イラストで知る日本戦車 第02回 Type 97 Chi-Ha / 小林源文

Type 97 Chi-Ha
※画像をクリックすると拡大して表示することが出来ます。

日本の戦車にスポットを当てて、ご紹介をするイラストコラム 「イラストで知る日本戦車」 。今回は前回に引き続き、小林源文先生に日本の代表的とも言える戦車であり、ファンの間でも特に人気も高い車両である「九七式中戦車チハ」の迫力あるイラストを描いて頂きました!


九七式中戦車チハ

車両の解説

大東亜戦争に突入した日本軍戦車部隊。その象徴となるのが九七式中戦車、通称チハ車だ。
国産初の量産型戦車として成功した八九式中戦車の後継候補として、三菱重工はチハ車を、同じく大阪工廠はチニ車を開発したが、折しも盧溝橋事件が起こって日中戦争が激化したこともあり、基本スペックが優れていたチハ車が九七式中戦車として制式採用されたのだ。1937年のことであった。

エンジンには九五式軽戦車ハ号で実績を積んだ三菱製の空冷V型12気筒ディーゼルエンジンで、条件にもよるが最大170馬力の出力を得られた。最高時速は38kmで、登坂力は約30度、航続距離は210kmであった。同時代のソ連軽戦車T-26系列の最終型であるS型は出力88馬力のガソリンエンジンを搭載、最高時速35.3kmであり、遜色ない性能であることがわかる。

九七式中戦車の装甲は、砲塔が全体的に25mm,車体前面は基本25mmで、側面と後面は20mmであった。さらに25mm前後の増加装甲をボルトで取り付けた例も確認できるが、増加装甲が覆う範囲などの詳細はほとんどわからない。しかし増加装甲を除外しても、概ね、九七式中戦車の装甲は、同時代のソ連快速戦車BT-7を5mm以上は上回っている。

主砲は口径57mmの九七式五糎七戦車砲で、歩兵支援には威力十分な榴弾を使用できた。徹甲弾も用意されたが、18.4口径という短砲身からも明らかなように、戦車戦への投入は前提としていなかった。

九七式中戦車は同時代の戦車と比較すると遜色のない優れた戦車であり、最大作戦半径を含む移動力では優越している。しかし対戦車戦闘力の低さが大きな欠点であり、事実、ノモンハン事件でソ連軍の快速戦車に刃が立たなかった記憶は、大東亜戦争を通じて日本軍の戦車開発に暗い影を落とした。結局、帝国陸軍は数と質の2つの点で九七式を凌駕する戦車の早期量産ができず、実質的にこの戦車だけで戦争を戦い切らねばならなかった。

解説文:ウォーゲーミングジャパン ミリタリーアドバイザー 宮永忠将 / Phalanx

 ミリタリーアドバイザー 宮永忠将 / Phalanx の活動は Facebook ページでも配信中!

 

Type 97 Chi-Ha

 

小林源文先生のコメント

マレー国境沿いの英軍の防衛戦ジットラ・ライン(陣地線)を突破する、山下将軍配下の97式中戦車です。当時の宣伝写真でヤシ林を押し倒して進撃する97式中戦車とあり、「志」の文字は戦車第一連隊 第3中隊の車輌です。

当時の英軍のジットラ・ラインは完成度が50%で、マレー半島に駐屯する英植民地軍の兵士の多くはインド人が主体でした。植民地軍なので治安維持程度の軽装備で、装甲兵力は装甲車くらいで戦車は保有していなかった訳ですね。また守備隊のインド兵に、イギリスのために日本兵とマレー半島で戦えというほうが現実的な問題として無理だったのではと思います。

この仕事で・・・・・・・また日本戦車に悩まされることになりました。

約40年前に20刷りを重ねた「壮烈!!ドイツ機甲軍団」でデビューしましたが、次の仕事が学研のX図鑑「戦車」で、戦車を本当に何も知らないで仕事を始めたのです。最初はドイツ戦車の三号も四号も区別がつきませんでした。

戦車よりは人間が好きでドイツ兵の格好良さに憧れて、デッサンを勉強してペン画や絵を学び始め、美術系の専門的な学校教育は受けていません。自分でアートスクールを始めて、時代を継ぐ作家を育てたりしています。

話しを元に戻しましょう。ドイツ戦車の資料もそれなりに持っていましたが、日本戦車は興味がなく資料もなく、編集部から借りた資料で日本戦車を描き始めました。40年前ですが・・・・・
足回りの共通性など知らなかったので、イラストを三度書き直して散々な経験をしました。こが教訓となり、仕事をするときには徹底的に下調べて描くことなります。絵描きには重要な要素ですね。

靖国神社の遊就館にはサイパン島から帰国した日本戦車のチハ車があり、今回の作画の為にも足回りや誘導輪のテンション調整を調べに行きました。ここには友人の葛原さんが勤務しており、調べ物には非常に助かっています。戦後自衛隊の戦車部隊の隊長も務め、幹部学校(元陸軍大学)の戦史教官でもありました。

WoTのゲームの中で気に入った戦車は、日本戦車以外でも図々しく日章旗をつけて戦闘に参加しています。もちろんのことですが、日本戦車には日の丸をつけて迷彩して個人的に喜んでいます。
しかし、先にドイツ戦車を知ってしまったので、日本戦車の装甲と火力の貧弱さはゲームに使えるのか非常に心配でした。戦車も使いようで日本の器用なユーザーは充分に使いこなしていますが、私は年齢もあり不器用で難儀しています。

マ~・・・この1月28日には年齢が63歳になり結構なジジイなので、ヘタさは勘弁して欲しいところです。脳トレ代わりにと始めましたが、このWoTは昔夢に見たリアルな戦車戦のゲームなので非常に満足し、本心で楽しんで戦場をガラガラと走り回っています。

さて、やっと戦車のイラストが一枚仕上がったので、これからWoTを始めますよ。戦場で会ったら楽しく戦いましょう。WoTユーザーの諸君、宜しく!!


スクリーンショット

Type 97 Chi-Ha スクリーンショット Type 97 Chi-Ha スクリーンショット Type 97 Chi-Ha スクリーンショット
閉じる