私たちの開発スタジオには暇な瞬間など存在しておらず、この 3 月初旬も全く同様です! ゲームバランスチームがサンドボックスにおける戦闘統計情報および皆様からのフィードバックの分析を詳細に進める一方で、一部のメンバーは、近い将来に登場するいくつかの重要な変更点に関して発表するために GDC 2017 へと飛び立ちました。
今回は、GDC 2017 において発表されたばかりの情報に関してまとめます。これらの変更点は、次のアップデートから正式実装が開始され、まずはマッチメイカーの改良と Tier X 軽戦車が実装されます。サンドボックス・テストからの最新ニュースや、全く新たなモードであるランク戦にも要注目です。さあ始めましょう。
マッチメイカーの改良
WG Fest で初めて発表させて頂いてから 2 ヶ月が経ち、ここにマッチメイキング・システムの大幅修正に関する続報をお届けできることに興奮しています。今回は、より詳細な情報をお届けします。
現行のシステムでは 8/5/2 (トップ/ミドル/ボトム) 構成のチームが作成されることがあり、この場合、各チームたった 2 両のボトム Tier 車輌は、ミドルおよびトップ車輌を相手にして出来る貢献は限られており、ボトム車輌同士での対戦もなかなか生じません。周りが上位 Tier 車輌ばかりという状況ですので、早期に撃破されてしまう可能性が高いでしょう。
改良版のマッチメイカーでは、パターンやルールをシステム化することにより、このようなバランス問題や、その他のいくつかの好ましくないシナリオを発生しないようにします。このシステムの中核として、3 レベル戦、2 レベル戦および 1 レベル戦という、3 種類のセットアップが用意されています。そしてその他のルールにより、コミュニティにおいて最も多く聞かれる共通の問題への対策に取り組みました:
- チームのボトムおよびミドル車輌の数がトップ車輌に比べて少ないという失望的なシナリオ (上記で説明した通り) を排除すると伴に、あまりにも頻繁にボトムとしてマッチングされるという状況の発生を最小化する。
- 各チームへの車輌配分のバランスを確保する。これには、自走砲が各チーム 3 両までという制限も含まれる。
- ランダム戦における小隊内 Tier 差を 1 段階までに制限し、小隊でプレイした際に楽しめるゲーム体験を提供する。
- マップ重複の発生を抑制する 。
マッチメイカーは、待機中の車輌 (数、タイプ、Tier、マッチング Tier 帯) を分析し、速度 vs 最適セットアップの原則に基づいてチームを作成します。端的に言えば、戦闘開始までの時間を短縮すること、完璧なマッチングを組むことの間でバランスを取るということです。「完璧な」マッチングを組もうとすると時間が掛かりすぎる場合には、戦闘開始までの時間を短縮するためにルールが緩和されます。待機時間が長くなるほどに、3/5/7 や 5/10 といった「完璧な」パターンからの逸脱がより大きく許容されるようになります。その結果として、待ち時間を抑制しつつ、そのサーバーにおけるその時の状況に応じた最適なセットアップが組まれるようになります。それでは、3 種類のシナリオを詳しく見てみましょう。
3 レベル戦
自車輌が Tier I–II 車輌ではなく、待機中の車輌に充分なバラエティがある場合、最も多いセットアップである 3 レベル戦 (Tier 差が 2 段階) へとマッチングされます。マッチメイカーは、戦闘待機中の車輌ラインナップを分析した上で、3/5/7 パターンまたはその派生パターンを用いてチームを組みます。
チーム内での位置 | 最も頻度が高い車輌ローテーション | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
トップ | 3 | 3 | 3 | 2 | 2 | 2 | 2 |
ミドル | 5 | 4 | 3 | 5 | 4 | 3 | 2 |
ボトム | 7 | 8 | 9 | 8 | 9 | 10 | 11 |
2 レベル戦
これまでは、2 レベル戦 (Tier 差が 1 段階) にマッチングされる頻度がもっとも高くなっていました。改良版のマッチメイカーにおいては、このセットアップを形式化し、そして最も重要な点として、このセットアップが組まれる場合には、明確な制限事項を加えます。
- 最初のケースとして、このルールは低 Tier 車輌 (Tier I–II) に適用されます。この特定のケースにおいては、新参プレイヤーにとって好ましい条件を作り出すべくデザインされています。
- 次のケースとしては、待機中の車輌のバラエティが充分ではなく 3 レベル戦を組めない場合、待機時間を抑制するためにこのセットアップが用いられることがあります。
この場合、マッチメイカーは 5/10 パターンまたはその派生パターンを用いてチームを組みます。3 レベル戦の場合と同様、待機時間が長くなるほど、5/10 からの逸脱が大きくなります。そして、トップ車輌の数がミドル車輌を上回ることはありません。
チーム内での位置 | 最も頻度が高い車輌ローテーション | ||
---|---|---|---|
トップ | 5 | 4 | 3 |
ミドル | 10 | 11 | 12 |
1 レベル戦
最後に、その時点で同 Tier 車輌が多数待機中であった場合には、待機時間があまりにも長くなってしまう可能性が考えられます。そこで改良版のマッチメイカーは、待機時間を抑制するために、全ての車輌が同じ Tier である 1 レベル戦を組むことがあります。
その他のメカニズム
改良版のマッチメイカーには、紹介させて頂いた 3 種類のセットアップと併せ、皆様から報告して頂いた問題を解決してプレイ体験の質を高めるため、いくつかの新メカニズムが実装されます:
トップ/ミドル/ボトムへの配置 2-3 戦連続でボトムにマッチングされた場合は、次の戦闘においてはミドル/トップにマッチングされる可能性が高くなります、これは、同じ車輌でプレイし続けた場合であっても、各戦で別の車輌を用いた場合であっても同様です。
車輌の配分 チーム間で軽戦車、自走砲および駆逐戦車の数が異なる場合、戦闘が始まる前からその結果に影響を与えてしまう場合があります。よって改良版のマッチメイカーは、マッチングを組む際、まずはこの 3 種類から検討を始めます。特に、最初に軽戦車を検討し、次いで自走砲、3 番目に駆逐戦車を検討し、これらの 3 種類の車輌の数がそれぞれ両チームで一致するようにします。ひとつ注意点としては、チームのセットアップは、その時点での待機数および車輌クラス毎の状況に応じます。よって、両チームに必ず 5 種類全てのクラスが含まれるとは限りません。
自走砲 自走砲によってゲーム体験が損なわれることがないように、自走砲の数を各チーム最大 3 両に制限します。サンドボックスにおける最近のテストにおいて、この制限はテスターコミュニティに好評であり、ゲームプレイに好ましい影響を与えるということが確認できました。これは間もなく正式サーバーにも実装されます。
小隊 また別の失望的なシナリオとしては、自車輌より Tier が 3 段階以上上位の車輌を含むマッチングがあります。現状では、小隊内で Tier 差がある場合にこのシナリオが頻発します。自車輌が Tier V である場合に、小隊内の他のメンバーが Tier VIII 車輌を選択した場合、Tier IX–X 車輌と対峙することが起こり得ます。このようなマッチングは、あまり楽しそうであるとは言えないでしょう。改良版のマッチメイカーにおいては、ランダム戦では小隊内の Tier 差が 1 段階までに制限されますので、今後はこの問題が発生することはなくなります。
マップローテーション 現状では、一部のマップばかりに偏ってマッチングされてしまう場合があります。例えば、3 種類のマップばかりで繰り返しプレイするのは苛立たしいことでしょう。その結果として、プレイを続けるのが嫌になることさえあるかもしれません。改良版のマッチメイカーは、新たなロジックの実装により、このような不幸な出来事の発生を抑制します。具体的には、両チームを組んだ後に、両チームの各プレイヤーが最近 10 戦でプレイしたマップを分析した上で、間近の数戦において誰もプレイしていないようなマップを選択するようにします。
軽戦車
軽戦車は当初、独立した戦闘ユニットというよりは、他の車輌と常に連携しつつ戦うような火力支援車輌となるべくデザインされたものでした。しかし現在のこのゲームにおいては、その結果として失望的なマッチングを強いられることが多くなっています。時々軽戦車でプレイしてみると、自車輌より Tier が 3 段階も上位の車輌を含むマッチングへと組み込まれることが多いはずです。例えば、Tier VIII 軽戦車でプレイする場合、Tier IX–X 車輌と対峙することが多いわけです。そして、トップ車輌になることはまずありません。これは望ましいこととは言えないでしょう。
この問題を修正するため、各軽戦車ブランチを Tier X まで拡張し、軽戦車にも他の車輌クラスと同様に Tier 差が 2 段階までという原則を適用します。偵察を主任務とした支援車輌であるという点は変わりませんが、しかしその火力は相対的に高くなります。
加えて、刷新された各軽戦車ブランチを Tier 差が 2 段階までという原則に相応しいものにすべく、全ての軽戦車のバランスを再調整します。これにより、同じブランチ内におけるゲームプレイの急激な変化を排除することを狙っています。この再調整においては、現在 Tier VIII となっている各軽戦車の Tier を 1 段階引き上げます。ただし中国技術ツリーはその例外であり、中国軽戦車ブランチの Tier IX には、全く新たな軽戦車である Type 62C が実装されます。
そして Tier X には、5 種類の全く新たな軽戦車 XM551 Sheridan (アメリカ), T-100 (ソ連), Spz. 57 (ドイツ), WZ-132-1 (中国) および AMX 13 105 (フランス). が加わります。これらの車輌をここに紹介させて頂きます:
これらの Tier X 軽戦車は、軽戦車のトレードマークであるコンパクトなサイズを備えつつ、比類無き機動性、さらに優れた視認範囲、より多い HP、より優れた貫通力と単発ダメージにより、Tiers VIII–IX 軽戦車よりもさらに優れた車輌となっています。これらの車輌のバランスを調整する上では、軽戦車としての従来通りのゲーム性を備えつつも、多用途性を高めることを目標として各戦闘パラメータを調整しました。
今年は、このゲームのコア部分をオーバーホールすると伴に、新たなゲームプレイ・オプションを実装することでいっそうの充実を図っていきます。GDC で発表させて頂いた内容は、その中でも大きな部分です。ぜひ、これらの変更に関するプレイテストが開始できるその日を楽しみにして頂ければ幸いです。テストの具体的な日時に関しては、準備が整い次第、今後発表させて頂きます。
サンドボックス第 2 段の結果
この 1 月には、サンドボックス第 2 段に全力で取り組みました。World of Tanks チーム全体を代表し、参加者の皆様およびフィードバックをお寄せ頂いた皆様に、多大な感謝を申し上げます! お寄せ頂いたフィードバックは、何がどういう理由でうまく行ったのか、何がどういう理由でうまく行かなかったのか、どうすれば改善できるのかを見極める上で極めて有用でした。ここにその結果の概要を紹介させて頂きます。
フェーズ 1: 射撃精度、ダメージ減衰、単発ダメージに関する変更
照準サークル内での着弾分布の見直しにより、「信じ難い」ような射撃の発生頻度を抑制することができました。しかしその一方で、照準サークルが完全に収束した状態での射撃精度も低下しましたが、これは開発チームが意図したレベルを超えていました。従って、この変更に関しては、白紙に戻します。
ダメージ減衰のテストにおいては、より大きな問題が明らかになりました。結果としては、HEAT 弾を大幅に見直さない限りは、この変更は狙い通り (例えば、重戦車の交戦距離を短縮することを促進する) に機能しないことが明らかになりました。これはゲームプレイ全体に影響を与え得る大きな決断であり、恐らくは他の弾種についてもバランス調整が必要となることでしょう。そこで、この点に関しては計算とモデリングをやり直した上で改めて考え直すこととし、今回テストしたものは正式実装しないことに決定しました。
単発ダメージの見直しに関しては、まだ変更対象の全車輌におけるプレイヤーのふるまいを比較している最中であり、最終的な決断に至るにはもう少し時間が必要です。現段階で言えることとしては、120 mm 方のダメージレーティングを 122 mm 砲と同様にすることは、テスターの賛同を得、良い結果をもたらしています。全てのデータを分析した上で、さらなるリファインを図ります。大口径砲の単発ダメージの見直しに関しては、まだまだ多くの課題が残っています。
フェーズ 2–3: 自走砲に関する総合的な調整
自走砲に関しては順調に進んでいます。Tier X 車輌で集めたフィードバックと統計情報を分析した結果、今回の変更は、ゲームプレイのダイナミクスを向上し、ゲームをより楽しいものにできていることが判りました。そこで、テスト対象を拡張し、Tier VIII および IX 車輌を加えました。今後の数週間、開発チームはテストの状況を詳しく観察し、皆様からのフィードバックをモニターし、データログを分析して、最近の調整がどう影響したかを見極め、必要に応じてさらなる調整を加えていきます。
詳細報告とフェーズ 3 の詳細に関しては、サンドボックス・ブログをご参照ください:
新モードを開発中 – ランク戦
ずっと以前から、スキルレベルが似たプレイヤー同士で真の実力試しをすることが可能なアリーナを求めるご要望を頂いてきました。そんな皆様にメッセージがあります。遠くない将来にランク戦を実装予定ですので、ぜひスキルを磨いてお待ちください。
Tier X 車輌専用モードとして、シーズンを区切って開催されるランク戦は、15 vs 15 の戦闘において各自の高い実力を証明できる場となります。戦闘でより優れた成績を示せば、ランク戦の特別ラダーにおける順位が向上します。そしてここで言う成績とは単なる勝利のことではなく、戦闘の結果に対する各プレイヤーの貢献度が重視されます。そして、その戦闘において自分が優れた戦果を収めれば、例えチームが敗北したとしても、自分のランクを向上させることができるのです。すなわち、ラダーを昇っていけるかどうかは、完全に自分自身の実力次第なのです! そしてラダーを昇れば、コンペティションのレベルもまた高いものとなります。そうです、ランク戦専用の特別なランダム戦マッチングにおいては、同等ランクのプレイヤー同士でマッチングを組むべく、ラダーでの各プレイヤーの順位が直接的な条件として考慮され、個別の専用マッチング・キューで試合がセットアップされるのです。さらには、各戦および各シーズンにおいて素晴らしい功績を達成した場合、驚くような褒賞も用意されています。
なお、この記事で紹介させて頂いた他の様々な変更点とは異なり、ランク戦はまだ開発の初期段階にあります。今回紹介させて頂いたハイライトが、皆様のご期待に添うものであれば幸いです。より詳細な情報は、開発の進捗と併せて今後紹介させて頂きます。
新たなグラフィックス
最後に、今年はこのゲームに大幅なグラフィック改良が実装されます。これに伴い、様々な素晴らしい新要素をお届けできることに興奮しています。グラフィックに関する変更における通例の通り、今回も皆様自身の目でそれをご確認頂ければ幸いです: