戦場の華 feat.しばふ #9: チハ

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ミリタリー描写に深い造詣を持ち、人気のイラストレーター しばふ先生にゲーム内に登場する様々な戦車と魅力的なキャラクターを描いていただく連載イラストコラム企画の第三弾 『 戦場の華 feat.しばふ 』 。

連載第09回となる今回は、日本の代表的な戦車でありファンからの人気も高いあの戦車が登場。通称"鉢巻"アンテナが特徴的な旧型砲塔搭載型の 『97式中戦車チハ』 のイラストで描いていただきました。

もちろん今回もデスクトップ用の壁紙もご用意。ダウンロードしてお使いのデスクトップを素敵なイラストで飾りましょう!

 

97式中戦車チハ

 ——鉄牛は満蒙の荒野に消える

日本で最初に量産型として制式化された国産戦車は八九式中戦車である。これは軽量、大火力で、装甲も想定していた敵や戦場における用途としては十分と、非常に優れた戦車であった。しかし1930年代も半ばになってくると、不満点や技術的な問題も出てくる。それは戦車開発に成功したお祭りムードから脱却し、日本陸軍の戦車部隊の練度が向上したことの証明でもあるわけだが、こうした前線からの要望を背景に開発されたのが九七式中戦車だ。

九七式中戦車——チハ車は文句なしに優れた戦車であった。
もともと八九式中戦車の後継戦車について、陸軍は明確なビジョンを持っていなかったので、コストと軽量化を重視した試製中戦車チニ車と、性能重視のチハ車が競作されたといういきさつがある。陸軍の一部には、ソ連との戦闘になった場合に戦車戦で苦戦するとの危惧もあったが、想定しているのは中国の戦場での要塞攻略戦や歩兵の掩護であり、榴弾の破壊力の方が重要である。保守的には見えるが、予算や装備が限られている中ですべてを追求するわけにはいかず、当時とすればチハ車だけでも日本軍の要求の中ではオーバースペック気味でさえある豪華な戦車だったのだ。

戦車はハイテクの塊である。優れた装甲鋼鈑を作るには高度な冶金技術が必要だし、エンジンの開発は一定水準のモータリゼーションが不可欠だ。小型で威力が高い戦車砲の開発も簡単ではない。

いずれにしても、民間需要からフィードバックされるテクノロジーが多く、戦車の能力は開発国の国力を反映する。チハ車はそんな日本の兵器開発のマイルストーンである。独力でチハを開発量産できたことは、日本兵器産業の栄光であり、同時に実質的にチハ車だけで第二次大戦を戦い抜かねばならなかったのが、日本の限界でもあった。

満開の桜が見送るチハ車の果てには、どんな戦場が待っているのだろうか。

解説文:ウォーゲーミングジャパン ミリタリーアドバイザー 宮永忠将 / Phalanx

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