲のフランス戦車を撃破できなかったのだ。

慌てたドイツ軍は既存戦車の攻撃力強化を急いだ。IV号戦車用としては60口径5cm砲、34.5口径および40口径7.5cm砲が試されたが、いずれもこの頃にソ連で遭遇したT-34中戦車に対抗するには非力であった。1942年初頭には突撃砲用の46口径7.5cmが検討されたが、今度は全長、口径長、弾薬などすべてが大きすぎてIV号戦車の砲塔には収めきれない。そこでこれをベースに、コンパクトな43口径7.5cm戦車砲が開発された。これを搭載したがIV号G型だ（最初に搭載したのがF型車両であったことからIV号F2型とも呼ばれるが、生産中に呼称はG型に統一されている）。1942年5月に北アフリカでデビュー戦を飾って以来、M4シャーマンが揃うエル･アラメインの戦いまでの半年間は、実質的に最強の戦車として君臨していた。また、T-34やKV-1へも対抗可能であり、東部戦線にてドイツ軍は卓越した戦車戦術により、多数のソ連戦車を撃破している。

だが、攻撃力強化はG型では終わらなかった。1943年4月からは48口径7.5cm戦車砲搭載型IV号の生産が始まる。これがIV号戦車H型だ。とはいっても、生産時期がオーバーラップするG型にも同じ48口径7.5cm砲が搭載されていたので、H型生産初期の両者の違いというと、新型鋳造スプロケットやファイナルドライブくらいしかない。H型は車体前面の装甲配置など、大きな変更を幾度か重ねながら、1944年2月までに約2300輛が生産された。

ちなみにIV号戦車には最終バージョンのJ型が存在するが、戦車として完成度が高いのはH型だ。J型は航続距離を増やすために、砲塔旋回用の補助エンジンと発電機を降ろして燃料タンクを追加した。このため、砲塔旋回は手動によるものとなり、戦車としての戦闘力は低下したのだ。J型は実質的に砲塔が旋回できるだけの駆逐戦車に近づいてしまったのである。

解説文：ウォーゲーミングジャパン ミリタリーアドバイザー 宮永忠将 / Phalanx

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