【アップデート1.22】マップの大規模バランス調整

戦車長の諸君、今年に入ってから『World of Tanks』に登場したマップに関する新要素をすべて挙げられるだろうか?新マップ「オイスター・ベイ」の実装、「ランダムイベント」と「ダイナミックカバー」に関わるテスト、そして「アミューズメント」モードに登場した「夜戦」など、その数は実に多い。だがしかし、新コンテンツにばかり注力して既存のマップをおろそかにしては本末転倒だ。そこでアップデート1.22では、合計10種類の既存マップにバランス調整を加える運びとなったため、本記事でその大枠をお伝えしたい。

言うまでもなく、変更点はすべて諸君らから寄せられたフィードバックやこれまでに収集した統計データを踏まえたものとなっている。具体的な調整の内容や程度はマップによって異なるとはいえ、目指すべきゴールは変わらない。端的に言えば、チーム間のバランスを取ること、取りうる戦術の幅を広げること、できるだけ多くの車輌にその強みを活かせる場を用意すること、などとまとめることができるだろう。以下では、調整対象のマップを変更の規模に応じて3つのカテゴリーに分けて紹介しよう。

大規模な調整が行われるマップ

まずはかなり規模の大きい調整が加えられるマップから。ひとつ目は「山岳路」だ。こちらのマップには、使用する車輌のタイプを問わず、何がしかの不満を感じていた戦車兵が多いのではなかろうか。様々な意見を踏まえて、どちらのチームにも立ち回りに大きな影響を与えるであろう様々な変更が施されている。例えば、重装甲の車輌は、主戦場として立ち回れるエリアが拡大されている。加えて初動でマップ西部に向かう際にいわゆる〈通行料〉を取られることも少なくなっているはずだ。狙撃車輌や自走砲がよく使うポジションにも種々の変更が加えられている。南東の高台の形状が大きく変わったほか、北西の高台から橋の南東側に対して一方的に攻撃を仕掛けることができなくなるよう射線が調整されているのが一例だ。

ふたつ目は「漁師の港」だ。特に重要な変更点としては、北側チームが初動で東の市街地に向かう際に中央の丘から〈通行料〉を取られにくくなっていることが挙げられる。その一方で、マップ中央部には複数の茂みが、そして南東部のK7エリアには新たな射撃ポジションが追加されている。

みっつ目にあたる「ストゥジャンキ」では、マッチすればすぐさま北部の駅を取り巻く建造物が大きくなっているのに気が付くはずだ。重装甲の車輌で取りうる戦術の幅が広がっているため、ぜひ新たな立ち回りを見つけ出してもらいたい。また、反対側の集落も規模が大きくなり、北側から狙われた際に射線を切りやすくなっている。

よっつ目は「オイスター・ベイ」だ。こちらも北側チームの不利を緩和する変更が加えられている。中でも重要なのが、岩石地帯の中央寄りのルートだ。従来は南側チームがここを強引に突破して対面の敵部隊を囲い込んでしまうケースがよく見られたものの、今回のアップデートで北側の狙撃ポジションからE6~F7エリア一帯に射線を通しやすくなるため、北側チームにとっては迎撃態勢を築きやすくなっているはずだ。とはいえ、岩壁の一部は高さが増すため自走砲の射線を切りやすくなり、沿岸砲のひとつや茂みのいくつかも削除されるため、西側から一方的に狙撃できるかと言えば、必ずしもそうではない点に注意してもらいたい。

インタラクティブ画像 — ミニマップ上に表示されたアイコンにマウスをかざすと簡単な情報が表示されるぞ。ただし、アイコンはあくまで大まかな位置を示す指標に過ぎないという点にくれぐれも気を付けていただきたい。
山岳路
ストゥジャンキ
漁師の港
オイスター・ベイ

H8エリアに位置する南東側の高台は、これまでと比べて高低差が抑えられ、劣勢時に駆け登りやすくなっている。その一方で、9~0ラインを南下してくる敵を迎撃するためのポジションがなくなっている点には注意が必要だ。

E9、F9、E0、F0のエリアに複数の遮蔽物が追加されている。いわゆる〈アイスロード〉を取り切った北西チームの部隊が敵陣地に攻め込む際に、斜面の上から一方的に撃たれてしまうケースが少なくなるはずだ。また、南東チームの車輌がE0エリアの水辺に陣取ると、陣地側の味方と集中砲火を組むことで、たった数輌でも敵の進軍を止められてしまうことがよく見られた。このポジションは、今回のアップデートをもって削除されている。

北側のいわゆる〈アイスロード〉には、どちら側に構えてもほぼ対等な条件で戦えるよう、南東側のE9エリアに起伏と遮蔽物が、そして北西側には遮蔽物が追加されている。

北側のいわゆる〈アイスロード〉には、どちら側に構えてもほぼ対等な条件で戦えるよう、南東側のE9エリアに起伏と遮蔽物が、そして北西側には遮蔽物が追加されている。

北側の最前線となるC7、D7、D8エリアには、特に大規模な変更が加えられている。地形が変わり、新たな遮蔽物が追加されているだけでなく、立ち回れるスペースそのものが広くなっているため、これまでとは様相が大きく変わるはずだ。

H6~H7エリアの岩壁が大きく削られ、さらに樹木が削除されたことで、H8エリアに位置する南東の高台から南西のJ3~J4エリアに対して射線を通せるようになっている。この変更により、南東チームも南西から自陣へと進軍してくる敵部隊を高台から迎撃できるようになるため、チーム間のバランスが改善するはずだ。

G5~H6エリアにもパッと見てわかる変更がいくつも加えられている。南東チームが南西へと向かう際に対岸から〈通行料〉を取られにくくなる一方で、場合によっては反撃もできるはずだ。

D2~E3エリアにもパッと見てわかる変更がいくつも加えられている。北西チームが南西へと向かう際に対岸から〈通行料〉を取られにくくなる一方で、場合によっては反撃もできるはずだ。

南西チームの一員としてE2~G1エリアまで取り切ったものの、敵陣側の高台周辺から射線を通されて全く先に進めなくなった、という経験をしたことがあるプレイヤーは多いだろう。このエリアには、今回のアップデートで起伏や遮蔽物が追加されているため、何もできずに足止めされてしまうことが少なくなるはずだ。

中央の窪地での駆け引きをこれまでよりも複雑にするため、F4エリアには複数の小さな遮蔽物が追加されている。

南東でスタートして橋の入り口に陣取った際に、自分だけ敵陣側のC3エリアに位置する高台から一方的に撃たれる経験をしたプレイヤーもきっと多いことだろう。橋の両側の条件を整えるため、今回のアップデートでD4エリアに巨石が追加され、高台から射線がほとんど通らないようになっている。

橋を挟んだ撃ち合いで南東チームが不利になりやすかったのは、高台からの射線の有無だけではなく、反対側に比べてそもそも取りうるポジションが限られていたためでもあると考えられる。この仮説に基づいて南東側の橋の入り口付近が拡張され、新たなポジションが追加されている。

北側と同じく、南側でも最前線をなすH1~K4エリアに大幅な変更が加えられている。まず、こちらのミニマップを見るだけでも、H3~H4エリアの高台が西に移動しており、初動で東から抑えに行くのが難しくなっているのが分かるだろう。しかし、高台の価値がなくなっているかと言えばそんなことは決してなく、F3~G3の岩肌が削られ、射線を通せる範囲が広がっている。さらにどちらのチームにも南西での撃ち合い時に活用できる新たなポジションが追加されているだけでなく、両チームがそこに到達するのに要する時間もおおよそ等しくなるように調整されているため、ぜひ自ら体験していただきたい。

このマップのバランスの悪さのひとつとして、陣地防衛のしやすさが挙げられるだろう。南東の隅には茂みや起伏が多く身を潜めたまま迎撃できるのに対して、北西の茂みではそうはいかない。そこで、チームが劣勢に陥ってもうまく迎撃態勢を組めば逆転できる可能性を残しつつ、この不平等を是正するため、北西側の陣地付近に茂みや樹木が追加されている。

北側の駅が拡張され、ひとつの工場とも言える規模に変貌している。立ち回れるスペースがただ広がっただけでなく、C4~C7およびD5~D6に複数のポジションが追加されているため、どういった車輌でどう構えれば活躍が期待できるか、試行錯誤を繰り返してもらいたい。

D3エリアには小さな丘が追加されている。北側の戦線が崩壊し、自陣方面への完全撤退が間に合わないような場合に力を発揮してくれるはずだ。

D8エリアには小さな丘が追加されている。北側の戦線が崩壊し、自陣方面への完全撤退が間に合わないような場合に力を発揮してくれるはずだ。

H5~H6エリアおよびG5~G6エリアには、新たに家屋がいくつか追加されている。窪地に対する射線が調整され、東西のバランスが改善しているはずだ。

E5~E6エリアの溝は、これまでよりも深くなっている。北の工場から一方的に撃たれにくくなるため、中央の溝を抑えた際に取りうる立ち回りの幅を広げてくれるはずだ。

マップ南部のKラインに沿って広がる集落にも、北側に負けずとも劣らない大きな変更が加えられている。ミニマップからも明らかな通り、集落そのものの範囲が広がっているほか、マップ南端で窪地が東西にグッと広がっているため、これまでとはひと味もふた味も違う駆け引きが楽しめるはずだ。

K1エリアはこれまでよりも茂みが薄くなっている。除草剤がまかれたのかもしれない。

K1エリアはこれまでよりも茂みが薄くなっている。除草剤がまかれたのかもしれない。

東西のバランスを整えるため、E0エリアには西側と似た破壊不能な家屋が追加されている。

北側チームが東の市街地に向かう際に経由するA6~B7エリアに変更が加えられている。中央方面から狙われても射線を切りやすくなっているはずだ。

市街地を攻略するうえで障害となることが多かったE8エリアのポジションは、今回のアップデートで削除されている。

マップの中央部にあたるE5~E6エリアには茂みが追加されている。さらに家屋の配置が変更されている点にも注目してもらいたい。中央から市街地に向かう車輌に攻撃を仕掛ける手段に関して南北のバランスを取るための調整だ。

B2エリアには茂みが追加され、家屋の配置も変わっているため、狙撃ポジションとしての使いやすさが増しているはずだ。

D1エリアでは樹木が削除されている。これをうまく倒すと特定の状況下でいわゆる〈ダブルブッシュ〉として圧倒的な力を発揮していたためだ。

H9~G9エリアからは、建造物がいくつか削除されている。南側チームが市街地方面で戦う際に視界がほとんど利かない空間を減らすと同時に、要所を抑えるのに必要となる時間を調整するのが目的だ。

K7エリアにも新たな射撃ポジションが追加されている。特に北側チームに中央を掌握された際に力を発揮するはずだ。その一方で、北側チームも南東全域を切り取れば、南西に残る敵車輌に攻撃を仕掛ける際に活用できるだろう。

E6エリアの地形に変更が加えられ、北西方面から射線が通りやすくなっている。南側のチームが強引に突破を図ろうとしても、これまでのようにはいかないはずだ。

E7エリアの地形に変更が加えられ、東の狙撃ポジションから射線が通りやすくなっている。南側のチームが強引に突破を図ろうとしても、これまでのようにはいかないはずだ。

F8エリアも地形に変更が加えられている。特に北から南に戦線を押し上げる際に取りうる選択肢が増えているはずだ。

北側チームの偵察車輌は初動でD6エリアを経由することが多い。今回のアップデートで、これまでのように水に足を取られて速度を失ってしまうことが減るはずだ。

H5~G6エリアでは、岩壁がこれまでよりも高くなっている。北東スタートの重戦車部隊が南西チームの自走砲による砲撃に晒されることが少なくなるはずだ。

G5エリアでは、高台に調整が加えられ、どれだけ勢いをつけても下から上に登れないようになっている。

E7エリアでは、高台に調整が加えられ、どれだけ勢いをつけても下から上に登れないようになっている。

C4エリアに位置する沿岸砲は、位置が変えられている。これまでのようにB5に構えた狙撃部隊の射線を切ってしまうことがなくなるはずだ。

E2エリアでは、茂みの位置が変更されている。南西スタートの狙撃車輌がこのエリアから海岸方面の敵車輌に攻撃を仕掛けるには、茂みから身を乗り出さなければならなくなったため、南北でのバランスが改善するはずだ。

上の画像に表示されていない変更点

展開

山岳路 – 両チームの出撃地点が調整されている。また、両チームの車輌が初動で主たるポジションを抑えるのに要する時間ができるだけ等しくなるよう、茂みや岩石の配置が変更されている。

ストゥジャンキ – 「遭遇戦」の陣地の位置が変更されている。

たたむ

小規模ながら重要な変更が加えられるマップ

続いて全体としての規模は大きくないものの、ゲームプレイに直接影響を与えるであろう重要な調整が施される3種類のマップを紹介しよう。

ムロヴァンカ

「ムロヴァンカ」には、主に南側チームにとって有利な変更が加えられている。

そのひとつがF9エリアだ。北から進軍してくる敵部隊を迎撃しやすくなるよう、狙撃ポジションに調整が加えられている。

また、初動で東側の森に向かう際にH7~G8エリアを経由しても〈通行料〉を取られにくくなっているはずだ。

加えて森そのものの地形も変わり、F8エリアに射線が通りにくくなっている。

F9エリアに陣取った際にE8エリアの起伏に構えた敵から撃たれることも少なくなるはずだ。

さらにD0、F0、G0エリアからは茂みの一部が削除されるため、一方的に狙われることが減るだろう。

マップ中央部にあたるE6~E7エリアに偵察ポジションがあるのは言うまでもないだろう。この一帯は北側の方がやや立ち回りやすい傾向があったため、稜線や茂みを南寄りに移すことで調整が図られている。

「遭遇戦」では、陣地の位置がE2~F2エリアに、また両チームの出撃エリアも西寄りに移動されている。

「崖」には、あまりにもダメージを吐きやすすぎると考えられるポジションがいくつか存在した。熟練の戦車兵ならば容易に想像がつくだろう。

ひとつ目はJ3エリアだ。新兵のために説明しておくと、この位置に陣取ると中央の稜線から乗り出してきた北側チームの車輌をほぼ一方的に狙撃することができたのだ。しかし、今回の変更で射線を通しにくくなっている。

南側チームが斜面を登った先の射線にも変更が加えられている。G5エリアの岩石が巨大化し、ここも射線が通りにくくなるほか、南側チームがH9エリアを取られた際に反対側と似た迎撃布陣を敷けるよう、G6エリアに1軒の家屋が追加されている。

続いて快速車輌乗りが使うことが多かったD4~D5エリアだ。岩壁手前の窪みが今回のアップデートで削除されている。同時に北側チームが斜面を登った先のすぐ右手に位置するD5エリアでは、岩石が少し低くなり、北側陣地から中央部のE6、F6、E7、F7に射線を通しやすくなっている。これも南北でのバランスを取ることを目的としているのがお分かりだろう。

北側の陣地脇のA4エリアはこれまでよりも射線が通りにくくなっている。南側チームの自走砲の方が取りうるポジションが多いという問題を解決するのが主たる目的だ。

最後に、南側だけF7エリアから岩壁を駆けのぼるのが不可能になっている。

ライヴオーク

「ライヴオーク」にも各所に重要な変更がいくつも施されている。

これまでは初動で偵察車輌が北西のポジションに入ると、足の遅い車輌は市街地に到達するまでにHPを大きく削られてしまったり、そもそも市街地に到達できないという問題があった。そこでA5~A6エリアとC1~D1エリアに調整を加え、どちらのチームもより安全に市街地に向かえるようになっている。

もうひとつ、大勢のプレイヤーが感じていたに違いないのが、「南側チームがマップ東部を取り切るとその後は大体いつも似た展開になりがち」という不満点だ。これを解決するため、E0~F0だけでなく、A7エリアにも新たに遮蔽物が追加されている。攻撃か防衛かを問わず、駆け引きや立ち回りの幅が広がっているはずだ。

ただし、南側チームが常に東側を掌握できたかと言えば、決してそんなことはない。むしろ難しかったというべきだろう。最大の理由は、北側チームの方が布陣を広く展開しやすかった点に求められると考えられる。そこで変更後のマップではK8エリアの水深が低下し、南側チームが動けるスペースが拡大されている。

市街地そのものにも変更が加えられている。具体的には、A3エリアの方向へと少し拡大されたほか、A2エリアの破壊可能なオブジェクトが破壊不可能に変更されているため、どちらのチームにとっても市街地を掌握する重要性が増すはずだ。

わずかな調整が加えられるマップ

最後に、パッと見ただけでは分からないかもしれない変更が加えられる3種類のマップについて簡単に説明しよう。

ひとつ目は「湖の村」だ。マップ西側の1~2ラインを走る山道の地盤タイプが変更されている。見た目だけでなく内部の設定も変わっているため、旋回しやすくなっているはずだ。

ふたつ目は「エンスク」だ。両チームの出撃エリアがわずかに変更されているほか、個々の車輌の具体的な出撃地点が車輌タイプに基づいて決定されるようになっている。「遭遇戦」でも、両チーム間のバランスを改善するために、北側チームの出撃エリアに変更が加えられている。個々の車輌の出撃地点がそのタイプに応じて調整されるようになっているのは「通常戦」と同様だ。

最後に「ジークフリート線」では、「強襲戦」で他のマップと似た調整が行われ、攻撃チームの出撃エリアが2か所に分割されなくなり、かえてE3~F3エリアにひとまとめに配置されている。

以上のバランス調整は、言うまでもなく、どれも実装したらそれで終わり、ということは決してない。引き続き統計データの収集や諸君らから寄せられるフィードバックの分析を行っていく。もし実際にプレイしてみて調整内容に不満に感じたり、あるいは要望が浮かび上がるようなことがあれば、ぜひお聞かせ願いたい。統計データとも比較しつつ、さらなる改善の足掛かりとさせていただく心づもりだ。

では、生まれ変わった戦場で会おう!

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