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日本の戦車にスポットを当てて、ご紹介をするイラストコラム 「イラストで知る日本戦車」 。第08回は、三式中戦車チヌをベースに、主砲を急造で操作性などに問題を抱えていた三式戦車砲から、強力な五式七糎半戦車砲に変更した試作戦車、通称 チヌ改の迫力あるイラストをsdkfz先生に描いて頂きました!
M4シャーマン中戦車に対抗すべく開発された三式中戦車チヌであるが、弱点はその砲自身にあったというと意外に思われるかもしれない。チヌ車が搭載した75mm戦車砲は、もともと試製一式七糎半自走砲用の砲を流用したものであり、九〇式野砲を原型として1944年6月に研究が始まった間に合わせの戦車砲であった。
それでも38口径、初速668m/sという基本性能は、M4シャーマンが基本装備としていた37.5口径、初速620m/s程度の主砲と遜色ない。
しかしチヌ車が搭載した三式戦車砲はあくまで急造兵器であった。砲の駐退制御に発射ガスを使用していながら、車内にベンチレーターがないため数発も撃つとガスが充満して居住性が劣悪になってしまう。
また砲手が敵の観測と照準を実施し、射撃は車長が行うという変則配置に加え、砲射撃機構は拉縄を引っぱるという野砲と同じ方法であった。
一瞬の判断が生死を分ける戦車戦では、実に心もとない仕様であるとわかるだろう。
こうした欠点を最小の手間で改めたのが、戦争末期に開発が進んでいた五式七糎半戦車砲を搭載したチヌ改である。
この戦車砲は高射砲をベースに開発されたものであり、1945年1月には開発の目処が立っていた。
そしてこの戦車砲の砲架をチヌ車の砲塔にフィットするように改修を加えたところ、良好な結果を得られたために、正式にチヌ車の主砲にしようということになる。これがチヌ改の由来である。
チヌ改を一言で説明するならば、「鎧はないが獲物は一流」となるだろうか。
実際、五式戦車砲は56口径、初速は850m/sであり、M4シャーマンをやすやすと貫通できる能力がある。
もしの砲の量産化が進み、チヌ車に次々に換装されていたとすれば、少なくとも攻撃力の点ではかなりの戦力になったであろう。
WoTではTier Vのチヌ車の最終開発状態、ないしTier Vのプレミアム戦車となっているチヌ改を使えば、実際に確認できる。
こんなことができるのもWoTの魅力である。
解説文:ウォーゲーミングジャパン ミリタリーアドバイザー 宮永忠将
チハ系列の最終発展型です。
チハから発展した車両のバリエーションの多さはドイツのIV号戦車を連想させます。
それらを含む、より多くの日本戦車が、WoTに追加されることを願います。