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World of Tanksのアップデート 8.10により、待望の日本ツリーが新たに追加されました。あまり知られることがなかった日本の戦車にスポットを当て、豪華なイラストレーター陣による美麗なイラストでご紹介するイラストコラム。第一回はミリタリー漫画の巨匠、小林源文先生に日本ツリーのスタートであるTier1車両の「ルノーNC27 Otsu」のイラストを描いて頂きました!
日本初の国産戦車は八九式中戦車であるが、その数が揃うまでの短期間、日本の主力戦車はフランスのルノー軽戦車であった。ただしルノー軽戦車と言っても、日本には1919年に購入したルノーFTと、1927年に導入されたルノーNC27型の二種類があった。
そこで前者がルノー甲型、後者がルノー乙型として区別された。WoTの日本技術ツリーに登場するのは、ルノー乙型(NC27)をベースとした軽戦車である。
NCはフランス語で新型戦車という意味であり、フランスの技術ツリーにあるルノーFT系の最終版だ。エンジン出力が45馬力から60馬力に強化されたほか、技術の進歩に合わせて足回りが大幅に高性能化している。速度も従来の時速8kmから20kmへと大きく増加した。
スペックばかりを見れば優秀な戦車であるが、実際のところルノー乙型はエンジンが頻繁にオーバーヒートを起こし、特徴的な直立三連コイルスプリングと油圧ショックアブソーバーも期待ほどの効果はなかったようだ。ルノーの技術陣は「高温多湿の日本の環境」に問題があるとして改修に協力しなかったので、陸軍技術本部が苦心して使えるように整えた。
当時の日本陸軍では、ルノー甲型に搭載されていた時代遅れのプトーSA18砲を37ミリ狙撃砲へと換装していたが、乙型戦車では導入時から狙撃砲を搭載した。ちなみにこの狙撃砲とは、同口径の歩兵砲を戦車搭載型とした改造砲である。
ルノー乙型軽戦車のデビュー戦は1931年に勃発した満州事変となった。当初から派遣されていたルノー甲型の交換車両として送られたものだ。しかし同じタイミングで派遣された八九式中戦車と比べると明らかに力不足で、前線部隊での評判は芳しくなく、八九式中戦車の数が揃うにともなって日本へと送り返された。
戦場では用途がなくなったルノー乙型戦車は各地の戦車学校で訓練用車両として使用され、最後は展示車両として使われた。現在、日本に現存車両はない。
解説文:ウォーゲーミングジャパン ミリタリーアドバイザー 宮永忠将 / Phalanx / 写真:滝沢 彰 氏提供
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1931年(昭和6年)に起きた満州事変に投入されたルノー戦車です。
リアリズムの対象として力強い戦車は好きですが、まさかフランス製で日本軍が採用したルノー戦車を描くとは思っても見ませんでした。
始めて描くに当たってルノー戦車は知らないことばかりで、「国本戦車塾」さんから頂いたルノー戦車が非常に作画に役にたち、知らないことばかりで私自身の勉強にもなりました。足回りの機構を知らないと満足した戦車は描けないからです。
戦車の構造も好きで40年前に中西先生のお陰で共著となった私のデビュー作「壮烈!! ドイツ機甲軍団」ではモノクロのカットや劇画、戦車や戦車兵のイラスト、それにドイツ戦車の断面図を担当しました。
この時、始めて戦車の断面図を描きましたが、戦車の内部には興味が尽きません。戦車の形状とは、逆説的ですが戦車が内包する機能で決まるのではないかと思います。イスラエルのメルカバ戦車などは、その極限でしょう。
8~9年前にはモンゴルでT-54、BMP-1、BTR60、BRDM-2などを操縦し、憧れのラッチュ・バムを撃ちました(本当はソ連軍対戦車砲のレチクルを確認したかったのです)
「壮烈!! ドイツ機甲軍団」はここで全部閲覧できます。
http://www.genbun.net/gallery/so-retsu/index.html