イラストで知る日本戦車 第14回 Type 61 / 野上武志

Type 61
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日本の戦車にスポットを当てて、ご紹介をするイラストコラム 「イラストで知る日本戦車」 。第14回は戦後日本の国産戦車第一号として完成し、日本では怪獣映画などでも馴染みが深い「61式戦車」の姿を、野上武志先生に日本らしい田園風景と共に描いて頂きました!

 


61式戦車

車両の解説

STA-2をベースに開発が始まり、試作車両STA-3、STA-4での実証を経て制式化されたのが、戦後日本の国産戦車第一号となる61式戦車である。
名前は制式化された年度の下二桁に由来するもので、陸上自衛隊の装備名称は基本的にこの方式になっている。

戦車開発史的には、61式戦車は戦後第一世代に位置づけられるが、開発当時、すでにアメリカのM60パットン(105mm)やソ連のT-62のように他国の主力戦車は主砲口径105mm以上に移行し、イギリスのチーフテンが120mm砲を実現していたことからすれば、かなり物足りなく見える。
これは当時の日本では90mmを超える口径の戦車砲開発に時間がかかり、実績も未知数であったことや、日本人の体格では105mm以上の砲弾装填は効率が悪いと考えられたためだ。

結果としてスペックだけ比べるなら、確かに第二世代戦車よりは、特に攻撃力で見劣りするわけだが、射撃距離1000mを超える戦場が想定しにくい日本では、口径による威力の差がでやすい遠距離砲戦をあまり重視する必要がない。

61式戦車は攻撃兵器ではなく、日本の国土を守るのに特化した戦車であり、敵戦車と正面から殴り合いをするのではなく、慣れ親しんだ土地で待ち伏せ戦術を駆使して、敵の側面や背後から攻撃を加えるような運用を想定していたのだ。
戦車を見るには、スペックばかりでなく、その車両をその時代に必要とした事情まで考慮すると、俄然、見方は面白くなる。

90式戦車の導入とともに減数が始まり、2000年に全車退役したため、現在では展示車両しか見られない。
61式戦車は制式化から冷戦時代を生き抜いてきた、自衛隊にとって記念碑的な戦車である。
また怪獣映画の金字塔「ゴジラ」シリーズにおいて、市民を守るために常に最前線に立つマッシブな61式戦車の姿は、印象的な煙突型(T字型)マズルブレーキと相まって、日本人にはもっとも馴染みのある戦車であり、実戦経験も豊富(!?)といえる戦車である。

WoTでは初期装備の61式 90mm砲はもちろん、STB-1で搭載する105mm ライフル砲まで搭載できる。史実では実現できなかったフルスペックの61式戦車の力は、ぜひ実際のプレイで試して欲しい。

解説文:ウォーゲーミングジャパン ミリタリーアドバイザー 宮永忠将 / Phalanx

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野上武志先生のコメント

どもです野上です。

61式戦車は正式配備されたものの、一度も砲口を敵に向けることなく退役する事が出来た幸運な戦車であるとおもっています。

彼の活躍の場所は、むしろ銀幕の向こう側でした。東京を襲う幾多の怪獣へ向けて砲身をふりむける雄姿、戦国時代で騎馬武者を蹴散らす戦車として、はたまた子供たちの盾となって大人たちをあたふたさせる役どころとして、ある時期の日本映画の名わき役でした。
そういう意味では、戦車史上、一番活躍した俳優だったのではないでしょうか。

今回の絵では、本来彼に想定されていた戦場、日本の田園風景に置いてみました。
一緒にいる女子高生はWGJさんからのリクエストです。ぼくわるくないもん。

 


スクリーンショット

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